三体 (ハヤカワ文庫SF)

  • 早川書房
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本棚登録 : 2035
感想 : 69
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  • Amazon.co.jp ・本 (640ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150124342

感想・レビュー・書評

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  • 劉慈欣『三体』ハヤカワ文庫。

    話題のSF小説。続編も次々文庫化されるようだ。登場人物が馴染みの薄い中国名のためか、珍しくハヤカワ文庫にピンク色の登場人物表が挟み込まれていた。

    華文ミステリー小説は何冊か読んだことがあるが、華文SF小説を読むのは初めてだ。海外翻訳物の世界は、アメリカ、イギリス、ドイツ、南米の小説が席巻していた時代から始まり、北欧ミステリー流行の時代を経て、ついに中国小説が台頭して来たようだ。最近では当たり前のように中国小説が本屋に並んでいる。ここ数年で読んだ華文ミステリー小説では、陳浩基の『13・67 』、蔡駿『忘却の河 』が非常に面白い作品だった。果たして、この『三体』はどうだろうか。

    1967年の文化大革命の狂乱から始まり、予想外の壮大なスケールで展開するSF小説。読んでいると夜空を見上げたくなり、自分は一体何者かという不思議な気持ちになる。

    現代科学をも否定してしまう共産主義を逆手に取り、物語の中に巧く取り込んでいるところは見事。その上で、古典力学の『三体問題』を重要なテーマに置いて、バーチャル空間で展開する人類の儚い歴史と人類の鏡のように三体人を描いているところが面白い。

    VRゲーム『三体』は誰が何の目的で作ったのか、『科学フロンティア』が抱える秘密と科学者たちの自殺の原因は何か……


    1967年、文化大革命で清華大学の物理学教授の父親を惨殺され、人類に絶望し、内モンゴルの辺境の地で労働を続けていた天体物理学者の葉文潔は仲間の新聞記者にハメられ、危険思想の持ち主と見做され、危機に陥る。

    そんな文潔を救ったのは、父親のかつての教え子である楊衛寧であり、彼にスカウトされた文潔は人類の運命を左右するプロジェクトが進行する軍事基地で働くことになる。後に明らかになるそのプロジェクトの内容は全く予想外のことだった。

    四十数年後。ナノテク素材の研究者である汪淼は、科学者の連続自殺事件を追って謎の学術団体『科学フロンティア』に潜入する。自殺した科学者の1人に葉文潔の娘も含まれていたのだ。

    『科学フロンティア』に潜入した汪淼だったが、ゴースト・カウントダウンという怪現象が彼を襲い、ついには怪現象は宇宙規模で展開される。怪現象の正体を突き止めようとする汪淼がたまたま入り込んだVRゲーム『三体』。VRゲームの『三体』は人類が文明を構築するゲームであった。『三体』世界を支配する3つの太陽が文明構築の成否の鍵を握る。汪淼は3度目の挑戦でやっとレベル2へと進む。

    本体価格1,100円
    ★★★★★

  • Netflixドラマ『三体』から最新映像が公開 配信日は2024年3月21日に決定 | ING Japan(2023年11月11日)
    https://jp.ign.com/the-three-body-problem-drama/71761/news/netflix-2024321

    遂に来たる。劉慈欣『三体』三部作、文庫化開始!|Hayakawa Books & Magazines(β)
    https://www.hayakawabooks.com/n/nf702710de567?rt=email&sub_rt=daily_report_followee_notes

    三体 | 種類,ハヤカワ文庫SF | ハヤカワ・オンライン
    https://www.hayakawa-online.co.jp/shop/shopdetail.html?brandcode=000000015717

