竜の夜明け 上 (ハヤカワ文庫 SF マ 1-10 パーンの竜騎士 外伝 1)
- 早川書房 (1990年3月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (302ページ)
- / ISBN・EAN: 9784150108601
感想・レビュー・書評
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パーンの竜騎士シリーズの外伝。
入植時代を描いたもので、年代的には一番最初の話ということになります。
射手座ルクバト第三惑星パーンへ、地球から最先端の科学を駆使してはるばる入植希望者の団体が片道切符で到着、理想的な世界を作ろうとします。
巨大竜に乗って飛ぶ竜騎士が活躍するこのシリーズは中世的な雰囲気なので、ファンタジーがお好きな人が読んだ方がむしろ良いかと思うんですが、ジャンル的には本来SF。
この作品だけは名実共にSFと言えるでしょう。
この作品から読んでも良いし、この作品だけ読んでもオッケー。
スターウォーズやスタートレックといった映画やドラマがお好きな人にもお薦めです。
宇宙船の提督はポール・ベンデン。
この名を聞いただけでも、ファンならにやりとしてしまいますね。
ヒロインは一人だけではありませんが、メインは獣医の娘のソルカでしょう。幼い日に火蜥蜴(最初はまだこの名もありませんが)と出会ってからずっと初期の全てを見て大人になっていく年月の物語。
ショーンという馬の扱いの上手い非定住民の少年と共に、現地の生き物と交流を続けます。
登場人物は多く、複数の内面が語られるために最初はちょっとややこしいですが、しだいにダイナミックに連動して盛り上がっていきます。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
新天地パーンでの活気に満ちた入植活動!
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パーンの竜騎士シリーズ外伝。更に時代が遡り、今度は惑星パーンの入植時代となります。まさに「竜の夜明け」の物語。そしてここにいたって物語は、一気にSF色を濃くします。
ポール・ベンデン、テルガー、シリーズ通して読んでいると、思わずにやっとしてしまう(笑)名前の惑星入植者が、緑豊かな未開の惑星を、協力しあって開拓して行く様が、上巻では面白く興味深く描かれています。
機械に頼らぬ「地球ではなく、この星の」やり方を成立してゆくのが彼らの目的なので、勢い、生活様式も旧時代然としたものになるわけです。
それを見越してやってきたアーミッシュな人々もいれば、どうしても空を飛ぶことが忘れられない人もいたりと、渦巻くそれぞれの思惑や人間ドラマが興味深い。
まだ、ここでは派手な事件はおきませんが、「大草原の小さな家」や「スタートレック」が好きな人だったら、植民地の人々の生活や人間模様が文句なく楽しめるはずです。