双生児(下) (ハヤカワ文庫FT)

  • 早川書房
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本棚登録 : 87
感想 : 15
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150205799

感想・レビュー・書評

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  • さあて、下巻でどのようにSF要素を……


    いや、どっちかというとミステリじゃないかなあ。


    1941年のことに詳しくないし、
    ヘスについてもほぼ知らないと言ってもいいくらいだし、
    そのあたりの基礎知識があれば、より興味深く読めただろうね。勉強不足だね、僕の。
    解説読んで、一晩考えて、やっといろいろ得心がいきましたよ。
    そしてちゃんと原題も見ておくべきだった……


    今は、

    もし戦争が終わっていても米中戦争が起こっていたくらいだから日本が戦争に巻き込まれるなりするのは確実だし、太平洋戦争はなかったかもしれないけれど南方の国々は植民地支配から開放されたんだろうか、

    とかそっちのifが頭のなかをぐるぐるしています。

  • 読んでみるといい歴史改変ものと紹介されたが、
    たしかに面白い物語だった。
    双子が歩む二つの歴史というだけではなく、
    その二つでさえ、絶えず変化を繰り返して、
    解説にあるような、ヒントもちりばめられており
    (見落としたヒントはあとがきで回収)
    何が起こっているのかと、思いながら
    一気に読み進んで、鮮やかに、かつ幻想的に
    物語は終わる。
    国戦時中の人々の生活の一端、兄弟家族の複雑な感情、
    と戦争と平和に対する考証も加えて、
    技巧的エンターテインメント小説。
    第2部の時代の行き来や変化と、第5部の変化には
    何らか構成上に関係があるのではないかと、
    思ってしまうが、どうだろう?

  • 下巻。
    解説を読むと、単行本の刊行当時は年末ベストのランキング上位だったらしい。ちっとも知らなかった……。
    さて、本作は一種の『歴史改変SF』ではあるが、『歴史A』と『歴史B』が並列する、平行世界ものでもある。歴史改変SFで名作とされる作品は数多くあるが、その大半が『もしあの時、○○ではなく××だったら』という思考実験を行っているのに対し、本作では『平行』『分岐』というのが重視されていると言える。
    ところで私はプリーストを読む時、あまりSFだと思っていない。一般文芸指向が強い作風は解説でも言及されているが、幻想小説指向が強いんじゃないか、というのが個人的な感想。本作にしても、上巻は兎も角、下巻に入ってからは、徐々に現実感を失い、現実と幻覚の境目が曖昧になる様子が非常に幻想小説的に表現されていいると思う。

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