鏡の中、神秘の国へ

  • NHK出版
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感想 : 29
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  • Amazon.co.jp ・本 (213ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784140803462

感想・レビュー・書評

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  • 重い病気で寝たきりの少女・セシリエの前に、ちっちゃな天使アリエルが現れた。
    生きることも死ぬこともない世界にいるアリエルと、
    やがて消えゆく肉体を持って生まれたセシリエ。
    生と死について、心と体について、純真な少女と天使の会話は、
    まるで宇宙の広がりのように深まっていく。


    学校の図書館にあって読みました。
    正直、これはちょっと難しかった(´Д`;)
    結局一回しか読めてナイんで、出来ればもう一回ゆっくり読みたい作品です。

    考えれば考える程、頭の中がこんがらがった(笑)

  • いつものように、哲学を織り交ぜた物語です。
    病気でずっとベッドの中にいる少女と、突然姿を現した天使の会話でお話は進んでいきます。
    でも、ずっと対話で人間とは何か、生とは何か、と語っているだけのような感じがするので、カード・ミステリーとかの方がストーリーとして楽しめたかな、と思います。
    あまり直視したくない現実について、突き詰めているから面白く感じられない、とも言えますが(^-^;

  • 中学のときに読んだ。
    衝撃的だったなあ。

  • ストーリーを見る限り、よくあるような話の内容だと思われる方が多いと思います。
    寝たきりの少女に天使が・・・という文章を読めば荘思うでしょう。
    私も最初はそう思いました。
    でも、これは違います。

    ストーリーはよくある感じですが、哲学に関する部分が、
    様々な場面に出てきて
    子供はもちろんのこと、大人にとっても興味深く読めます。
    一方で、なかなか意味が深い部分があるので、理解するのが難しいと感じるところもあります。

    聖書の件が、本を開けるとあるので、宗教色が強いのかと思いきや
    そんなことはありません。
    ところどころ、聖書のお話は出てきますが
    聖書の枠だけに収まることのない、
    著者自身の考えが、登場人物の天使を通して語られています。

    この作品を読んでいて、とても考えさせられた部分が二つあります。

    ●1つ目はp.65-66の部分。

    「わたしたちがこの世界にやってくるのではない。世界がわたしたちのところにやってくるのだ。生まれるということは、世界をそっくりプレゼントされるということ。」

    ⇒この部分はとても興味深かったところです。
     生まれるということは、この世に出てくるという観念をずっと持っていました。
     でも、天使の言うことは違います。この世が命を持つもののところへやってくるという。
     ちょっと視点を変えると、こんな面白い発想になる。
     でも、結論は同じ気がしました。
     この世に来ても、この世をプレゼントされても、
     この世でのスタートとゴールは、やっぱり決められているのだなぁっと思います。

    ●二つ目はp.98の部分
    「神さま自身が何十億何百億もの眼を持っているんだよ。たぶん、神さまは何十億何百億の小さなレンズを、自分が創造したものたちにばらまいたんだ。いつも、自分の創造物を何十億何百億ものいろんな角度からながめていられるようにね。たとえば、人間は何百メートルも水に潜ることはできないから、神さまは魚にも眼をあたえた。人間は飛ぶこともできないから、空にはいるでも鳥の目が、命あるじゅうたんのように広がって、地上を見下ろしている。」

    ⇒読んでいて、素直に面白いなっと思った。
     でも、わたしたちの目が、神さまの目なのであれば、
     あの世に行ったとしても、この目が見た記憶は失われないのかなぁっと思った。
     大切な人たちの顔を忘れないでいられるのかなぁっと。
     できれば、思ったこと、感じたことも、神さまのレンズに写しておけたらいいのにな。
     そして・・・
     わたしたちは、神さまが作った、限られたレンズの能力を超えて
     空からの景色を見ようとし、海底の様子を見ようと
     日々、試行錯誤してる。
     こんな人間たちを神さまはどう思っているんだろうな?(笑)


    たまには、こんな本を読んでみてはいかかでしょうか?
    死から生を考える哲学の内容ではあるけれど、
    こんな堅い感じは全くありませんでした。

  • 20080711
    ネタバレ含む。・・・・・・・・・・・・・・
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    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


