ウニバーサル・スタジオ (ハヤカワ文庫 JA キ 6-8)

著者 :
  • 早川書房
3.24
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本棚登録 : 85
感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (257ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150308988

感想・レビュー・書評

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  • なんか勘違いしてて田中啓文の本だと思って読んでた。巻末の既刊紹介見てて間違いに気づく...
    以下、そんな状態で読んだ感想。

    表:あいかわらず荒唐無稽な話やなぁ。不覚にも何回かわろてしもてるけど。
    裏: ...こっわ、裏こっっっわ!
    外:成程この世界はそっやって生まれたのね、...ってそんなわけあるかい!
    裏:あれ?めっちやSFやん?こういうのもSFよね?SFって幅広いねぇ。

    結果面白かったけど、次は間違わず『本能寺の大変』でも読もう。でも、『北野勇作の動物図鑑』も気になった。

  • タイトルからしてB級感漂うSF。嫌いじゃない。表舞台から裏方まで。命大事にと言いたくなるようなプロ意識高いキャストたち。色濃いアトラクションはスリル満点で楽しいかもしれないが、遊びにいったとして、果たして無事に生還できるのだろうか。甚だ怪しい。そしてカーネル・サンダース。今となっては解決済みの話だが、身内に阪神ファンがいると呪いの影響も他人事ではない。長く続いた低迷期当時に想いを馳せた。

  • 「ウニバーサル・スタジオ」という、世界のどこかにあるようで、もしかしたら全世界そのものなのかも知れない大阪風テーマパーク。

    ホラ話のような断片的なエピソードは、それぞれが重なり合い、どこかズレが生じてたりと曖昧な関係。
    テーマパークの表、裏、外、内から奇妙でコテコテなパークの姿が浮かび上がる。
    各話ごとに落語か漫才みたいなオチがいちいち着いているのがしょうもなくて面白い。

    好きなのは牛丼の話。
    まさか二段構えだとは……

  • あの東京ネズミーランドの向こうを張るテーマパークを舞台に、大阪ネタとSFネタを次々とくりだし、おおっとこれはまさかのコテコテSF!? と見えるのは最初の入り口だけ。ウニの外郭と内臓をぐるりん、とひっくりかえすような転換をかさねるたびに、生きた労働、どころか生きた人間そのものを食らって増殖していく消費世界の華やかさも、そこに人々が投影する社会的役割というハリボテも、次々と崩れ落ちていく。つまるところこれは、ダークな近未来像に見えて、非常にリアルな資本主義小説なのだ。人は消費する一瞬のために消費され続け、ここでは「シミュラークル」だとか「終わりなき日常」といった分析概念も、終末への欲望さえも混沌のなかにのみこまれ消費されていくもののひとつにすぎない。90年代バブルでババをひいた大阪が幻視する資本主義システムのもうひとつの姿。さて、外部は存在するか。

  • 穏やかで、何だかノスタルジックで、ドタバタで可笑しくて、
    でもどこか不確かで不安を感じる世界。
    不安なのに心地よい…困った世界です(笑)。

    読み進めていくうちに、
    これはSFの皮を被った演劇論ではないかとか、
    そんな気分になるくらい
    演劇的なものについての語りに引き込まれました。

  • ここはウニバーサル・スタジオ。大阪をテーマにした楽しいアトラクションがあなたをお待ちしています。巨大タコが襲う水上バスの刺激的なライド、四天王寺の亀の池ではカメ型メカとザリガニ型怪生物の痛快なバトル、通天閣からは軌道上イカリングへの魅惑のツアーにお連れします。そして、阪神タイガース優勝を祝しての道頓堀ダイブも心ゆくまでどうぞ。いや現実には、人類滅亡まで二度と優勝できなかったわけですが…。

  • 080416-080417

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著者プロフィール

1962年、兵庫県生まれ。
1992年、デビュー作『昔、火星のあった場所』で第4回日本ファンタジーノベル大賞優秀賞、『天動説』で第1回桂雀三郎新作落語〈やぐら杯〉最優秀賞を受賞。2001年には『かめくん』で第22回日本SF大賞を受賞。『どーなつ』『北野勇作どうぶつ図鑑』『どろんころんど』『きつねのつき』『カメリ』『レイコちゃんと蒲鉾工場』ほか著書多数。
ライフワークとも言える【ほぼ百字小説】は、Twitterで毎日発表され続けており、その数は4000を超える。

「2023年 『ねこラジオ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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