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      発売迫る! 『三体』文庫化スケジュールをチェック|Hayakawa Books & Magazines(β)
      https://www.ha...
      発売迫る! 『三体』文庫化スケジュールをチェック|Hayakawa Books & Magazines(β)
      https://www.hayakawabooks.com/n/n927a69f8223e
      2024/02/07
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      いよいよ本日発売!劉慈欣『三体』文庫版&ネトフリ配信に備えよ!|Hayakawa Books & Magazines(β)
      https://...
      いよいよ本日発売!劉慈欣『三体』文庫版&ネトフリ配信に備えよ!|Hayakawa Books & Magazines(β)
      https://www.hayakawabooks.com/n/n12f347fdc486
      2024/02/22
  • 面白かった。壮大な世界観で描かれており、出てきた物理法則も全くわからなかったもののSFとしてすごい面白かった。
    三部作の最初であるものの、舞台は主人公の一人である葉文潔の幼少期の文化大革命から始まり、現代世界、そして、ゲーム上の「三体世界」と隣の恒星に存在する三体世界。舞台がわかるにつれて、前の章の意味もわかるようになり深みが増す構成だった。文潔が負った心の傷が人類の存亡をかける異世界間の関係に発展していくのが面白かった。異世界の力によって地球人の更生を願うのが面白い反面現実に対しては絶望しており、共感できてしまった。
    また、もう一人の主人公である汪淼の研究が世界を救そうな気がして次巻の展開も楽しみ。
    ただ、三体世界の文明であっても文化人的な人がいる理由は何なのだろうか。存在することが意義であるとしているのなら、文化が残ったのはただの偶然?残り香的なものにすぎないのかな。

  • SFファンが垂涎する要素をこれでもかというくらい盛り込んだSFエンターテインメント小説。
    中国の文化大革命に端を発するディストピア的世界から始まり、この史実を基にSF的な"IF"を徹底的に積み上げていく。
    ナノテクあり、ファーストコンタクトあり、VRあり。
    暴走するカルト団体あり、サスペンスあり、そして科学に対してなんの知識もなくただ気概だけはひたすらかっこいい中年刑事あり。
    つまらないわけがない。

    あえてカテゴライズすると、ハードSFの部類に入るんだと思う。
    ただし、イーガンのような、ともすると「あれ、これ、論文だっけ?」みたいな、読むのにだいぶ心構えを必要とするような難解さはない。
    科学に明るくない人が、「?」と思うような記述がたとえあっても、その数行後には「あー、多分こういうことかな」ってわかるようにしている。
    あるいはわからなくても雰囲気だけつかめておけば大丈夫なようにしている。ここはもう作者の筆力の妙に尽きる。
    「細かいことはわからなくても、楽しめ!」という思いがびんびん伝わってきて、本当に楽しい。

    SFを楽しむ上では必須の舞台の理解についても、読者がそこに至るまでのプロットが本当に見事で、SFに慣れない人が感じやすい「背景を理解しようとしているうちに疲れて飽きた」っていうことが一切起こらない。
    詳細は語らないが、物語のキーになる「三体世界」の理解も、VRのゲームという奇抜なアイディアを通して本当にわかりやすく語り尽くしている。
    ときおり現れる、ゲーム画面のテキストが醸すなんとも言えない雰囲気も、物語に没入する上で大きな役割を果たしている。
    このあたりの言い回しなど、あらかじめ計算して書いていたのだとしたら、本当にすごい。

    そんなわけで、600ページ以上もある本作、一切のストレスなく読み終えることができる。
    読み進めるごとに物語はどんどん壮大になっていくし、物語の前半で出ている謎や疑問も終盤ですべて回収されるが、この一冊で終わりなのではなくこのあと「三体Ⅱ」「三体Ⅲ」と続いていく。
    ただもう、楽しみでしかない。何ページあるかとか、そういうこと一切気にせず「とにかく話の続きを聞かせろ地球はどうなる三体はどうなる」と寝る前の子供のような興奮だけが残る。
    万人にお勧めしたいSF。SF苦手な人も是非手に取ってみて欲しい。
    その「うわっ」って思った600ページは、あっという間に溶けるから。

