- Amazon.co.jp ・本 (736ページ)
- / ISBN・EAN: 9784122064409
感想・レビュー・書評
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2010年の作品で、
「笑う伊右衛門」などの江戸怪談シリーズの第3弾。
菊が夜な夜な井戸で皿を数えるという、誰もが知っている番長皿屋敷の怪談を、京極夏彦が新たな解釈を加えて綴った哀しき物語となっています。
皿屋敷の菊の話はあまりに有名ですが、
なぜ井戸に現れて皿を数えているのか、
なぜ1枚欠けているのか、
考えてみると私も詳しくは知りませんでした。
実際は諸説あるそうで、
その説も本作の冒頭で語られていてとても興味深かったです。
この話の最後が悲劇的な結末を迎えることは
初めから分かっていますが、
多くの視点から語られる物語がどう交錯するのか、
その中で菊はどのように皿と結びつくのか、
夢中になって読む手が止まりませんでした。
さすが京極夏彦さん、
文章が大変美しく、改めて日本語の魅力に気づかせてくれます。
また、ページの空間の使い方も素晴らしい!
結末が好きではない方もいらっしゃるようですが、
私はとても好きなラストでした。
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あ…。
お菊のラストに、思わず空を掴む。
一体何がどうなったんだ!?
又市と徳次郎が最終章で事件後について語るが、関係者はみんな死んでしまったから本当のところはよくわからない。なんとなく寂しいような気持ちが残る。
気触れの人、無感動の人、無垢な人…本当にいろんな人に、京極さんはその内面を語らせてくれる。
怖い、嫌だ、気持ち悪いと思う人にも、語りによって共感できる面を一つぐらいは発見する。
その一点で、みんな求めることは同じことなんだなぁと、少し哀しく見えるようになる。
元ネタは怪談だけど、怖いシーンは全くない。なのに、恐怖感抜群 -
お菊はなぜ井戸端で皿を数えるようになったのか――満ち足りない心をもてあます侍・播磨と慾のないお菊が綾なす、はかなくも美しい「皿屋敷」の真実。
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【メモ】
・サイト http://www.osawa-office.co.jp
・単行本は2010年に刊行されている。
なお、著作一覧ページ〔http://www.osawa-office.co.jp/write/kyogoku_list.html〕では、本書〔中公文庫版〕の情報が、2018年01月時点で未だ更新されていない。
【書誌情報】
初版刊行日 2017/8/22
判型 文庫判
ページ数 736ページ
定価 本体920円(税別)
ISBN 978-4-12-206440-9
お菊はなぜ井戸端で皿を数えるようになったのか――満ち足りない心をもてあます侍・播磨と慾のないお菊が綾なす、はかなくも美しい「皿屋敷」の真実。
http://www.chuko.co.jp/bunko/2017/08/206440.html