女が死ぬ (中公文庫, ま51-2)

著者 :
  • 中央公論新社
3.49
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本棚登録 : 2002
感想 : 120
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122070707

感想・レビュー・書評

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  • 気軽に読めるけど、フェミ色強くてたまにウッとなる。でもこれを狙ってるんだろうね。

  • フェミニズムが露悪的な短篇集
     ジャケ買ひ。作者による解説にも少し書いてあるが、どの掌篇も思ひつきの域を出てゐないと思った。文体はフラットだが、私にはまったくおもしろくなかった。「水蒸気よ永遠なれ」など、実験的效果を狙ったのかも知れない掌篇もあるが、こんなのは筒井康隆などが先駆してゐることで、奇をてらっただけの印象で何をしたいのかわからない。
     作者をしらべたらフェミニストだとわかって納得したが、小説からフェミニズムが浮いてゐると感じた。ツイッターで作者は《村上春樹は男のファンタジーですよね。そんな都合いい女がいてたまるかとたまにイラッときます。》と書いてゐて、村上春樹へのアンチテーゼもあるのではないかと思った。

  • 面白い。松田青子さんの脳みそ、面白すぎる。

    前情報無しに読んだから、この本はひたすらに女性性への嫌悪感や不平等さがテーマの長編物語が描かれているのかと思っていた。
    そしたら短編集で、1番最初の「少年という名前のメカ」を読んで、あ、すんごいユーモアのあるファンタジー系?(語彙力がないから何て表現したらいいか分からない)なんだ!おもろ!ってなった。

    私が好きなお話は、ナショナルアンセムシリーズ、神は馬鹿だ、まとめ、反射、この国で1番清らかな女性、履歴書
    特に「まとめ」は就活生の私にとって救われた。私の今の劣等感・焦燥感・虚無感、諸々を代弁してくれた。

    友達におすすめしたい本だし、この本を面白いって思える友達が好き。この本に登場する文化作品や俳優をちゃんと検索したら、一層笑えた。物事をこんな角度から見て、こんな風に想像して妄想して、物語にするなんて楽しいなあ、羨ましい。ほんとに些細なことでも、ふふって笑えることがいーっぱいあるんだよな、そういう感度高めで生きていきたい。(語彙力)

  • 「あなたの好きな少女が嫌い」「ボンド」など、クソみたいな現実に中指を立てて、フィクションの中で自由を謳歌する女達がとても良かった。
    掌編集なので、思い立った時に読めて旅行のお供にぴったりでした。

  • 各短編について著者の一行後書きがついていたので、こんな状況だったんだな、こんな思いだったのね、とか分かって答え合わせできてよかった。
    女が死ぬ、表題作がよかった。個々の名前やストーリーに関わらずメタ的にとらえて類型化される、そういう批評めいたことを何も言わずに淡々とそして皮肉を込めて女が死ぬ、女が傷つく、女がレイプされる、と言われると確かにそうだな、と思う。

  • 新しい感性
    初めは読みにくいが、彼女の彼女からしか
    出てこない新しい感性に基づく文章に
    新鮮な感覚を覚える。

    そう、女であること、
    女として生きてきた人生のどこかで感じた思い、
    説明しづらい生きにくさ…
    みたいなものが散らばっている。
    「女が死ぬ、男性ならではの感性、娘が恋人と別れると」など。

    逞しくも豊かな想像力に圧倒もされた。
    「みつあみ、祝福のカーテン、バードストライク!、リップバームの湖」

    そして、この時代、胸に迫る切なさ。
    早く戦争がおわりますように〜
    強い平和への願いを込めて。
    「武器庫に眠るきみに」

  • 今日この日に「武器庫に眠るきみに」を読んだことは忘れない

    翻訳文学を読んるような気持ちになったが松田さんは英文学出身なのね納得
    表題みたいな、わ!っとくる一文が上手やなと感じた
    人生はじめてのテクノロジーの味はメロンソーダだ。とか。素敵
    どのお話もおもしろかったのにこの帯はダメ、本全体の印象が変わる(悪い意味で)

  • 読んでいる=吸収している状態なのにアウトプットしたくなる、アイデアがどんどん出てくる作品。
    最後に解説ページがあるので、そちらを読むと面白さ倍増だと思います。

    ストーリーの大半で皮肉が効いていて好きでした。
    特に「あなたの好きな少女が嫌い」「女が死ぬ」「男性ならではの感性」が皮肉効きまくってて好きです。

    個人的には「星月夜」や「パンク少女がいい子になる方法/いい子が悪女になる方法」、猫は素敵シリーズも好きです。
    「星月夜」元々ゴッホのこの作品が好きなのですが、こういう視点も好きだなぁと思いました。
    「...になる方法」化粧品の品番って素敵ですよね。
    「猫は素敵シリーズ」猫は幸せでなくてはなりません。

  • 不思議なお話がたくさん入った短編集、超・短編集。

    一番最後に著者から「どういう時に・思いで書いたか」など解説ページがあり、そこを読みながら進めてもおもしろい。
    短編ながらも絶妙に皮肉がきいている。

    ちょっと変わっていて不思議な本でした。
    また読み返したいとか思うほどはハマらなかったけど。
    タイトルから勝手に、期待値を高くしすぎてしまっていました。

  • 女性らしさへの風刺も面白かったけど、一番好きな短編は「父と背中」でした。この父親はずっと息子と正面から向き合い続けてきたんだね。
    刺さるやつと刺さらないやつが半々な感じでしたが、洋画や絵画などの知識があればもっと入り込めたかも。

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著者プロフィール

作家、翻訳家。著書に、小説『スタッキング可能』『英子の森』(河出書房新社)、『おばちゃんたちのいるところ』(中央公論新社)など。2019年、『ワイルドフラワーの見えない一年』(河出書房新社)収録の短篇「女が死ぬ」がシャーリィ・ジャクスン賞候補に。訳書に、カレン・ラッセル『狼少女たちの聖ルーシー寮』『レモン畑の吸血鬼』、アメリア・グレイ『AM/PM』(いずれも河出書房新社)など。

「2020年 『彼女の体とその他の断片』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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