人はなぜ戦うのか - 考古学からみた戦争 (中公文庫 ま 48-1)

著者 :
  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (347ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122064584

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  • 【目次】(「BOOK」データベースより)
    第1章 戦争の根源をさぐる/第2章 戦士の誕生ー弥生時代の戦い/第3章 英雄たちの時代ー弥生から古墳へ/第4章 倭軍の誕生ー「経済戦争」としての対外戦争/第5章 英雄から貴族へー古代国家の形成/第6章 国の形、武力の形ー古代から中世へ/第7章 戦争はなくせるかー考古・歴史学からの提言

  • 稲作と武器、戦争の概念はセット。
    BC5c-BC4c九州北部からBC3cには瀬戸内、近畿まで広がる。(環濠集落、武器 石剣、石鏃)
    稲作のためのテリトリーを有利な場所に設けようとする初期の農耕民集団どうしの争い。(弥生時代の第一期抗争 BC5c-BC4c)
    BC3-BC2九州北部では稲作濃厚が本格化して人口増加、土地の不足により土地を巡る争いに。
    武器は朝鮮半島系のものから九州北部製の石製武器に。
    青銅の短剣・矛・戈が入ってきて、まもなく九州北部でも生産。
    BC1c頃には鉄製の短剣・矛・矢じりなどが入ってくる。
    BC1c頃から青銅器武器は実用としては使われなくなる。
    環濠集落、武器の副葬は磨製石剣、青銅の短剣・矛・戈など。
    中国四国、近畿ではBC1c頃、大型の打製石鏃や打製石剣。一部は青銅や鉄の武器。
    BC3-BC2九州北部では、比恵・板付・師岡・須玖・門田の各遺跡群に集約、さらにBC1cには須玖が福岡平野の青銅武器の殆どを独占。「奴国」
    BC1cごろ短剣・矛・戈のうち短剣のみが実用武器として残る。
    AD1cごろには鉄製短剣が東日本の方まで普及。大刀が登場するも剣に比べると数は少ない。
    AD2c後半には九州より東でも大刀が副葬されるが、日本海側。大陸や朝鮮半島から海上交易を通してそれぞれ独自に手に入れる。
    AD1c頃には銅鏃が流行。鉄に比べて均一製品を作りやすい。盾。
    大刀と銅鏃の普及、敵味方の距離を長く取った野戦。
    3cにはムラの環濠はほぼなくなる。ムラ攻めから野戦への変化。
    AD1cから3cの間の倭国大乱。倭王の地位争奪。先進的文物を有利に獲得。
    三国史記の記録では1cに3回、2cに6回、3cに11回、倭人、倭兵、倭国などが新羅や周辺に現れ、来襲あるいは通交する。朝鮮半島南部の鉄。
    1-3cには各地で開拓、再開発。鉄製の開墾具や耕作具。
    古代国家黎明期の英雄。近隣のムラとの戦闘からより外部の世界との戦い。
    BC1cの段階では武器の副葬はほぼ九州北部のみ、AD1cにはそれ以外の地域に少しずつ増える、AD2cには九州から瀬戸内、近畿、北陸、中部、関東まで全般的に見られるようになる。
    2c後半には特別な墳丘、四隅突出型墳丘墓などが現れる。出雲、丹後、倉敷の楯築遺跡など。
    中部や関東など東日本では、2c後半ごろは鉄剣1本を副葬する戦闘リーダー、3cに入るまでは大型墳丘墓はない。3c半ばごろに市原市や木更津市に大型墳丘墓。
    日本は剣、朝鮮は矛。
    古墳時代は分権的構造。日本各地にわりと大きな古墳が点在。
    AD2cの倭国大乱から3cの卑弥呼共立。3c前半頃の香川県高松市の鶴尾神社4号、徳島県鳴門市の萩原1号、岡山県総社市の宮山、岡山市の矢藤治山、兵庫県加古川市の西条52号、奈良県桜井市のホケノ山古墳など。墳丘の形が共通で蓋石をもたず、やや上開きの竪穴式石室を用いる。武器や玉類の他1枚ずつの中国製鏡。連合政権。
    369年、泰和4年銘の七支刀、百済と日本の同盟。4c後半から鉄製単甲の急激な増加。8割が西日本で近畿に集中、九州北部はその次。
    ヤリから大刀へ、新型の鉄鏃。徒歩による重装歩兵部隊。5c前半から馬の普及。
    倭の五王、421、438、451、478年。高句麗、百済の王陵の大型化。(1辺50-80m)
    同時期には応神、仁徳天皇陵。5cから陶器、鉄、馬の技術が流入。
    5cには各地方から自由に朝鮮半島に進出、6cからは先進的文物や鉄が十分に供給されるようになったため倭王主導での強制出兵に一本化。6cからは副葬品にも馬具、挂甲、飾太刀などが。
    西日本の豪族の墳墓は大きさよりも横穴式の墓室に力を入れるようになり、近畿の大型古墳と異なり規模は小さくなる。例外が磐井の岩戸山古墳。527-528年、磐井の乱。
    物部、大伴、蘇我の三大中央貴族。屯倉や部民。

  • 考古学的な証拠をもとに著者の考えを論じている。読みにくかったがそれなりに楽しめた。

  • 弥生時代、日本列島中央部でも本格的な集団間闘争が広がった。発掘資料をもとに人びとの戦いの様相を探り、さらに戦争発動のメカニズムをも明らかにする。

  • 講談社の選書から。

    【書誌情報】
    初版刊行日2017/9/22
    判型 文庫判
    ページ数 352ページ
    定価 本体880円(税別)
    ISBN 978-4-12-206458-4

    弥生時代、日本列島中央部でも本格的な集団間闘争が広がった。発掘資料をもとに人びとの戦いの様相を探り、さらに戦争発動のメカニズムをも明らかにする。
    http://www.chuko.co.jp/bunko/2017/09/206458.html

    【簡易目次】
    第1章 戦争の根源をさぐる
    第2章 戦士の誕生――弥生時代の戦い
    第3章 英雄たちの時代――弥生から古墳へ
    第4章 倭軍の誕生――「経済戦争」としての対外戦争
    第5章 英雄から貴族へ――古代国家の形成
    第6章 国の形、武力の形――古代から中世へ
    第7章 戦争はなくせるか――考古・歴史学からの提言

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著者プロフィール

松木 武彦(まつき・たけひこ)
1961年愛媛県生まれ。大阪大学大学院文学研究科博士課程修了。岡山大学文学部教授を経て、現在、国立歴史民俗博物館教授。専攻は日本考古学。モノの分析をとおしてヒトの心の現象と進化を解明、科学としての歴史の再構築を目指している。2008年、『全集日本の歴史1 列島創世記』(小学館)でサントリー学芸賞受賞。他の著書に『進化考古学の大冒険』『美の考古学』(新潮選書)、『古墳とはなにか』(角川選書)、『未盗掘古墳と天皇陵古墳』(小学館)『縄文とケルト』(ちくま新書)などがある。

「2021年 『はじめての考古学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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