開かせていただき光栄です―DILATED TO MEET YOU― (ハヤカワ文庫 JA ミ 6-4)

著者 :
  • 早川書房
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本棚登録 : 2629
感想 : 205
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  • Amazon.co.jp ・本 (523ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150311292

感想・レビュー・書評

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  • ムム、これは「屍者の帝国」の匂い…
    から入って、
    ほとんど一気読みであった。
    萌えキャラ、あのラスト、、、

    ぞーくーへーん、があるじゃないですかああああ!

  • ラストまでまったく目が離せないし、2人を疑ってしまって申し訳ない…っていう気持ちでいっぱいです今

    妖精女王と妖精王っていう「双」を最後にぶち込んできてそんな…ちょっとズルくない…?最後まで最高ちゃう…?
    続編も読むよ…


    あとからあそこ伏線だったんか!ってなる部分多いし、美しく、かつ救いなく風呂敷を畳んでいて、
    正しく「本格ミステリ」でした!

    美しさは汚濁の中から生まれる、の通りに汚くてどうしようもない倫敦から美しく冷たいふたりが生まれてしまったのかなぁなどと思い。

    そんなふたりの中身を少々ではあったけれども、開かせて頂き誠に光栄でした。

  • とても面白かったです。
    ミステリーとしても、青春ものとしても上質でわくわくして、グロテスクで妖しい世界も堪能しました。
    登場人物たちが皆さん個性的で、ダニエル先生も弟子たちも、優しいネリーも愛すべき人たちでした。ダニエル先生面白すぎですが、エドとナイジェルへの苦悩が切なかったです。遅すぎた「愛している」はキュッとしました。クラレンスとベンとアルも良い人。
    増える屍体、ネイサンを取り巻く状況…など二転三転する展開で最後まで惹き付けられました。法廷のラストにうわー!と思い、その後のエドとナイジェルを思いました。
    充足した楽しい読書でした。
    有栖川有栖さんの解説で描かれる皆川博子さん、恐ろしい人だ…と思いました。皆川さんと同時期に生きていられて、著作が読めることが幸せです。

  • 日本の小説は苦手なのだけど、日本人がイギリスを舞台にして書いたということなので、読んでみた。
    どんでん返しも的確に用意されていて、予想以上に面白かったけど、文章が曖昧だったり、場面転換がぼやけていたりして、好みとはややはずれていた感。

  • 単行本では既読。書かれていない部分に何が起こっているのかわかって読むと何とも繊細に綺麗に伏線を潜め、ストーリーが魅力的に展開していっているのかわかり感動します。それぞれの場面がこの時代のセピア色の映画を見ているように目の前に展開しある場面では路地裏の空気や湿り気まで伝わってきそうでした。再読だからこそわかる二人の強さも楽しみました。文庫化にあたって収録された本編の前日譚にあたる短編が、登場人物それぞれの性格がよく出ていてとてもよかったです。楽譜もついていますし、これから手に取られる方は是非文庫でどうぞ。

  • ミステリが苦手なのかな、なぜだろうな
    内面描写がないから感情移入できないのか、人となりと考え方が分からないというのか(弟子も師匠もかなり個性的な人だったけど)、一つの事件の真相が明るみにというよりもはしばしの謎が変わるって感じで、しっくりこなかった。

  • 18世紀末ロンドン、近代医療の黎明期。未だ解剖は認められておらず、近代医療を目指すものは非合法に死体を手に入れ人知れず解剖を行い学んでいた。そうした私設解剖教室を主宰するダニエル・バートンが解剖を行っている最中に警察の手入れが入った。死体を隠しその場をやり過ごそうとしたのだが、その日手に入れたしたいが貴族の娘だったために治安判事のジョン・フィールディングが直に乗り出している。盲目のため人の嘘に敏感なフィールディングに嘘を暴かれたダニエルとその弟子達は死体を引き渡すことになる。ところが令嬢の死体を隠し場所から出したところ、見知らぬ男の死体がもう1体そこにあった。おまけにその死体の手足は切断してあった。この死体は誰なのか、そして誰が、何故そこに隠したのか、フィールディングは姪で助手であるアンと共に事件解決を始める。

