- Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
- / ISBN・EAN: 9784140818992
作品紹介・あらすじ
私たちは宇宙の謎の核心にここまで近づいている!
ビッグバン、素粒子のふるまい、ブラックホール、ダークマター……。アインシュタイン以来、宇宙のあらゆる事象を記述する究極理論、たったひとつの数式を、科学者たちは探求しつづけてきた。そして現在、多くの一流物理学者が、その答えに近づいていると考えている。『サイエンス・インポッシブル』『人類、宇宙に住む』等の著作で科学啓蒙に携わってきた著者が、本書では自らの専門分野にたちかえり、究極理論の「筆頭候補」であるひも理論研究の第一人者として、科学者たちの真理をめぐる論争と情熱、そしてその最前線を明快に語る。魅力的な科学者たちの挑戦の物語を読みながら、現代物理学のキーワードを一望できる一冊。
感想・レビュー・書評
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万物の理論=神の方程式は「ひも理論」であることを提示する。
ニュートンが運動と重力の法則を打ち立てた結果、産業革命の礎が築かれた。ファラデーとマクスウェルが電気と磁気の力は一つのものだと明らかにすると、電気の革命が幕を開けた。アインシュタインや量子物理学者たちが、現実の本質は確率論的で相対的であることを示すと、今日のハイテク革命の火蓋が切られた。
そして近い将来、四つの基本的な力(重力、電磁気力、強い力、弱い力)の全てを統一する万物の理論=神の方程式への収斂がなされるかもしれない。それが「ひも理論」だ。
実に興味深いのは、万物の理論が打ち立てられたらさぞ科学や文明の発展に寄与するものだろうと思うところ、著者は私たちの日常生活には何ほどの影響もないだろうとしていることだ。ニュートンやアインシュタインもたらした科学的成果の人間者社会への影響とは極めて対照的な見方だ。
そしてこの理論が影響するところは「宇宙はどこから出てきたか」といった哲学的な問題だとしている。生命の創始者としての神はともかく、秩序ある宇宙の創始者を否定することはできない、としている。
秩序ある万物の理論は、どこからきたのか・・?確かに、科学は「万物の理論そのもの」を解明するかもしれないが、「万物の理論が存在する理由そのもの」は、科学的な実証の範囲の外にある気がする・・。
本書は物理学の歴史を振り返りつつ「ひも理論」の概要を一般読者にも分かりやすく解説されつつ、科学の「その先」へも触れた非常に興味深い著作。充実した読後感。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
数式を全く使わずに説明している。サイエンスライターかと思っていたが、そうではなく研究者である。理科の学生ではなくどの学生でも簡単に読めるし、中学生、高校生でもよめるであろうから、13歳のための宇宙論というタイトルで岩波ジュニア新書にすれば売れるであろう。朝日新聞の書評で紹介されていた本だと思う。
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面白かった。
ニュートン力学、電磁気学、相対論、量子論
を統一していき、今最も有力視されている、すべてを統一する理論が
ひも理論(or M理論)。
今物理学を勉強したいとなんとなく思っていたけど、
火が付いた。
まずは解析力学や場の古典論からかな。 -
完全文系ですが、三体で出てきたひも理論、10次元(11次元)などの表現が、実際の理論に基づいているとのことで興味を持ち、この本を手に取りました。
読み終わった感想としては、言ってることの半分も理解できなかったですが、それでも数式を使わずなるべく平坦な言葉で説明してくれるので、なんとなくの概要は掴めたような気がしています。それもこれも、作者の解説が異常に上手いからですね。
いきなり本題に入るのではなく、アインシュタインをはじめとする数多の物理学者がどういった挑戦を経て理論を構築したか。また、それによって生み出されたブレイクスルーや課題を一つひとつ丁寧に説明してくれたので、最後までワクワクしながら楽しんで読むことができました。特に、対称性という概念がただ美しいというだけでなく、実は中心的な要素であるという気づきに至るまでの流れはちょっと鳥肌がたちました。
いつか万物の理論が見つかった時、世界はどうなるのか。作者が述べた通り、それは相当未来のことでしょうし、特段私たちの生活への影響はないのでしょうが、それでも未来に思いを馳せずにはいられません。 -
重力と量子論を統合した万物の理論を探して、科学者が取り組んできた歴史から解説している。両者を統合できるのはヒモ理論しかなく、10次元,もしくは11次元がこの世界の姿かもしれないと言う事になるようだ。
ただ、まだこの理論は完全には理解されていないと言うことなので、ある意味その事には驚きを覚える。
万物の理論があるのか、それは何故存在するのかと言った哲学的な領域まで本では話が及ぶ。
興味は尽きない。 -
一つ一つの理論は理解が追い付かないし、目に見えない話だけに実感も乏しいが、理屈は平易な言葉に置き換えられ、筋が通っている事も伝わるだけに、科学本というよりは空想小説を読んでいる感さえあった。近代から今日までの科学史とその発展、それぞれの発見がもたらした意味など、読み物的面白さはあり、素人でも読み通せるのは著者の筆力。20世紀初めの時点で、科学は行き着くところまで辿り着いたと認識されていた話や、例えばブラックホールの存在は予言されていたが、最近その撮影によって証明されるまで100年以上かかった事例など、科学的知見の進化はとどまる事が無いし、即ち絶対に時間を要する事でもある、という点、無限の可能性と、今を生きる”我々”の限界を知らされもした。
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初心者にもわかりやすく書かれているとは言いながらも内容はやはり難しく、大きな物理学の流れをなんとなく分かったような気にしてくれただけだった。
ひも理論の10次元11次元はまるでSF映画を見ているようで映画としては面白いが、しっくり理解するには程遠かった。
物理学の世界はどこまでいくのだろう。宇宙の起源は見つかるのだろうか? -
名前だけふんわりとしか知らなかったひも理論という物がどんなものなのか少しだけ解像度が上がった
まぁそれでもまだ全然難しいんですけれども -
こんなにもわかりやすく宇宙物理学、量子論について語った本は無いかもしれない。
凄く面白いので個人的にはとてもおすすめです。 -
ひも理論に行き着くまでの経緯、なぜそれを追い求めるのかをわかりやすくエンタメ性高く書かれていて面白かった。ひも理論は宇宙の終焉に対する救い。
好きなフレーズ:「十分にいかれているのか?」