燃える波 (中公文庫 む 31-1)

著者 :
  • 中央公論新社
3.51
  • (3)
  • (20)
  • (19)
  • (3)
  • (0)
本棚登録 : 286
感想 : 23
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (397ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122069824

作品紹介・あらすじ

〈ライフ・スタイリスト〉として仕事をしながら、ラジオのパーソナリティーもつとめ、多忙な日々を送る帆奈美。大学同級生の夫と猫、3人での静かな暮らしは、偶然再会した中学校の同窓生、カメラマンの澤田炯と恋に落ちたことで崩れ去る。他の男の存在に気づいた夫は、帆奈美の人格を否定する発言や行動を繰り返すようになり……。婚外恋愛がひとりの女性にもたらした大きな変化を描く、恋愛長篇。解説・中江有里。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 衣食住のプロデュースをする「ライフ スタイリスト」として活躍する、帆奈美と自分勝手で、前時代的な考え方の夫・隆一との夫婦関係は、冷えていた。

    ある日、帆奈美は、中学の同窓会で、カメラマンの澤田炯と再会する。
    同じ頃、仕事で、女優の水原瑶子と出会う。瑶子は、帆奈美の仕事を気に入り、大きなチャンスを与えられる。
    その仕事場に、カメラマンとして、澤田が来ていた。
    彼は、夫が頑なに否定し続け、価値を認めたがらない帆奈美のスタイリストとしての仕事をはっきり肯定し、称賛する。

    その頃、偶然に、帆奈美は、夫隆一の女性関係を知る。やがて、夫から、子供ができた事を告げられる。

    浮気相手に子供が出来たことを聞かされた姑は
    「夫の浮気に気がつかないのは、無関心だったから」
    「妻のあなたが、折れて、謝れば、元に戻る」
    「別れるのは、外聞が悪いし、会社での評価が下がる」
    と。
    極め付けは
    「あの子がかわいそう」

    隆一はと言えば
    「いっぺん、おふくろと話してみてくれないか」
    と。

    「はあー?」
    と、つい、突っ込んでしまったワタシ。





  • 各章のタイトルとなっている曲を知っていれば、楽しめるかもしれません。
    残念ながらほとんど知っている曲はなかったが、物語は楽しめました。
    夫婦の話や大女優との話は良いとして、中学時代の同級生との話は私には全くピンときませんでした。でも世の中あるんでしょうね。
    あとがきにもありましたが、いろいろな「ナミ」ですね。読んだ後にそんな感想をいだく恋愛小説でした。

  • 主人公が見て見ぬふりをしていた自分の感情に気づく描写がとてもリアルでした。
    無意識の自分の言動とかで、自分の気持ちに気付いたり、再確認したりすることってありますよね。

    子どもを欲しいと思う気持ちはあるけど、夫の子どもを産みたいという気持ちとイコールではない。

    深夜に帰宅したとき足音を殺すのは、夫を起こしたくないという気遣いではなくて、起こしてぐちゃぐちゃ言われるのが嫌だから。

    我慢を強いられている状態での生活が長く保てたとも思えませんが、仕事の転機と同級生との再会で一気に崩れていく。
    何かきっかけがあれば、現状打破というのはできるのかもしれませんね。
    そのタイミングを掴むかどうか。

    主人公に感情移入し過ぎて苦しくなりましたが、結末はよかったです。

  • 最後のフレーズ「おやすみなさい」は、徹頭徹尾正しい一文だと思った。
    帆奈美は、運命の波をさ迷って自分の幸福を見つけられないであろう人ーー元夫·隆一ーーに、さよならではなく、おやすみなさい、と言いたいのだ。電波/音波に乗せて、その過去の魂を鎮魂したい思いなのだろう。
    作者は、躍起になっていると思う、「優等生な自分自身」の殻を破ろう、と。ただ、私は思う、無理はしなくとも、向こうからその瞬間はやってくる。しかし、帆奈美には待たせることなどさせなかった。つまり、帆奈美の運命/人生こそが、タイトルの言うところの「燃える波」なのだろう。帆奈美には待てないほどの抜き差しならぬ情熱があり、それが己から殻を破る瞬間となる。
    波、とは、運命/人生/心のそれのことだ、月並みな言い方だが。それが身を焼く情熱で燃えるように照らされていて、「燃える波」となったのだ。
    秀でた一文というものはなかった気がするものの、全体的に調和の取れた「普通」の文章が読みやすかった。

  • ライフスタイリストとして活躍する妻と雑誌編集者の夫。裕福で満たされているように見える夫婦だが、夫の浮気をきっかけに自らの仕事や生き方を見直す女性の話。
    カメラマンの澤田が後々、自分も元夫のようなことをしてしまうかもしれないし、言ってしまうかもしれない。だから些細なことでも話し合っていきたいってお願いするシーンは妙に刺さった。
    夫の言ってることは本の中では違和感のあるメチャクチャな論理だが、自分も言ってしまうかもしれないし、言わなくても思ってしまうかもしれない。それがどんな意味を持つのか改めて自分に問いかけることになった小説だった。
    ライフスタイリストって職業も、カメラマン、雑誌編集者、女優、ラジオ番組のプロデューサーって人たちがあまりにも周りにいなさすぎて天空の世界の物語のようだ。でも、辛い思いはするし、恋もして、肌を触れ合いたいと願う。当たり前のことだが、そんな人間としての営みの大事さを感じた。とても前向きな終わり方だったので読後感はなかなかいい。
    3.5に近い4点。

  • 自分の仕事を認めてもらえるっていいよね。
    パリ、行ってみたいなぁ。

  • ここまでのクズ男もなかなかいなかろう!!!…でも実際にいそう…ってなった。その人間のクズの心理が描かれてるのはよかった。全く共感はできなかったけど。その共感のできなさには、自分に対して安心しても良いと思った。

  • 村山由佳さんお得意の展開で予想通りのストーリーだったが、安心して読み進められた。

  • 恋愛物として面白かった

  •  「燃える秋」 
    題名だけでもうlove❣❣
    それも、燃えるとくれば最高な物語❣❣
    読む前から、期待、期待。

     水原瑶子も帆奈美も、読者にいろいろな事を伝え、生きる道を教えてくれます。

     いい本ですね、やっぱり由佳も最高❣❣

全23件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

村山由佳
1964年、東京都生まれ。立教大学卒。93年『天使の卵――エンジェルス・エッグ』で小説すばる新人賞を受賞しデビュー。2003年『星々の舟』で直木賞を受賞。09年『ダブル・ファンタジー』で中央公論文芸賞、島清恋愛文学賞、柴田錬三郎賞をトリプル受賞。『風よ あらしよ』で吉川英治文学賞受賞。著書多数。近著に『雪のなまえ』『星屑』がある。Twitter公式アカウント @yukamurayama710

「2022年 『ロマンチック・ポルノグラフィー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

村山由佳の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
凪良 ゆう
湊 かなえ
凪良 ゆう
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×