  • とんでもないスケールのSF小説で、書かれている事はかなり難解なんだけど、ぼんやり理解しても先に進める。
    予備知識ゼロで読み始めて、戦争とか陰謀とかの話かななんていう予想をかなり大きく越えられてて、宇宙まで行っちゃった。SFと言われると、スターウォーズを思い出すが、話の作り込みの奥深さで言えば、大きく三体が上回っている…という個人的な感想です。スターウォーズも好きなんですが。
    文庫本で読みたいという我儘のため、続きを読むのが少し先になるけど、それが毎日のモチベーションになるくらい面白かった。

  • なるほど… 壮大な世界観、熱狂する人が多いことに納得。(途中ドン引きして投げだしたくなったのは内緒)
    続くⅡもちょっと興味あり。

  • 劉慈欣の三体シリーズ第一作。待ちに待った文庫化。

    文化大革命で父親と妹を虐殺された理論物理学者の葉文潔。彼女が連れられた研究所での出来事。
    一方現代では、科学者たちの連続自殺が噂される中で、ナノマテリアル分野の権威ワンミャオは、自分にしか見えないカウントダウンがあることに気づく。過去と現在、そして三体と呼ばれる謎のVRゲーム。世界で何が起こっているのか。

    噂に違わぬ大作。ゴリゴリのSF描写、というより物理学(?)の描写が少し難しく、普段SFを読まない人にとっては好き嫌いが出るかもしれないが、怒濤の展開で読ませる。最初の方は何が起きてるのかわからない。ミステリ的な要素がありつつ、三体というVRゲームの中での歴史上の人物の描写もあったりと盛りだくさん。ただ、中盤のある人物の切実な祈りにより、ガラリと展開が変わる。ああ、こういう作品なのかと。なるべくなら事前情報を少なくして、続編のあらすじも見ないほうが楽しめる作品。

    全編通して、見開きのページで初出の人名に、その都度ルビがあるのも非常に親切な設計(例えば主人公のワンミャオであれば、ページをめくるたびにルビがふってあるくらい親切な設計)。

  • 物語にのめり込んだ。
    寝る間も惜しんで読んだ。
    そのくらい面白かった。

  • 凄いSF。小説の形容に凄いってあまり使わないのだけど、読後「凄いや、これは」としか言いようがなかった。面白いし、深いし、読ませる。圧倒的スケール感、臨場感あふれる描写、物理学をベースとしてSF仕掛けの発想力、サスペンス的シナリオ展開…いずれも凄いとしか言いようがない。数あるSFの中でも、これを読まずして…という作品の一つだと思う。☆10個付けてもいいかも。

    「智子」の仕掛けは正直理解できず。低次元化の情報の折り畳みと高次元化の不可逆性は何とかついていける。DNAとタンパク質の関係がまさにそうだから。しかし、空間距離が問題じゃなくなるところが?。だから「物理学は存在しない」ってことになるんだろうなあ、位の理解しかできなかった。

    最後の方の、大史(史強)がイイ感じ。著者に特権階級じゃない人々を励ます意図があるかは分からないけれど。

  • 文庫化、ということで、SF初心者でしたが思いきって購入。

    物理とか科学とか宇宙とか、専門的なことは正直…わからなかった…。
    けれども、その壮大な背景にある真実に読書中何度も驚いた。

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著者プロフィール

1963年、山西省陽泉生まれ。発電所でエンジニアとして働くかたわら、SF短篇を執筆。2008年に刊行された『三体』で人気に火が付き、“三体”三部作(『三体』『黒暗森林』『死神永生』)は中国で2100万部以上を売り上げた。2014年にはケン・リュウ訳の英訳版が刊行され、2015年、アジア人作家として初めてSF最大の賞であるヒューゴー賞を受賞。2019年には日本語訳版が刊行され、11万部を超える大ヒット。

「2023年 『神様の介護係』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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