    時間の経過が途中錯綜するので、丁寧に読んでいないと今自分がどこにいるのかが判りづらくなる。
    法廷場面のどんでん返しは予想外だったが、この展開がなければ陰鬱な結果しか残らなかっただろうし、弟子達の態度も腑に落ちる。
    エンドロールの後の追加シーンは、やっぱりあった方が良いのかな・・・

  • 「開かせていただき光栄です」

     ひさびさに読書が夜通しになりかけた(笑)。

     18世紀、ロンドン。私的な解剖塾を開いているダニエル・バートン医師は今日も住み込みの弟子とともに解剖をしていた。
     だが、彼の屋敷内から見覚えのない死体が2体も出てきて・・・

     という出だしで始まるミステリー。
     主人公の一人でもある、ダニエル・バートンのモデルともなった天才外科医にして解剖学者のジョン・ハンターの伝記を読んでいた私には、ストーリーもさることながら、いろいろな設定や当時のロンドンの描写がたまらなかった。
     冒頭に出てくる、ダニエルたちがいままさに解剖しようとしていた妊娠6ヶ月の妊婦の遺体や、それを描いた細密な銅板画はその伝記の冒頭の美しい口絵として並んでいる。
     いまだと考えにくいが、解剖学の黎明期にはその遺体の解剖図の画集を出して儲けにするとともに、自身の手柄として喧伝する必要もあったらしい。
     それから作中でもダニエルがことあるごとに「解剖するための死体が足りないんだ!」と相手かまわず力説し、作中でも墓泥棒がたびたび登場する。
     さきほどの「ジョンハンター」の伝記でももっとも私が好きなエピソードが、絞首刑犯の遺体のぶんどり合戦の話である。
     18世紀、ロンドンでは不衛生な環境からぽこぽこ人は死んでいたが、それでも解剖に回す遺体が足りず(公式に認められていたのは年間6体のみ!)、解剖教室が乱立するロンドンではとうてい足りなかった。
     ではどうするか?
     墓から失敬するのである。
     そこで墓泥棒の登場である。
     実際のハンター医師も墓泥棒と懇意にして死体をかなり調達していたらしい。
     しかし、それでもなお貴重なものが妊婦の遺体と、死んだばかりの遺体である。
     なので、絞首刑犯の刑が執行される場所は、墓泥棒と、ハンターたちのような死体調達をねらう解剖学者と、そうはさせまいとする絞首刑犯の家族(刑執行後には遺族となる)の3つどもえで死体のぶんどり合戦があったらしい。
     不謹慎で申し訳ないが、その様子を想像するだにおかしくて笑える。
     残念ながらそのぶんどり合戦は「開かせて〜」では描かれていなかったが十分楽しめた。
     18世紀ロンドンの、大英帝国が我が世を謳歌する中での奔流のようなエネルギーと、悲喜こもごもが堪能できた。

  • 散りばめられた伏線、魅力的な登場人物、どれをとっても至高のもので、あっという間に読み終えてしまった。

    ただ、氏の作品を読み慣れていると、文の端々から先の展開が読めてしまうところもあるなと思った。それも楽しくはあるのだけれど。

  • 2013-9-20

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著者プロフィール

皆川博子(みながわ・ひろこ)
1930年旧朝鮮京城市生まれ。東京女子大学英文科中退。73年に「アルカディアの夏」で小説現代新人賞を受賞し、その後は、ミステリ、幻想小説、歴史小説、時代小説を主に創作を続ける。『壁 旅芝居殺人事件』で第38回日本推理作家協会賞を、『恋紅』で第95回直木賞を、『薔薇忌』で第3回柴田錬三郎賞を、『死の泉』で第32回吉川英治文学賞を、『開かせていただき光栄です―DILATED TO MEET YOU―』で第12回本格ミステリ大賞を受賞。2013年にはその功績を認められ、第16回日本ミステリー文学大賞に輝き、2015年には文化功労者に選出されるなど、第一線で活躍し続けている。

「2023年 『天涯図書館』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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