    (まさかゴルデルが子供を死なすとは思わなかった。
    これは魂の、存在の死ではないのだろうけれどそれでも彼女は人でなくなった。
    なにかすごくショックを受けている自分がいる。
    クリスマスの奇跡的なそんなハッピーな話は彼は書くまいとは思っていたけどもまさか。)

  • 人が生きてたり、死んだり、家族とか
    クリスマスツリーとかいろんな意味で、クリスマスの匂いがした。

  • 重い病気で寝たきりの少女セシリエ。
    クリスマスの今日もベットに横になり、家の中のクリスマスの匂いを嗅いでいた。
    アドヴェントカレンダーは、全部開かれている。
    家族は、教会から帰ってきて、楽しい時間を過ごすセシリエ。
    この日の夜中・・・。彼女は、眠りから覚めた。
    家の中は、しんと静まりかえり家族はみんな寝てるようだった。
    足元の明かりをつけると声が聞こえてきた。
    セシリエの前にちっちゃな天使アリエルが現れたのだ。
    生きることも死ぬことの無い永遠の世界にいるアリエルと、やがて消えてゆく肉体を持って生まれたセシリエは、お互いの存在について疑問をぶつけ合う。
    「この世に生きるってどんな感じ?」
    「どうせ死ぬなら生まれてこないほうがよかったかも?」
    「おとなになるってどういうこと?」
    生と死について話し合う純真な心を持った少女と天使。
    思わずはっとさせられる、ファンタジーです。
    泣けます!

  • 分かりやすい哲学の本として有名になった「ソフィの世界」の作者であるヨースタイン・ゴルデル著です。先に読んだ「哲学の問題練習」で西研がヨースタイン・ゴルデルと対談しているのが載っていて、この本の話が多かったので、興味を持ち読んでみました。死を前にした病弱なセシリエが、天使のアリエルに、人間の持つ、5感、6感を教えとく…その言葉が深くて、読者に人間の存在価値や、生きる意味や、死を考えさせられる…って感じです。哲学に近いですね。うーん、でも、やはり、もうひとひねり欲しいような。なにか足りない。でも、それが、自分で考えろってことかな?と思うとよく出来ています。おごそかな気持ちになれた一冊でした。

  • コリント人への第一の手紙 第十三章第十二節の引用が初めのページに書かれ、この言葉から、主人公の心が成長してゆく物語であることを感じる。この言葉の最後が「しかしその時には、わたしが完全に知られるように、完全に知るであろう。」で、大袈裟に言えば、彼女は真理を見つけたのかもしれない。白い雪と天使――クリスマスのこの時期、どうしても読みたくなる。

  • 重病の子が天使と宇宙・命について話し合う〜大手術を終え自宅療養に切り替えたノルウェイーの少女・セシリアの許に天使・アリエルが出現し,会話を始める。少女は天のこと,神のことは理解できないが,天使は人間のことが解らない。少女の達した結論は「わたしたちは,鏡に映ったぼんやりとしたものを見ているだけだ。鏡をのぞきこんで,むこう側にあるものをほんのすこし,見つけることもある。でも,鏡に裏にぬってあるものをすっかりはがして,すきとおるガラスにしてしまったら,もっとよくに見えるようになるだろう。ただ,わたしたちの姿は見えなくなる・・・・」「絵を描きたいと思っても,わたしが描いた絵は命をおびるものだと知っていたら,わたしは一本の線も描かないだろう。きれいな色鉛筆の中から自分では色を選べないなにかに命を与えるなんて,わたしにはとうていできない・・・・」「創造物の世界と天の国は,あまりにも大きな神秘なので,この世の人間にも天の国の天使にも理解できない。でも,この宇宙はどこかおかしい。この大きな絵は,なにかがへんなのだ」「すべての星は,いつかは落ちる。でも,星は天の大きな炎の火花でしかない」・・・ある朝,天使に誘われ空を飛ぶ〜悲しいね。所詮,人間なんてそんなものだけど,まあ折角人間に生まれてきたのだから精一杯生きなくてはいけない

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