三銃士の息子 〔ハヤカワ・ミステリ1882〕

著者 :
  • 早川書房
3.06
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感想 : 14
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  • Amazon.co.jp ・本 (361ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150018825

作品紹介・あらすじ

あの有名な三銃士に、息子がいた! 高貴な血を引く令嬢を救わんと機知と気品と力を兼ね備えたスーパーヒーローのダイカツヤク。脱力ギャグと「あり得ない」展開で世紀の冒険を描き切る大長篇!

感想・レビュー・書評

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  • デュマの「三銃士」の続編というかパロディというか。
    おばかで笑える!ユーモア冒険小説。

    17世紀フランス、その名も高い三銃士アトス、ポルトス、ダルタニャンの血をひいて生まれた息子がいた。(三銃士といってもなぜかアラミスは出てこなくて、ダルタニャンが入ってます)
    三銃士全員の息子というとぼけた設定で、番犬ならぬ番羊?を従えてパリにやって来ます。
    父親たち!のいいところばかりをとった勇敢な若者に育っていました。

    ダルタニャンの(だっけ?)元従者のブランシェは、パリで食料品店をやっている。
    ブランシェが縁あって育てた娘ブランシュ=ミニョンヌはすっかり美しくなり、何者かに狙われていた。
    十人の悪党が彼女をさらおうとするが、その怪我にいるのは誰あろう、公爵‥?

    三銃士の息子は美女を助けて、奇想天外な大活躍。スペインにも渡ります。
    そこで出てくる「人道的闘牛」というのも面白い。つまり儀式にのっとって全部やるけど、全然殺さないんですね。作者は闘牛に詳しかったんだそう。

    イラストも、カミ自身によるもの。
    元々、風刺イラスト画家で、シャーロック・ホームズのパロディなども書いていた作家さん。
    古い作品ですが、レトロ可愛い。
    熱意溢れる仕上がりで楽しめました☆

  • ポップな装丁と、『三銃士』を完読した者としては読まねば!という謎の使命感で手に取った。原題はまんま《LE FILS DES TROIS MOUSQUETAIRES》。

    タイトルどおり、「三銃士の息子」が登場する。件の「息子」氏が薄幸の美しい女君を守るため、パリからスペインを走り回るスチャラカ活劇スピンオフ小説。スピンオフのお約束として、序盤で本歌のまとめをさくさくとやってしまうのだが、このざっくり切り捨てる感が可笑しい。ほんとに短い。同じスピンオフカテゴリの『高慢と偏見、そして殺人』では、文庫版で900ページほどの原作のサマリーに20ページほど費やしていたのに、これは厚さ3センチ弱の文庫本11巻分のボリュームが2ページで終了(笑)。そりゃ、前の世代の人はほとんど天に召されてるんだけども…もうちょっといたわってやってちょうだいな、と原作好きは思うのですよ。お父上がたの遺言の雑さといい(笑)。

    すっとぼけた筆致で息子氏の大活躍を描くものの、地味に原作の筆致をなぞっていて、結構気が抜けない。肝となる出来事が、太陽王・ルイ14世が財務卿・フーケの催すヴォー城での大宴会で起こるので、このあたりは『ダルタニャン物語』第8巻の『華麗なる饗宴』のあたりを知っていたほうがいいのかなあとは思う(まあ、それはそれでどっちでもいい気もするけど)。息子氏や侍従の繰り出す剣技はまったくの香港映画テイストで、このへんはなんだか『高慢と偏見とゾンビ』を彷彿とさせる気がする。

    意外と胸躍るのが、人道的闘牛士・キュウリモミータ(原文ではどうなってんだろ)の登場する場面。このへなちょこマタドールがただのにぎやかしではなく、結構いいところを持っていくのと、カミは闘牛に造詣が深かったとのことで、闘牛のプロセスが端的に美しく説明されており、ドラマチック加減も冴えていて楽しかった。

    これだけ読んでも「バカだねー」と楽しめるけど、やっぱり原作を知っていたほうがじわじわくるような気がする。カミ自身の手になるイラストもすっとぼけていて楽しい。個人的には「鉄仮面」氏のイラストが、どう見ても潜水士にしか見えなくてお気に入りです。

  • 『三銃士の息子』の冒険譚。

    カミはやはり素晴らしいw
    先ず三銃士の息子が三銃士全員の血を引いているというとんでも設定。しかもその三銃士の中にアラミスはいないんだよ! (アラミスは僧籍に入ったからか?)
    些細なところまでこだわっているくせに、訳者に地文でツッコミを入れられるような適当さも持ち合わせ、かつ荒唐無稽な話でありながら骨組みはしっかりしている。
    作者手ずからの挿絵と共に非常に楽しませて頂きました。
    そしてポケミスでありながらこの装丁は何とも素晴らしいの一言。
    万人受けはしないだろうけど、自分は好きだ。

  • 『三銃士』のパロディ小説。
    カミといえば『クリク・ロボット』のバカバカしさに腹を抱えて笑った読者も少なからずいると思われるのだが(あれは面白かった)、こちらも負けず劣らず。んなアホな、とツッコみつつも、冒険小説のキモを押さえたプロットで読者を引き込んで行く。
    収録されているユーモラスな挿絵はカミ自身の手によるもので、これを眺めるのもまた楽しい。

  • 一番印象に残った人物はアラミスです。クリク・ロボットのカミによるユーモア長篇。三銃士の息子が美女と正義のために突っ走る。あの名台詞、「ひとりはみんなの〜」の拡大解釈がすてき。そしてこの先スポンジやクレープを見るたびに笑えるんだろうなと想像してまた笑っている。

  • 言うほど抱腹絶倒ではなかったけど
    まぁ面白く読んだ。
    三銃士の息子は結局あまり何も
    してない気が…

  • センスが天才的。ツボすぎる。

  • 53:そんな馬鹿な! というエピソードで綴られた一冊。三銃士、好きなんやなー(笑)

  • すっごいおもしろかった!!やっぱり『カミ作品&高野さん訳』は素晴らしいな!!
    <訳者あとがき>の一行目にあるとおり、「抱腹絶倒のユーモア冒険小説」な、ご都合主義すぎるバカミスではあるんだけど、そこがいいんだ!!
    で、「抱腹絶倒」の大部分は、訳者の高野氏の翻訳がやっぱり素敵で、ダジャレ・韻を踏むをがっつり繰り出し笑えるお話に仕上げている、すごい手腕!
    やっぱり高野さんのファンにならざるを得ない~♪
    おもしろかった!
    そしていい話だった!!

  • カミ作品初読み。
    どうやら私には海外のユーモアは理解できないらしいことがわかりました(笑)

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