木曜殺人クラブ 逸れた銃弾 (HAYAKAWA POCKET MYSTERY BOOKS No. 1)

制作 : 内山 暁子 
  • 早川書房
3.94
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本棚登録 : 340
感想 : 37
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  • Amazon.co.jp ・本 (496ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150019938

作品紹介・あらすじ

大規模な詐欺事件を調査していたキャスターが、不可解な事故で死んだ。〈木曜殺人クラブ〉は、事故の裏に何かあると直感し、捜査を始める。一方、メンバーのひとりであるエリザベスは、友人のジョイスを殺されたくなければ元KGB大佐を殺すようにと脅迫され……。

感想・レビュー・書評

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  • ヘンテコで魅力満点の鬼スゴ老人集団、木曜殺人クラブが挑む事件とは… #木曜殺人クラブ #逸れた銃弾

    ■きっと読みたくなるレビュー
    個性抜群の老人たちが未解決事件に挑む、木曜殺人クラブの第三弾。今度は事故死と詐欺事件、しかも捜査中にエリザベスが脅迫されてしまうという…

    相変わらずの元気な老人集団、木曜殺人クラブの面々。毎週木曜日に集まって、よさげな未解決事件を見繕って勝手に捜査を始める。しかも解決しちゃうという驚異的なチームです。

    このクラブのメンバー、これまでのシリーズではキャラ付けや過去や背景が見え隠れしていたのですが、本作ではもうそのミステリ要素はありませんね。思いっきり大暴れしています。その他のキャラクターも元気で物語に参加していて、読んでいてめっちゃ楽しい。

    以下、キャラの好きなところです~

    ■木曜殺人クラブ メンバー
    〇エリザベス
    リーダー的存在、前職が非常に過激ですが、本作では結構苦労していますね。しかし今回は夫を愛しむ気持ちが豊潤に描写され、身近な人間性を感じられます。

    〇ジョイス
    八十歳を超えてると思うけど精神年齢は女学生と同じ。可愛いんだけど、実際にいたら若干コワイ。しれっととんでもないことを発言するところが非常に好き。たぶん彼女はメンバーのマスコット的な存在で、非常に大切にされているんだろうなぁと思います。

    〇ロン
    マッサージの件が爆笑。いい年して、若い女にうつつをぬかして、何やっとんねん。でも、この硬派はところがイイんですよね、終盤はカッコ良かったですよ。

    〇イブラヒム
    きっちりしてて、クールなんだよなぁ。若い頃はモテただろうな…私もモテたい。

    ■その他の愉快な面々
    〇ヘルパーのボグダンと女性警察官のドナ
    幸せそうでいいですね。でも実は微妙な関係性であるところが辛い。

    〇ニュースキャスターのマイク、メイク係のポーリン
    本作ではこのサブキャラが、非常に良い味を出しています!

    〇エリザベスの夫、スティーブン
    エリザベスを想う優しさ、そして真面目な性格が美しい。やっぱり優しい男ほど強いと思うわ。

    そして何と言っても本作の事件の真相、解決へのアプローチが最高でしたね。まさに愉快痛快大爆笑!終盤からの展開は、目が離せませんでしたね。

    もっともっと元気に健康に長生きして欲しい木曜殺人クラブの面々と仲間たち。次回作も期待しています。

    ■ぜっさん推しポイント
    本作の特徴でもあるのですが、物語が一つの筋で語られるのではなく、群像劇のように各キャラクターの場面場面が次々に展開されるんですよね。まるで海外ドラマを見ているかのようです。あまり物語を隅々まで理解しようと綿密に読むよりも、勢いで読んだほうが楽しめます。

    ただもちろん話の骨子はしっかりしているので、読み応えも腹落ち感も抜群。そして何よりキャラクターが力強い。正直、国内ミステリーでは、あまり体験できない魅力ですね。気になった方は、是非このヘンテコ集団を体験してください。

  • 高級リタアメントビレッジに暮らす、<木曜殺人クラブ>の4人(エリザベス、ジョイス、ロン、イブラヒム)が過去の未解決事件解決に東奔西走するシリーズ第3弾。
    今回は大規模詐欺とその収益のマネーロンダリングを追っていたニュースキャスターが崖から転落死を遂げた事件の真相究明。死体はどこに、そして金もどこに。

