カンブリア 邪眼の章-警視庁「背理犯罪」捜査係 (中公文庫 か 91-1)

著者 :
  • 中央公論新社
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本棚登録 : 99
感想 : 15
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  • Amazon.co.jp ・本 (407ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122068490

作品紹介・あらすじ

能力って、そんなに役に立つものじゃないんですよ。

物を持ち上げたければ手を使えばいい。誰かと意思疎通したければ、その相手と話せばいい。

でも、あることに限り絶大な効果があるんです。

それは――犯罪ですよ。


三鷹の賃貸住宅で若い女性が死亡した。当初は急性心臓死と思われたが、尾島警部補と相棒の閑谷巡査は過去にも同じ部屋で女性の突然死があったことを突き止める。だが怪しいと踏んだ大家・水田をいくら調べても、証拠は出てこない。感じたことのない奇妙な感覚を覚える中、尾島はこの事件の鍵を握る青年と出会い……。


「理に背く力」を使う犯罪者に立ち向かう、二人の刑事の運命は?

感想・レビュー・書評

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  • 超能力で人殺しをした犯人を起訴して法廷で裁くことができるのか。面白い観点で描かれた警察小説だ。捜査をする尾島警部補や関谷巡査はなかなか個性があって好感が持てるが、いかにも展開が安易すぎるかもしれない。超能力なんてなかなか信じられないと思うが、関わる解剖医や検察官、裁判官が簡単に納得しているような感じ。超能力を持つ者はひょっとした新人類かもしれないということで、カンブリア爆発にちなんで題がつけられている。

  • 超能力者の犯罪を現行の捜査や裁判をもって証明し有罪にさせるためにどんどん展開していくので、続きが気になりながら一気に読めてしまいました。

    トウさんとイチの掛け合いや、元警察官の監察医や上司の巌田課長の理解のよさ、などキャラも読みやすかったです。

  • 河合莞爾『カンブリア 邪眼の章 警視庁「背理犯罪」捜査係』中公文庫。

    数々の不可思議面白ミステリーを執筆している河合莞爾らしい奇抜な設定の警察小説である。何しろ異常な殺人犯が超能力の持ち主で、その超能力を使って殺人を犯すのだから全く結末が見えてこないのだ。

    そして、主人公の堅物の尾島警部補と関谷巡査のコンビが刑事の勘と執念の捜査で殺人犯の正体を暴くのだが、果たして超能力者を罪に問えるのかというのが本作の読みどころとなる。

    三鷹の賃貸住宅で若い女性が急性心臓死で死体となって発見される。以前にも同じ部屋で若い女性が突然死していることを突き止めた尾島警部補と閖谷巡査は1階に住む大家の水田が怪しいと睨み、捜査を続ける。執念の捜査で水田が超能力を使って二人の女性を殺害したことを掴んだ尾島と閖谷は……

    作中に張り巡らされた伏線と結末から間違いなく続編があるようだ。

    本体価格820円
    ★★★★★

    • バス好きな読書虫さん
      この作品に目をつけているのが、ことぶきジローさんだけなのが、さすがです。
      この作品に目をつけているのが、ことぶきジローさんだけなのが、さすがです。
      2020/04/06
  • ここ最近の作品はAIや近未来ものが多く、読み終わる度に「鏑木班のような作品が読みたいなぁ」と思っていたが、今作でやっと警察もの復活!
    しかも、すぐに手を出しやすい文庫で出してくれるなんて、飛び上がるほど嬉しい!
    タイトルだけ見ると「背理犯罪」と言う難しい言葉に、少し引きそうになるけど、内容は超異常現象、いわゆる超能力による犯罪を裁けるか、と言うところが重要なポイント。
    きっかけが三鷹市で起きた女性の心臓死。聞き込みだけで、単なる自然死ではないと睨んだ捜査一課の尾島と、勘の鋭い所轄の生活安全課の閑谷が見えない殺人事件の謎に迫っていく。
    捜査の過程も、もちろん矛盾もなく、読ませる内容になっているが、後半の裁判から死刑執行までの過程も、考えさせられる内容となっている。
    実際に超能力による犯罪を裁く例など、参考例もない中でこれだけ納得出来る内容でまとめ上げるところが、やはりこの作家さんのすごいところ。
    キーマンとして、途中少しだけ登場する高山宙の存在もまだ明らかになっていないことから、シリーズ化すると思われる。
    尾島と閑谷の関係性も読んでいて、全然嫌味を感じないし、続編を楽しみに待とう。

  • 思いがけない話に驚いたが、面白かった。

  • ミステリとファンタジの境界線。この難しいテーマを河合さんが見事に完成させてしまった。お見事。脱帽です。早く次作を読みたいです。
    あらすじ(背表紙より)
    三鷹の賃貸住宅で若い女性が死亡した。当初は急性心臓死と思われたが、尾島警部補と相棒の閑谷巡査は過去にも同じ部屋で女性の突然死があったことを突き止める。だが怪しいと睨んだ大家・水田をいくら調べても、証拠は出てこない。感じたことのない奇妙な感覚を抱く中、尾島はこの事件の鍵を握る青年と出会い…。

  • 賃貸住宅で死亡した若い女性。急性心臓死と思われたが、過去にも同じ部屋で女性の突然死があったことがわかり、担当刑事は疑問を持つ。そして刑事はある青年と出会うことで《能力》者の存在を知り‥
    いわゆる超能力者の犯罪を警察や司法が扱うことができるのかという話で、面白かったが少々展開が安易というか都合よく進みすぎのような気はする。主人公やサブキャラにも好感が持てるので次巻も読んでみたい。

  • SFもどきの展開にどう落とし前つけるのかが気になった。が、全体に凄く満足。主人公二人組がちょっとヒーロー過ぎるかな、とは思ったが伏線も回収してるし、スピード感もあるし、荒唐無稽な感じも、重い材料をやわらげている。今迄ににない作品。次作にも期待。

  • 推理小説なのに根幹が『背理』なのです(´・ω・`)
    ことわりにそむく「理に背く」
    そこから妙に現実的具体的に現代の法律
    に基づき検事が判事が事件に向かった上
    最後には警視庁第四特殊犯捜査第八係が
    新設された・・・まさかのシリーズ化

  • 早く早くと思うあまり、頭で理解するより文字を追うほうが早くなってしまうくらいおもしろかったです。ありえないと思いながらも、もしかしたらありえなくないのかも…と思わせられるのも、一生懸命な登場人物たちも好きです。
    誤植がちょっと残念。

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著者プロフィール

河合莞爾
熊本県生まれ。早稲田大学法学部卒。出版社勤務。
二〇一二年に第32回横溝正史ミステリ大賞を受賞し『デッドマン』でデビュー。他の作品に『豪球復活』(講談社)、『デビル・イン・ヘブン』『スノウ・エンジェル 』『ジャンヌ』(祥伝社)、「カンブリア」シリーズ(中央公論新社)などがある。

「2023年 『カンブリアⅢ 無化の章』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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