ディアスポラ (ハヤカワ文庫 SF)

  • 早川書房
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感想 : 77
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  • Amazon.co.jp ・本 (520ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150115319

感想・レビュー・書評

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  • SF

  • ハードSFは若干敷居が高かったようだ。また、しばらくしたら再読してみようと思う。

  • あまりの壮大なスケール。はっきり言って難しすぎてついていけない所があるが見事な大法螺イーガン節である。すばらしい。

    これまで読んだ作品と比べるとユッタリとしたストーリーで、解説の大森望氏が指摘するようなビークル号的古典的冒険譚の香りもある。もう少し異世界の細部をギリギリ書いて冒険譚風味を出して、という気はするが、それじゃテーマとそれるし冗長か。

  • ベストSF2005年1位

    【要約】


    【ノート】

  • グレッグ・イーガンの作品は、それを読む前と後で読者の考え方を大きく変える程の力を持っているが、この本も例外ではない。

    ストーリーを支える設定としての科学的考察があまりにも専門的すぎる(しかもあらゆる科学ジャンルを横断する)ため、1ページめくる毎にWikipediaを開くなんてことがしょっちゅう起こる。

    しかし、文章の向こう側で何が起こっているのか、用語を調べながら必死に内容を咀嚼するのは、それでとても楽しい作業だった。
    どうしても理解できないと、ものすごく悔しいし、もっと理解したいと思う。それで関連する本を買って読み漁ったこともある。

    もちろん詳しい考察は適当に読み飛ばして、想像力でストーリーを補うこともできる。そしてそれでも十分に内容を楽しむことが出来る。

    表面的にストーリーを楽しんだり、反対にどこまでも科学的考察に深入りしたりすることも出来る。つまり複数のレベルで楽しむことが出来る。何度読み返しても新しい発見があるので飽きない。
    「ディアスポラ」は、そのように複雑な魅力を備えた良書だと思った。

  • 初めて読んだSF

  • 残念ながら私には読みこなせませんでした・・
    表紙   4点小阪 淳   山岸 真訳
    展開   4点1997年著作
    文章   4点
    内容 454点
    合計 466点

  • 大変な大作。作者はもちろんのこと、読む方にも根気と体力が強いられる。
    好きな場面はヤチマが自身の精神を統合し、「ヤチマ=自分」と理解する場面。というか、それまでの分裂した自我と子宮プログラムの中での精神の産出の描写。嵐の中の船のような気分になるけれど、いつ、どうやって私たちが、自己という世界とのリンク媒体を手に入れたのかが想起される。

    グレッグ・イーガンの小説では、緻密なSF描写・設定に加えて、人間の心理を暴くような哲学的命題が魅力の一つになっている。今回は哲学的・心理的描写は二の次に置かれ、高次元宇宙への限りない飛躍を主題にしている。(ただし、それが出来るのはポリス生まれのヤチマのみで、肉体を持っていた人類は自身の変化に限界を見いだして果たせない。その点が人間の心理と科学との摩擦を扱うイーガンらしい)
    人間の好奇心の可能性を最大限に描き出す内容は訳者解説者等の言にあるように王道SFでもある。ただその主題を全うさせるための設定が難解すぎて、万人受けどころか、SF好きにも読むにはかなりの苦痛を強いられる。正直ワームホール理論あたりは全く理解できなかった。

    でも! グレッグ・イーガンのそんな作品への真摯な姿勢は、私は個人的に大好き。気の遠くなる宇宙への冒険は、読むだけで辛いしキツいし大変だけど、壮大で好奇心を満たしてくれる。自分を複製して宇宙の果てへ送り出すところと、5次元だったかな、ヤドカリが高次元生命体として出てくるあたりは「アッチェレランド」に似てた。また「ポリス」の住人であるガブリエルとブランカのカップルが、その知能のために生きていくことに意味を見いだせなくなって自殺してしまうのも好き。
    個人的にはポリス生まれの生命体の心理描写をもっとして欲しかったかなぁ。人類の模倣でなくて、もっと独特な思考形態の生き物として。そういった意味で、「絨毯」の閉じた精神世界は興味深かった。

  • 30世紀を舞台に、ソフトウェアによって生み出された
    主人公ヤチマの冒険譚。

    ヤチマの誕生を描いた第1章では、
    ソフトウェア上での知性・人格・自我の生成プロセスが丁寧に記述されており、
    難解ながらも読み応えあり。

    その後、章ごとに、情報科学、数学、遺伝子工学、天文学、と、
    多岐にわたる科学分野を横断しながら、
    人格をアップロードしなかった肉体人とのコンタクト、
    宇宙へのディアスポラ、ワープ航法の技術開発、といった旅が展開。

    物語が進むにつれ、身体的、時間的、空間的な制約が次々と外され、
    人類はどこまで行きつけるのか?、想像力をかきたてられた。

    本作にテーマや世界観が近い作品を、関連順に。
     ・『アッチェレランド』(チャールズ・ストロス)
     ・『順列都市』(グレッグ・イーガン)
     ・『都市と星』(アーサー・C・クラーク)
     ・『know』(野崎まど)
     ・映画『マトリックス』シリーズ

  • まさに、ハード・SF。圧倒的な時間とスケールの世界が描かれる。章立てが変わるたびに次元が変わってその世界観にクラクラした。

    原子やワームホールの理論的に難しい話はさておき(しかも話の核ではなかったし、よく出てくるコヅチ理論の位置付けも謎だった)、肉体を離れた後の人類が、ソフトとして「生み出され」、人の「意識」や「思考」を持ち「交流する」。肉体を持つ人々は肉体、遺伝子、神経に手を加え進化を遂げている。
    そんな世界の話だけでも充分夢中になれるのに、次々に高次の宇宙が現れて、その宇宙の真理を知っているのは、真理は何なのか…私たちの想像を超えた思考と宇宙の話。ひたすら圧倒される。

    でも物理空間をせっかく脱却できたのに、自分たちがトカゲ座の二の舞にならないよう肉体に近いCZポリスとクローンで、宇宙空間に出なければならないことが皮肉な感じがした。肉体を持たずに広域に散らばるイメージがなんか矛盾している。


    理論やストーリーが、綿密で面白いかはちょっと微妙だけど、こんな宇宙の捉え方、発見があるのかもしれないと垣間見られただけでも熱くなれる!
    アーサークラークの「幼年期の終わり」をちょっとだけ思い出した。

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著者プロフィール

1961年、オーストラリア西海岸パース生まれ。SF作家。西オーストラリア大学で数学理学士号を取得。「祈りの海」でヒューゴー賞受賞。著書に、『宇宙消失』『順列都市』『万物理論』『ディアスポラ』他。「現役最高のSF作家」と評価されている。

「2016年 『TAP』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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