    この調子だと、アンソニー・ホロヴィッツやピーター・スワンソンらと共に年に1冊のペースでは読めることを期待しちゃっていいのかなと思わせる、安定の作家。

    1作目が出たときは、ホロヴィッツの対抗馬的な宣伝だったり、タイトルが想起させる往年の名作だったりで、オールドファッションミステリの現代アレンジという見方をしていた。
    だが、本書を読んで、どちらかというとドタバタミステリ色が強まってきているのではと思った。悪い意味ではなく、いい意味で。
    ドタバタ系というとミステリとしてのプロットは弱く、深みよりはスピード重視の目まぐるしい展開を繰り返しながら駆け抜けていくという印象が強いが、本書はミステリとしてのプロットもしっかりとしているし、目まぐるしさはあるものの主要登場人物のキャラが立っているので各場面でのエピソードが面白く、読み応えも十分。

    何といってもジョイス。
    もう可愛らしいとさえ思えてくるほど、お茶目で、とぼけていて、でもやるときはやる。
    本作における黒幕を暴くに至る重要な繋がりを皆で考えている場面で、閃いたジョイスがエリザベスを部屋の外に呼び、「(私に)質問して」と要求するところなんか「わたしにだってできるんだから!」と主張する純真な子どもを見ているような微笑ましさを感じ、いいキャラ作ったなぁと感心。

    全体的にシリアスな場面、深刻な危機を迎える場面も多いのだが、それを上塗りしていくコメディタッチにより重々しさが中和され、いい感じのおとぼけ具合になる。
    それでもエリザベスの夫スティーブンの病状については笑い飛ばせないくらいの魔がひたひたと。
    その辺のシリーズを通しての引きつけるテーマも盛り込んでいて○。
    強いて言うなら、ミステリ部分で裏の裏を作り過ぎていて結局どういう事件の構図だったのか読み違え、読み漏れがありそうなもやもや感が残った。

    そろそろ今年のミステリベスト10の対象となる期限を迎える時期。
    今年1位はこの感じだとあの3部作の完結編のような気がするけど(自分はまだ読んでないけど)、これもベスト10入りは必至。
    先頃出たホロヴィッツの新作の評判が気になるところ。

  • シリーズ第三弾。

    老人探偵グループ〈木曜殺人クラブ〉メンバーが今回取り上げたのは、約10年前にとある経済詐欺犯罪を追っていた女性ニュースキャスターが車ごと崖から落とされた未解決事件。
    手掛かりを求めて地元テレビ局の有名キャスターと対面するなど捜査を進めますが、そんな中エリザベスとその夫・スティーヴンは謎の男に拉致され、エリザベスの旧知の人物を殺害するように脅されてしまいますが・・。

    軽快な筆致にますます磨きがかかり、著者が乗りに乗っているのが伝わってきますね。
    “ちょっと(文面が)遊び過ぎやぞ!”と思わんでもないですが、愛すべきご老人たちがお元気そうなのは何よりです。
    巻を追うごとに、四人(エリザベス・ロン・イブラヒム・ジョイス)のキャラが確立してきて、それぞれの特性を活かした活躍ぶりを見せてくれるのが良いですね。
    いつもメンバーに協力“させられている”、クリスやドナ、ボグダンも相変わらず巻き込まれつつも、“いい恋”していて幸せそうです。
    そうそう、“恋”といえばあの硬派なロンもポーリンと“ええ感じ”になっていて、何だかカップルが量産されている印象でした。
    展開としては、未解決の女性ニュースキャスター殺人(失踪?)事件と、エリザベスに対する脅迫が並行して進み、そこに大規模なマネーロンダリング犯罪が絡んできたりして、毎度のことながら大変な状況ではあるのですが、レギュラーメンバーをはじめ、関わってくる人(犯罪者であっても!)皆を巻き込んで、わちゃわちゃ楽しそうに進展していくので、読んでいるこちらも一緒に楽しくなっちゃうんですよね~。
    個人的にはジョイスが最強だと思っていて、一見ミーハー丸出しで邪魔ばっかりしている印象ですが、どっこい肝心なときにはいい仕事するんですよ。
    危険人物をも“無力化”する能力は彼女ならではですね(自覚あるかどうかは不明)ww。
    てな感じで、ワイワイお達者なご老人たちですが、その“老い先短い”哀愁もやはりあって、とりわけエリザベスの夫・スティーヴンの症状の進み具合が切ないです(スティーヴン、今回お役立ちだったのですけどね)。
    いつまでも達者でいてほしい彼らですが、今回登場した元KGBのヴィクトルは、結局〈木曜殺人クラブ〉の正規メンバーになったという事なのですかね?犬のアランも含め、仲間が増えるのは嬉しいです~。
    そして、現在絶賛恋愛中のボグダンが色々万能すぎるので、彼が何者なのか深堀してほしいと思った次第です~。

