- Amazon.co.jp ・本 (424ページ)
- / ISBN・EAN: 9784122056657
感想・レビュー・書評
-
タイトルにある小平次は、生きながらにして死人のように辛気臭い。
役者であるが芝居が下手でどんな役も上手くこなせず、唯一幽霊役が絶品と評判ではあるが、それ以外はてんで話にならない。
家では口も利かず、女房が何をしようと見向きもしない。今では押入れに籠ったっきり、出てきもしない。
連れ添って五年の女房に「死ねばいいのに」とまで罵られる始末である。
何の前情報もなく読み始めました。
このような動きのない人物を中心に据えて、果たして一体、話がどう展開するというのか。堪らなく不安な気持ちになります。
ですが、事触れの治平が後に登場するようなので、「巷説百物語」シリーズに連なる物語と考えて、多少は期待して読み進めていこうと思います。
http://monokaki3.com/natsuhiko-10-94詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
最初の小平次の描写で、体の内側がぞわっとしてきて楽しい。
多九郎は最初の印象がよくなくて嫌いだったけど、やっぱり最後まで好きになれなかった。
お塚さんの生き方は嫌いじゃないし、小平次との関係も第三者として見てる分には有りかなーと。
別々の人物の話が他の人物の話に絡まって1つの話になっているのは、京極作品らしくておもしろい。
視点が変わると登場人物に対して違う印象を覚えるのも楽しい。
歌仙と運平の話の交差が好き。事実と双方の認識の差が良いです。
あと名前だけ登場の又市さん。
感想としては、怖いというより気味が悪いという表現が近いかと。
『嗤う右衛門』と同じで、これにも元になった話があるなんて、解説がなければきっと知らないままだった…。 -
小平次は、いつも微昏がりに居る。そして、両の眼を確乎りと明けている…。死んだように生きる幽霊役者小平次と生き乍ら死を望む女お塚は、押入襖の隙間からの目筋とこの上ない嫌悪とで繋がり続ける―山東京伝の名作怪談「復讐奇談安積沼」を現代に甦らせた山本周五郎賞受賞作。
-
最初、読み進めるのが辛かったが、最後の方は一気に読めた。
まあまあ面白かったが、それは単に京極氏の表現というか、セリフとセリフの間の地の文で、登場人物の心の声みたいなのが、「さすが京極」と思わせるようなものだったためで、内容的には他の京極作品の方が好き。
本作は、読み終わったあとに、あまり何も残らなかった。ふぅ~ん、あっそー、って感じ。 -
なんか盛り上がりに欠ける
-
巷説シリーズからの後追いで知った、又市が(名前だけ)登場する作品。
少々古めの作品なんで、落としどころは何となくは分かるものの、読み始めると先が気になって止められなくなるのが京極作品。
おかげで一気読みですわ。
しかし、元になってる怪談を知らないと云う無学ぶり…。