ラスト・チャイルド (ハヤカワ・ポケット・ミステリ 1836)

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制作 : 東野さやか 
  • 早川書房 (2010年4月9日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (457ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150018368

ラスト・チャイルド (ハヤカワ・ポケット・ミステリ 1836)の感想・レビュー・書評

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  • なかなか翻訳されたものだとシックリくる本に出会えませんでしたが、久々のヒット!
    最後の展開も予想外でしたし、
    終盤、「神」とか「スピリチュアリ」をイヤミにならない程度で織り交ぜているのも自分的にはグーでした。

  • 2011年エドガー賞

    なんかいろいろ受賞してるし面白いのかな?で読んでみる。

    ジョニー・メリモン 13歳の少年
    アリッサ      双子の妹
    キャサリン     ママ
    ハント       刑事
    ジャック      ジョニーの親友
    リーヴァイ・フリーマントル  脱獄囚

    前半の暗い設定でページが進まない
    たぶんハズレだなぁと思いながら読み進めると
    後半じわじわ面白くなりミステリー的にもなかなか
    ラストは崩壊した家族にも光が差し込み
    胸にジーンと来る感じ
    ジャックが可哀そうで
    ラスト1行にホロリときました


    前半★+後半★★★★★=★★★みたいな

  • 事件が解決され、犯人が誰か分かった後、もう一度はじめから読み返すのが好きだ。張られた伏線も、ミスディレクションも、手に取るようによく分かるから。しかしながら再読したくなる小説はそう多くない。大抵は犯人の隠し方に無理があったり、語り手が重要な手がかりを充分明らかにしていなかったりして、不満が残る。しかし、なかには再読可能な作品もある。ミステリとしては瑕瑾があっても、それを問題にしたくないほど読ませる力を持つ作品が。

    これもそういう作品の一つである。『終わりなき道』、『川は静かに流れ』に次いで、ジョン・ハートを読むのはこれで三作目。それまで読んだ二扁は再読しなかった。アメリカ探偵作家クラブ賞をとった『川は静かに流れ』は、『終わりなき道』よりは良かったが、人間の描き方に不満が残った。この作家は、殺人という罪を犯す人間は、外見はどう見えていても、実のところはみな異常者だと思っているのではないだろうか、という疑念がぬぐえず、三度目の正直を期待しながら読んだ。

    ジョニーは十三歳。双子の妹アリッサは一年前に誘拐された。母キャサリンは、娘が戻らないのは迎えに遅れたあなたのせいだと父を責めた。優しかった父は家を出た。働き手を失い、家庭は崩壊する。貸家に移った母子を家主である町の有力者ケンが蹂躙した。母はドラッグと酒で心と体を支配され、息子は絶えず暴行を受けた。ジョニーは神に祈った。母が薬をやめ、家族が戻り、ケンが死ぬことを。神は答えなかった。聖書を焼き捨て、ジョニーは犯罪常習者を監視する。

    一方、担当刑事のハントもすべてを犠牲にしてアリッサの行方を追っていた。そんな夫に業を煮やした妻は離婚。一人息子は心を閉ざしていた。父と子という主題は、この作品でも大きな役割を果たしている。事件から一年後、ジョニーは一人の男が何者かに殺されるところを目撃する。男は、死ぬ前に「あの子を見つけた」、「連れ去られた少女」、「逃げろ」とつぶやく。必死で逃げるジョニーの前に巨漢の黒人が現れる。男は逃走中の服役囚だった。男の耳には声が聞こえた。「少年をつかみ上げよ」という神の声が。

    少年の冒険活劇という側面がこの作家にはめずらしく作品に明るさを呼び込んでいる。親友ジャックとつるんで学校をサボり、酒やタバコをやり、無免許で車を転がす少年像は、トム・ソウヤーとハックルベリー・フィンの系譜に連なるものだ。不良っぽいが、知識欲があり、図書館の本は延滞せず、何度も借り直すという律義さも持っている。インディアンの儀式に必要な羽をとるために鷲と格闘する勇気もあれば、餓死する運命にある雛鳥に心を痛める優しさも併せ持つ。

