寅申の刻〔ハヤカワ・ミステリ1844〕 (ハヤカワ・ミステリ 1844)
- 早川書房 (2011年2月4日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (202ページ)
- / ISBN・EAN: 9784150018443
感想・レビュー・書評
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ディー判事のシリーズはこれで最後。中編2つが収録されています。
こんなに終わるのか惜しいシリーズも久しぶり。
複雑になり過ぎず、時代背景や文化がさりげなく解説されていて、邦訳もすごく読みやすい。
テナガザルが落としたエメラルドの指輪から始まる謎、都への道中に洪水で孤立した砦に独り居合わせた判事が巻き込まれる謎。
テナガザル〜では勤めて間も無い副官に気を遣う判事が見れるのも良いです。こんな上司と働きたい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
中編2話収録。
シリーズ最終巻てことで、でもいつもの馬栄とか喬泰とかは出て来ないの。寂しいぜ。 -
ディー判事シリーズ最終巻で、中篇2本を収録する。サルが持ってきた指輪と関連した殺人事件に挑む「通臂猿の朝」と、都へ急ぐ判事が、黄河の洪水で足止めを食った田舎屋敷で、その家の娘の死について謎を解く「飛虎の夜」の二話である。どちらもあっさり風味だが、シリーズのしめくくりとして押さえておきたい。
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仕事のストレスたまると読みたくなるディー判事シリーズ。まだ長編を時系列で読んでる途中だけど、とりあえずすぐ手に入るのが最後に刊行されたこれでした。
1篇めの「通臂猿の朝」では、切りとられた死体の手から落ちたエメラルドの指輪を朝、手長猿が運んできて、夕には解決という、あいかわらずの迅速ぶり。でもなんであの人が犯人ってわかったのか、何度読み返してもわかりません、判事!
2篇めの「飛虎の夜」、私これ好きだなあ。増水した河のために孤立無援となり、今にも盗賊たちに攻め落とされそうな屋敷に、わけありそうな家族が緊迫感をいやがおうにも高め、最後の幕切れも見事です。 -
日本人でない作家による昔の中国ものってはじめてで新鮮だった。しかし文体にのれず中断。
いわゆる中国ものっぽさ(日本の小説における)が染みついちゃってるせいかな?昔話風にしたいのか、文体はあくまで現代推理小説にしたいのか、フラフラしてる感じで読んでてとまどった。
(短編だからか)地道な調査にもとづく推理でなく天才的ご明察を披露する判事様には昔話文体が似あうとおもうけど、ハヤカワ・ミステリには受け容れられないという判断なのかなぁ。