ディアスポラ (ハヤカワ文庫 SF)

  • 早川書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (520ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150115319

感想・レビュー・書評

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  • グレッグ・イーガンのソフトな人々が描かれたハードなSF作品です。
    人類の多くが肉体を捨て、意識をシミュレートできるコンピュータ上に生活環境を移した世界で、問題に直面した人類の外宇宙への進出が描かれます。
    そして、ハードなSFだけに、その辿り着く果てである結末も、ハードボイルド(煮詰り過ぎ)です。

    <そんなに簡単に、ヒトが身体を捨ててコンピュータに移り住むの?>
    ”私”という意識は、身体ではなく、脳内の電気的、化学的な変化自体でもない。
    脳内の電気的、化学的の変化が、連続的な意味のある変化の場合に、生み出される現象…雷とか風とかと変わらない…と思われる。
    同様の変化が起こるなら、例え機械であっても、再現される意識は同じはずある。
    元より、意識が不連続なヒトが、意識の同一性なんて問題を気にしても仕方ない。
    <要は・・・慣れなんじゃない?>

  •  1997年発表、グレッグ・イーガン著。仮想現実都市ポリスに住む、ソフトウェア化した人類。ソフトウェア化を拒み、肉体を保ったまま地球で生きる肉体人。地球を襲う天文学的危機をきっかけに多次元空間へと逃れた人類は、遠くの星へクローンを飛ばす「ディアスポラ」を開始する。その果てに未知の生命体と接触する。
     とんでもない小説だった。全力で理詰めだ。ストーリーの流れは何となく分かるのだが、冒頭の孤児ヤチマが生まれるシーンなどはまだしも(このシーンが個人的には一番面白かった)、幾何学やワームホール、多次元の話など、大学で物理科や数理科を専攻でもしていないと完全には書かれていることを理解できないに違いない。だから、理論のどこまでが本当でどこまでが虚構なのか、よく分からない。だが虚構をそれっぽく描くこと自体がSFなのだから、分からずとも圧倒されていればいいだろう。
     肉他人、ドリームエイプ、ワンの絨毯、ヤドカリなど、とにかく怒涛のように溢れる発想。そして六次元など、全く想像のつかない巨視的・微視的なスケール。これらを楽しむだけでも読む価値はある。
     読み終えて、数学や物理学への興味がわいてきた。ちゃんと勉強してから、もう一度読み直してみたい。そうすれば著者の仕組んだ嘘に気づくことができ、ニヤニヤしながら読めるのだろう。

  • アイデアのメモで構成されたようなハードなSFで、面食らってしまいました。お話になってないようなところも多く、読み方を変えて読みましたが、なかなか手強かったです。

  • 超難解。巻末の用語集を先に読んでおけばもう少し理解が深まったのかも。

  • かなりSFとしては凄そうだが、むずかしぎて面白くない

  • 知性の進化の極み、だがそれが人の身には叶わないというのは悲しい。だが、おおいに考えられることだ。
    肉体を持たない意識はその時点で、人類とは呼べず、それが人間の精神構造を模倣したものであっても、AIと呼ぶべきだと思う。
    人類はAIを生み出すための存在でしかないのではないかとも思えてくる。
    未来の行く末について、思考が広がる作品を書ける。現代SF作家で、この人は最高峰だ。

  • 肉体を抜け出した人類が遭遇する危機とその脱出方法を探る中で出会う新たな謎。良質なミステリSF。

  • 圧倒的スケールにして緻密。読者を選ぶ物語ではあるけれど、量子力学と認知科学のある程度の知識があれば、何とかついていける。ただし、これは宇宙オタクを満足させるためだけの衒学的な語りなのではなく、こういった舞台の中でしか語り得なかった物語なのではないか。知性とは何かということを読みながらたくさん考えた。
    非知性ソフトウェア創出が作り出したヤチマという個体が〈私〉を獲得するまでの18-54pのくだりで心を鷲掴みにされ、そこからは理論的な部分が少々わからなくても一気に読み進められた。一気に読む、ということが褒め言葉ではないと思うけれど、読まずにはおられない、この物語と少しでも多くの時間結合していたい、そう思わせる素晴らしい読書体験。

  • よさげ。が、長過ぎて挫折。
    時々名言あり。

  • 断念しました。

    最後まで読めば面白いんでしょうが、
    ついていけませんでした。。。

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著者プロフィール

1961年、オーストラリア西海岸パース生まれ。SF作家。西オーストラリア大学で数学理学士号を取得。「祈りの海」でヒューゴー賞受賞。著書に、『宇宙消失』『順列都市』『万物理論』『ディアスポラ』他。「現役最高のSF作家」と評価されている。

「2016年 『TAP』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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