    一つの事件を追うのではなく、一見関係のない複数の事件が起き、それらがからみ合うプロットがよくできている。少女誘拐事件はジョニーの活躍もあって意外な展開を見せるが、妹は依然として見つからない。組織力のある警察機構より、十三歳の少年が一歩前を行くというのは、どう考えても無理があるが、ハントはことごとく少年たちの後手に回る。そんなハントに代わり、事件解決に力を発揮するのがネイティヴ・アメリカンと黒人の混血、リーヴァイ・フリーマントルという大男。

    アメリカという国の歴史や宗教を背景に取り込むのは、この作家のよく使う手だが、今回は奴隷解放の先駆者であった一人の男と彼が救った黒人奴隷の子孫(ラスト・チャイルド)がキー・パーソンになっている。神の前の平等は奴隷制度には都合が悪い。白人は自分たちの信じる神を黒人が信仰することを禁じた。白人に隠れてキリスト教を信奉した人々は、ハッシュ・アーバー(隠れ教会)と呼ばれる森の奥や湿地に集っては祈り、神を讃える歌を歌った。ゴスペルの始まりである。

    救った側と救われた側のラスト・チャイルドの遭遇が奇蹟を起こす。今さらノックスの十戒やヴァン・ダインの二十則を持ち出すと笑われるかもしれないが、超自然的な力や、妹の事件の解決の仕方についてミステリとして気になるところはある。ただ、そこが小説のミソなので、結果論になるが、英国推理作家協会賞最優秀スリラー賞を受賞しているのだから、問題ないということにしておこう。個人的にはジョン・ハートの作品では、今まででいちばん面白く、後味もいい。ミステリという狭い枠にとらわれることなく、楽しんで読める作品になっている。

  • 伊勢BF

  • 2015/6

  • 暗い

  • いくつかの家族の崩壊と再生の物語。
    最終的には「人が人生を生き直す瞬間」を描いた希望に満ちた物語ではあるが、そこに至るまでの悲惨さは読んでいて辛くなるほどだった。

    主人公ジョニーの抱える絶望の深さは読んでいて凹んでしまうほどで、息子を持つ父としては、「俺がいたらそんな思いさせないのに!」と息子への愛情をより深めるきっかけにもなりました。

    タイトルにもなっている「ラスト・チャイルド」の意味がまた強烈で、双子の片割が失踪してしまったことで、自分自身を「残された方の子ども(the Last Child)」と呼ぶジョニーの気持ちを考えると胸がいたい。
    それでも、たった一本の蜘蛛の糸を伝うように懸命に前に進もうとするジョニーの心に胸を掴まれる一冊だった。

    これは傑作だ!

  • 友情と愛情といった正なるものと,
    裏切りや邪悪といった悪なるものとの対比がすばらしい。

  • 図書館で借りたので、古い早川ミステリーの方で
    めちゃ懐かしかった!

    これには主な登場人物がストーリーの前に書かれているので
    ある意味、ネタバレなのですが・・。

    ミステリーファンにとって、この本の醍醐味は最後の最後、
    変質者が犯罪を犯したという事実が判明した後。
    もうほとんど主な登場人物は出てきたし、
    変質者が犯人ではミステリーではなくなるし、
    どーすんだ?? というところから。

    なんとなく怪しい人は察しがつくけれど
    それを上回る結果で・・
    この結果を知った上で、伏線を確かめながら
    もう一度読んでみたいと思わされる。

    う~ん、技ありだな~

  • 少年の孤独な調査と違うところで起こっているような家庭のことが最終的にああなるとは。グリーンなんとかって映画と似てるか…いや微妙^^;すごく好きな書き方だったのでこの人の本を読み漁ろう。

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ラスト・チャイルド (ハヤカワ・ポケット・ミステリ 1836)の作品紹介

十三歳の少年ジョニーは、犯罪歴のある近隣の住人たちを日々監視していた。彼は、一年前に誘拐された双子の妹アリッサの行方を探しているのだ。美しい少女だった妹は何者かに連れ去られたが、警察はいまだ何の手がかりも発見できずにいた。ジョニーの父親も、娘が誘拐されてまもなく謎の失踪を遂げていた。母親は薬物に溺れるようになり、少年の家族は完全に崩壊していた。ジョニーは学校を頻繁にさぼり、昼夜を問わない危険な調査にのめり込んだ。ただひたすら、妹の無事と家族の再生を願って-英国推理作家協会賞最優秀スリラー賞受賞作。

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