ロボット-RUR (中公文庫 チ 1-4)

  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (233ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122070110

感想・レビュー・書評

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  • ロボット=機械だと思ってたら元祖は神をも恐れぬウェットウエアだったのね!

    人間の欲望の深さとそれを満たすための非人間性が怖い。
    相手は人間じゃないからその非難には当たらない、というけど
    かつてインディアンもアボリジニもイヌイットも
    黄色人種も黒人も女性も人間ではなかった。

    ロボットたちが団結して反抗してくるようになると
    「異民族ロボットを作ろう、そうすればお互い憎み合い団結しないから」
    には降参。

    それでも作者は人間の側に立って書いた、というから驚きです…

  • カレル・チャペック初読み。作者は「ロボット」と言う単語を世に知らしめた人という記憶していたので、どんな物語なのだろう、いつか読みたいと思っていた本。この物語のロボットの外見は人間そっくり、金属質感のする機械的ロボットとは異なる。アンドロイドとかレプリカントTypeだ。ヒューマノイドに近い人造人間のイメージ。1920年の作品。今から100年も前に人造、生命、魂の物語を書かれていることに驚かされた。単純に興味深く面白い。映画「メトロポリス」「ブレードランナー」「ターミネーター」の原点はここにあった。

  • こんど芝居をやると言うので原作を読んだが、ロボット、という造語が普及したのこの本きっかけだったの知らなかった。すごい影響力だ。
    今となってはよく目にするようなロボット/AI SFの原型のようなお話なのかな。休憩挟んだらヘレナがナチュラルに妻にされてた流れが一番ホラーだったけど。

  • 人間にとって、最も重要な労働力は人間である
    しかし、我々が他人を労働力という単純な商品として捉えたとき、何が起こるであろうか
    それは大量生産と大量消費である
    人間であるのに人間ではなく、労働力の化身として生み出されたのがカレル・チャペックの想像するロボットだ
    発表された時代は1921年。資本主義の暴走に抵抗し、共産主義が台頭し始めた、労働における人間性が問われた時代の一つであった
    人間はどう生き、どう働き、他者とどのような関係性を築くべきだろうか
    彼の神話的回答がこの本にはある

  • ロボットの語源だと知識としては知っていた作品。巻末の作者の言葉にある通り、いわゆる機械のロボットとは少し違う人造人間的なロボットを作り出して破滅に追いやられる人間。希望のようなそうでもないような結末。1920年に書かれたのが不思議な内容。そしてこの初版2000部のチェコ語の作品があっという間に世界を席巻して1924年には日本でも上演され、1933年にはオックスフォード英語辞典にロボットいう言葉が収録されて、ロボットという言葉と概念(少しこの作品とは異なる形で)世界に定着するというのもなかなかすごいスピード感だ。

    そんな世界文学になったこの作品の作者として「世界文学はどうやってできるか」という文章をチャペックが書いていることが、阿部賢一氏の解説で紹介されている。以下引用。

    彼のエッセイに「世界文学はどうやってできるか」(1936)がある。小国チェコの作家は世界文学になることができるか、あるいは世界文学となる作品とはどういうものかを論じた文章である。そこで、チャペックは世界文学を4つに分類している。1つは、一時的に流行する作家たち、2つ目は、あまりにも新規であるため、時間が経ってからでないと評価されない作家たち、3つ目は、歴史的なアクチュアリティを持っている作家達である。チャペックが1番注目するのは4つ目のグループである。そこで、ディケンズ、ゴーゴリらの名前を挙げ、彼らが世界文学であるとしたら、それは彼らが世界文学を意識して執筆したからではなく、民族に寄り添った作品を書こうとしたからだと指摘した上で次のように続ける。

    私たちが彼らの作品で1番好きなのは、移し変えられないもの、つまり、土地や経験という意味で、彼らだけが持っているものだ。より英国的、よりロシア的、より北欧的になればなるほど、作品は深みを帯び、世界的であることの見解も明確になる。

    つまり、世界文学となるのは人口の多寡には関係ない。小さな民族の小さな人々や小さな運命であっても、それを地理的に限定されない人々、そしてその運命であると意識することが肝要だと、チャペックは説く。別の言葉で表現すれば、ささやかな出来事であっても、それをどれだけ深く捉えるかということだろう。

    引用ここまで。

    満員の路面電車での不快感からこの作品を書いたチャペックの、出来事や経験を掘り下げて想像力を織り混ぜながら普遍的な問いかけを続けていく姿勢が人間に似ているけど違う何かに対して感じるであろう違和感と起こりうる出来事を作品に落とし込み、それが世界に受け入れられる。セッティングはチェコに土着のものではなくても、深く捉えた感覚が共有されたということなのだろう。

  • 人造人間の発明で、人類は真の幸福を得たはずだった――。「ロボット」という言葉を生み、発表から一〇〇年を経てなお多くの問いを投げかける記念碑的作品を新訳。

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著者プロフィール

一八九〇年、東ボヘミア(現在のチェコ)の小さな町マレー・スヴァトニョヴィツェで生まれる。十五歳頃から散文や詩の創作を発表し、プラハのカレル大学で哲学を学ぶ。一九二一年、「人民新聞」に入社。チェコ「第一共和国」時代の文壇・言論界で活躍した。著書に『ロボット』『山椒魚戦争』『ダーシェンカ』など多数。三八年、プラハで死去。兄ヨゼフは特異な画家・詩人として知られ、カレルの生涯の協力者であった。

「2020年 『ロボット RUR』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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