泥棒はライ麦畑で追いかける―泥棒バーニイ・シリーズ (ハヤカワ・ポケット・ミステリ) (ハヤカワ・ミステリ 1705 泥棒バーニイ・シリーズ)

  • 早川書房
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感想 : 13
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  • Amazon.co.jp ・本 (331ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150017057

感想・レビュー・書評

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  • 泥棒探偵バーニイがパディントンホテル@NYに住むとある大物出版エージェントの部屋に有名作家からの手紙を盗みに入るのだが、そこで出くわしたのは思いがけずベッドに横たわる死体。

    有名作家のモデルとなっているのはタイトルからご想像通りのあの人。
    人前にめったに姿を現さない暮らしぶりや、女性をめぐるエピソードなど作家の来歴をトレースしており、物語の味付けとして抜群。
    (ただ自分はあの本は未読なので今度読んでみようと。)

    ローレンス・ブロックは所読だと思うが、ザ・謎解きミステリの凡庸さはさておき、軽妙な会話がふんだんに入っているなかなか心地よい読書体験だった。

    古本屋と猫の組み合わせも『本の虫の本』を読んだ後では味わい深い設定だった。

  • 泥棒探偵バーニィーシリーズ9作目とあった。早いなー。アル中探偵マット・スカダーや、殺し屋ケラーも素敵だが、バーニィーもとても素敵。ウィットの含まれた会話っていうのが、英語版で読んでいないのでいまいち伝わらないが、会話自体を楽しんでいるのが分かってそこが好き。「ライ麦畑でつかまえて」の話が織り交ぜてあり、読んでいたらもっと楽しめたかも。実は未読。村上春樹訳の「キャッチャー・イン・ザ・ライ」は買ってあるのだか…読むのが楽しみです。

  • 泥棒バーニィの9作目。

    有名な作家サリンジャーにも興味はないし、
    「ライ麦畑でつかまえて」の世代でもないし、
    またバーニィが美女にだまされているが、
    NYに戻れて良かった。

    作家と一緒に暮らしたことのある美女から、
    作家の手紙を盗み出してほしいと頼まれる。
    芸術家が多く長期滞在する伝説的なホテル、パディントン・ホテルから。

    個人的には、クマのぬいぐるみ、パディントンが貸し出される
    このホテルの方が気になる。
    日本人はクマ必ず借りるし、時には二頭も三頭も。
    写真を山のように撮るし、
    最後にはお金を払ってでも連れて帰る。
    よくわかっていらっしゃる。
    多分、自分も同じことをすると思う。
    実在するのであれば、というか実在してほしい。

    バーニィがだまされているのは美女に、だけではない、
    従業猫のラッフルズの「ニャー」にもだまされて、
    エサの二重取りをされている。
    バーニィは泥棒かもしれないが、
    詐欺師には向いていない、ということだ。

    でも、最後に作家の手紙を燃やして、いや燃やしたと見せかけて、
    手紙をほしがるみんなに売りつけ、
    警官レイにも分け前をうまく渡して、
    がっつりもうけたので、詐欺師としてもやっているかも。

  •  ライ麦畑?サリンジャー?どこでつながるのだろうと最後まで読んでもわからなかった。解説に主役の作家のモデルがサリンジャーで有名な実話を下敷きにしてある、と書いてあって納得。だいたいサリンジャーって読んだこと皆無だし気づくわけがなかった。こういう人だったのね。例によってバーニイが盗みに入った先で死体に出くわしてというお定まりのスタート。ホテル内の盗難事件とか殺人事件とかが錯綜してややこしいが、最後にすべてがつながってめでたしめでたしとなる。犯人の意外性もまずまずで、中だるみのマンネリっぽかったシリーズ後期作としては成功しているのでは。後日譚で問題の手紙をしかるべき人々に渡して結局1セントももうからなかった...、のではないところも気が利いている。まったく食えないやつ。

著者プロフィール

ローレンス・ブロック Lawrence Block
1938年、ニューヨーク州生まれ。20代初めの頃から小説を発表し、100冊を超える書籍を出版している。
『過去からの弔鐘』より始まったマット・スカダー・シリーズでは、第9作『倒錯の舞踏』がMWA(アメリカ探偵作家クラブ)最優秀長篇賞、
第11作『死者との誓い』がPWA(アメリカ私立探偵作家クラブ)最優秀長篇賞を受賞した(邦訳はいずれも二見文庫)。
1994年には、MWAグランド・マスター賞を授与され、名実ともにミステリ界の巨匠としていまも精力的に活動している。

「2020年 『石を放つとき』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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