  • シリーズ第三弾(私は第二弾からの読者)。
    木曜クラブの4人は楽しそうに事件を解決していきます。今回は10年前の未解決事件と詐欺・マネーロンダリング。4人の周囲の人達(ボクダン、スティーブン)も大活躍する。今回から新たに加わった人物ヴィクトルも含めて、みんなキャラが立ってます。メンバーの色恋沙汰と老境の悲哀と相まって事件が解決へと進みます。最初はちょっとうっとおしいなと思っていたジョイスも活躍、いい味でしてます。
    このシリーズはラストが良いですね。
    第1作も読まないといけないな。

  • 木曜殺人クラブ3作め。
    いつものおじいちゃん、おばあちゃんが元気いっぱい活躍。哀愁を漂わせる場面もありますが、前向き力が半端無い。
    読みながらプフっと笑えるおもしろさが溢れてます。
    あまり殺人が無いところもステキ。
    この際筋書きは気にせず、キャラの濃さを味わって。
    のんびり休日の楽しみにしたいです。

  • 〈木曜殺人クラブ〉は、10年前に詐欺事件を追っていたキャスターが深夜崖から車ごと落ちて見つからない未解決事件を調べることに。そんな最中にエリザベスは別件で脅迫されて……。シリーズ3作目!→

    今作もエンタメ色強め!有名な番組で35年間司会を務める大御所キャスターやKindleで本を発表している警察本部長など華やかなキャラクターがたくさん出てくる……かと思えばエリザベスと旧知の元KGB(いわゆる秘密警察)将校や前作のドラックディーラーなど、裏社会の華やかなメンバーも→

    事件も絡み合いなかなかヘヴィなはずなんだけど、まぁ、木曜殺人クラブメンバーがアレだから、とてもライト?な読み心地。
    事件の謎解きも楽しいけど、私はこのシリーズは人間ドラマが読み応えあると思うので、今作ではラストのスティーヴンとボグダンとの会話に息を呑んだ……マジかよ……。

  • ずっとファンの作家さん。始めの2作品は設定、登場人物全てに5点満点だったが。
    今回はやりすぎ?木曜クラブを超えてる感が凄い。
    ただ、最後まで気が抜けない荒ワザが仕掛けてあり、その点は良かった。

  • 今回もとてもとても楽しい、ピカレスク小説。

    キャラクターの魅力や関係性で充分引き込まれるので、ミステリー要素は物語を動かす仕掛けのような印象。ただ、愉快なシーンにも謎が仕込まれていることに気づきませんでした。

    私の泣き所はスティーブン。今回は出番が多くて嬉しい、けれど悲しい部分もあって、読後もしばらく気持ちが持って行かれていました。

    4作目も早く読みたいな〜!
    でも彼らももう80代、一緒に歳をとっていきたい、でもずっと一緒に楽しんでいる姿を見ていたい。
    続きが気になるけど、どんどん読み進めていくのは躊躇われる気持ちもあります。

  • 娯楽小説として面白いし、好き

    ここが良い!
    ・銃弾という単語に込められた様々な意味
    ・エリザベスとべサニーの"最愛の友の命を脅迫の材料にされた"という共通点とそれぞれの選択
    ・木曜殺人クラブのキャラクター性

    ここは厳しい
    ・VAT詐欺の金の流通先であるペーパーカンパニー名「まちがいなく(アブソルート)ダイナマイト」
    ・ロバート・ブラウンのアナグラム(ボビー・ブラウン)

    木曜殺人クラブの面々の嵐のような勢いに巻き込まれていくのが良い。最終的に楽しくなって、自発的に協力していくようになる過程を楽しんで読んでる。

  • シリーズ第三弾。変わらず素敵な面々の活躍が楽しく読めます。彼らが今回挑むのは、犯罪を突き止めたらしいキャスターのべサニー・ウェイツが殺された十年前の事件。しかしそのさなか、エリザベスは謎の人物に拉致され、かつての同僚である旧友を殺すように脅迫される。ユーモラスさは健在ながらもハラハラドキドキが止まらない作品です。
    エリザベスは危機に陥り(でもきっと彼女は大丈夫と安心していました)、ロンは恋に落ち、イブラヒムはある人物に接触、そしてジョイスはいつも通りにいろんなことにわくわくしていて、本当に楽しいです。だけれどある人物の老いが進んでいくところは切なかったりも……老人たちがひたすら元気で前向きに思えるこのシリーズですが、避けて通れないものはあるんだよね。でもそれすら乗り越えて、彼らの生きざまは力強く感じられます。むしろ後がないかもしれない分、悔いのないようにと心掛けているのでしょうか。見習わなくては。
    さて、事件の方も本当に読みどころ満載でぐいぐい惹きつけられました。バイキングとの息詰まるような対決もスリル満点ですが。やっぱりすごいよジョイス!(笑) そして今回、珍しく浮かれっぱなしなボグダンが可愛くって仕方ありません。幸せになってほしい。

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