わたしは「セロ弾きのゴーシュ」 中村哲が本当に伝えたかったこと

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  • NHK出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784140818794

感想・レビュー・書評

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  • アフガニスタンで亡くなった中村哲さんが、ラジオ番組に6回出演し、語った内容をまとめた本。 サブタイトルに「本当に伝えたかったこと」とあるが、この本を読むとよくわかる。 数年ごとに、アフガンの状況と活動の状況、自分が考えていることを語っているが、全ては人として困っている人を助けたいという信念に貫かれている感じがした。 医療から生活の改善へと活動を変えていった理由や思いがよく伝わる。普通の支援だったら、井戸を掘って用水路を作ってハイ終わり、となるところだろうが、彼はその先の将来まで気にしている。 だからアフガンから戻れなかったのだろう。 逆にそのことが支援のあり方を示す手本になっている。 現地をよく理解することが重要。
    中村哲さんの本を読むたびに同じ日本人としての誇りと失った喪失感を感じる。
    「人が生きて死ぬことの意味を、日本人は忘れているんじゃないかという気がするんですね。」
    彼は宮沢賢治の物語が好きで、自分をセロ弾きのゴーシュに例えている。 人の世話を面倒だと思いながらも、色々やってあげたことが結果的に良いことに繋がる。 ゴーシュは良い例えだと思う。

  • 荒野に希望の灯をともす を観てこちらも。

    今は、人間が生きて死ぬ、ということが直に見えない世界ということ
    鷲田清一さんもそんなようなことを仰ってた。
    生きてる人が死ぬ、という当たり前の行程が忌み嫌われて隠される。でもそうすることで、私たち自身も生に対する向き合い方が怠惰になるのかもしれない。
    去年亡くなった祖父は、最晩年はホスピスで、最期の最期も心電図はなく、私たち家族だけで息をしなくなった様を見届けたけど、ああいう経験は実はとてもとても貴重だったのかもしれないな、と。


    「苦労のしがいがある」
    こう言い切れる仕事を、私はしていない
    仕事は楽しいけど、そもそも私の仕事自体、この世に無くても世界は回る。
    ずっとずっと、こんなブルシットジョブやってて良いのかなって思ってきた分、この言葉が刺さった

    「この楽しみだけは、死ぬまで離したくないと、こういうふうに思っております」
    なんて素敵なんだろうと思った。
    そういう楽しみを見つけられる人生は、なんて豊かなんだろうと思った

  • 新聞で時々、アフガニスタンのことを書いた記事があっても難しかったこと。なにが
    起こっているのか、この本を読んで、少しみえた。医師中村哲さんの活動をつづった本。アフガニスタンでハンセン病と厳しい干ばつ。内戦での空爆。
    その環境で医療活動と、現地の人々と力を合わせた水源確保や用水路をつくること。
    食糧配給。文章のなかから伝わってくる中村哲さんの思いや信念に心がゆさぶられた。すべてはみんなが安心して作物を「食べれる」社会。
    戦争や地球温暖化、疫病で荒れた土地の緑を復活させて、人々が自分たちで暮らせる世界。今の日本で危惧されてることがもう他の国で起こっている。
    一人でも多く、中村哲さんのことばをこの本を手に取って感じてほしい。

  • ラジオ番組での中村哲さんのことばを書き起こした本。率直な表現でダイレクトに伝わる文章が良い。

  • アフガニスタンの住民が抱える問題に根元から取り組んでこられたことがよく分かった。
    これだけ壮大なことにチャレンジしているのに、偉ぶらず、淡々と語る姿に人物としての魅力が感じられた。

  • 上野千鶴子さんが、哲さんみたいな方が
    いるから男性を一括りにして幻滅する
    ことは出来ない。(こんなニュアンス)
    と仰っていたので読んでみました。

    付箋貼る箇所がめっちゃありました。
    話し口調だったので、人柄なんかも
    伝わってくるような、そしてメディアでは
    知り得なかった国の状況などがわかって
    よかった。
    人間の純粋さみたいなのが確かに
    日本には無くなってきたなと。
    細かいことで文句いいすぎだなと。


    何ていったらいいのかなぁ、
    ちょっと言い方変だけど、
    哲さんは絶対に
    生まれてきた価値のある生き方を
    した人だなと思いました。
    目の前の問題を解決しようと
    流れに任せて生きてきた様でいて、
    実は哲さんではないと出来なかった
    という気がしました。

    一方で、
    なかなか会えないご家族は、
    どんなふうに思っていたのかなとも
    気になりました。

  • アフガニスタンで活躍した中村医師そして活動半ばでの死亡、実に残念だが現地の人々への自立の道に貢献した行動には頭が下がります。

  • 【1冊フォトリーディング】【マインドマップ】
    わたしは「セロ弾きのゴーシュ」/中村哲

    快な目的として、どうしてアフガンに滞在したのか知りたい として読み始めました。

    3つの質問を快な目的を達成できました。
    しかし、自分の質問や目的が、あまりにも、ちっぽけで、近視眼的であったことに気付かされました。
    人生やセカンドライフの生きがいを考える上で、
    エンドポイントの「死生観」の着眼点を入手できました。

    とても大きな大きな思考を始めると、一歩踏み出せなくなるので、
    中村先生から、”一つの縁だよ” ってシンプルに考えれば
    ってアドバイスもらった読後感でした。

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著者プロフィール

1946年(昭和21年)福岡県生まれ。医師。PMS(平和医療団・日本)総院長/ペシャワール会現地代表。
九州大学医学部卒業。日本国内の病院勤務を経て、84年にパキスタンのペシャワールに赴任。以来、ハンセン病を中心とした貧困層の診療に携わる。87年よりアフガニスタン難民のための医療チームを結成し、山岳無医地区での診療を開始。91年よりアフガニスタン東部山岳地帯に三つの診療所を開設し、98年にはペシャワールにPMS基地病院を設立。2000年からは診療活動と同時に、大干ばつに見舞われたアフガニスタン国内の水源確保のために井戸掘削とカレーズ(地下水路)の復旧を行う。03年、「緑の大地計画」に着手、ナンガラハル州に全長27キロメートルに及ぶ灌漑用水路を建設。その後も砂嵐や洪水と闘いながら沙漠化した農地を復旧した。マグサイサイ賞「平和と国際理解部門」、福岡アジア文化賞大賞など受賞多数。19年10月にはアフガニスタン政府から名誉市民証を授与される。
2019年12月4日、アフガニスタンのジャララバードで凶弾に倒れる。
著書:『ペシャワールにて』『ダラエ・ヌールへの道』『医者 井戸を掘る』『医は国境を越えて』『医者、用水路を拓く』(以上、石風社)、『天、共に在り』『わたしは「セロ弾きのゴーシュ」』(以上、NHK出版)、『アフガン・緑の大地計画』(PMS&ペシャワール会)、『希望の一滴』(西日本新聞社)など。

「2023年 『中村哲 思索と行動』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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