開かせていただき光栄です―DILATED TO MEET YOU― (ハヤカワ文庫 JA ミ 6-4)
- 早川書房 (2013年9月5日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (523ページ)
- / ISBN・EAN: 9784150311292
感想・レビュー・書評
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ムム、これは「屍者の帝国」の匂い…
から入って、
ほとんど一気読みであった。
萌えキャラ、あのラスト、、、
ぞーくーへーん、があるじゃないですかああああ!詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
単行本では既読。書かれていない部分に何が起こっているのかわかって読むと何とも繊細に綺麗に伏線を潜め、ストーリーが魅力的に展開していっているのかわかり感動します。それぞれの場面がこの時代のセピア色の映画を見ているように目の前に展開しある場面では路地裏の空気や湿り気まで伝わってきそうでした。再読だからこそわかる二人の強さも楽しみました。文庫化にあたって収録された本編の前日譚にあたる短編が、登場人物それぞれの性格がよく出ていてとてもよかったです。楽譜もついていますし、これから手に取られる方は是非文庫でどうぞ。
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ミステリが苦手なのかな、なぜだろうな
内面描写がないから感情移入できないのか、人となりと考え方が分からないというのか(弟子も師匠もかなり個性的な人だったけど)、一つの事件の真相が明るみにというよりもはしばしの謎が変わるって感じで、しっくりこなかった。
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18世紀末ロンドン、近代医療の黎明期。未だ解剖は認められておらず、近代医療を目指すものは非合法に死体を手に入れ人知れず解剖を行い学んでいた。そうした私設解剖教室を主宰するダニエル・バートンが解剖を行っている最中に警察の手入れが入った。死体を隠しその場をやり過ごそうとしたのだが、その日手に入れたしたいが貴族の娘だったために治安判事のジョン・フィールディングが直に乗り出している。盲目のため人の嘘に敏感なフィールディングに嘘を暴かれたダニエルとその弟子達は死体を引き渡すことになる。ところが令嬢の死体を隠し場所から出したところ、見知らぬ男の死体がもう1体そこにあった。おまけにその死体の手足は切断してあった。この死体は誰なのか、そして誰が、何故そこに隠したのか、フィールディングは姪で助手であるアンと共に事件解決を始める。
時間の経過が途中錯綜するので、丁寧に読んでいないと今自分がどこにいるのかが判りづらくなる。
法廷場面のどんでん返しは予想外だったが、この展開がなければ陰鬱な結果しか残らなかっただろうし、弟子達の態度も腑に落ちる。
エンドロールの後の追加シーンは、やっぱりあった方が良いのかな・・・ -
「開かせていただき光栄です」
ひさびさに読書が夜通しになりかけた(笑)。
18世紀、ロンドン。私的な解剖塾を開いているダニエル・バートン医師は今日も住み込みの弟子とともに解剖をしていた。
だが、彼の屋敷内から見覚えのない死体が2体も出てきて・・・
という出だしで始まるミステリー。
主人公の一人でもある、ダニエル・バートンのモデルともなった天才外科医にして解剖学者のジョン・ハンターの伝記を読んでいた私には、ストーリーもさることながら、いろいろな設定や当時のロンドンの描写がたまらなかった。
冒頭に出てくる、ダニエルたちがいままさに解剖しようとしていた妊娠6ヶ月の妊婦の遺体や、それを描いた細密な銅板画はその伝記の冒頭の美しい口絵として並んでいる。
いまだと考えにくいが、解剖学の黎明期にはその遺体の解剖図の画集を出して儲けにするとともに、自身の手柄として喧伝する必要もあったらしい。
それから作中でもダニエルがことあるごとに「解剖するための死体が足りないんだ!」と相手かまわず力説し、作中でも墓泥棒がたびたび登場する。
さきほどの「ジョンハンター」の伝記でももっとも私が好きなエピソードが、絞首刑犯の遺体のぶんどり合戦の話である。
18世紀、ロンドンでは不衛生な環境からぽこぽこ人は死んでいたが、それでも解剖に回す遺体が足りず(公式に認められていたのは年間6体のみ!)、解剖教室が乱立するロンドンではとうてい足りなかった。
ではどうするか?
墓から失敬するのである。
そこで墓泥棒の登場である。
実際のハンター医師も墓泥棒と懇意にして死体をかなり調達していたらしい。
しかし、それでもなお貴重なものが妊婦の遺体と、死んだばかりの遺体である。
なので、絞首刑犯の刑が執行される場所は、墓泥棒と、ハンターたちのような死体調達をねらう解剖学者と、そうはさせまいとする絞首刑犯の家族(刑執行後には遺族となる)の3つどもえで死体のぶんどり合戦があったらしい。
不謹慎で申し訳ないが、その様子を想像するだにおかしくて笑える。
残念ながらそのぶんどり合戦は「開かせて〜」では描かれていなかったが十分楽しめた。
18世紀ロンドンの、大英帝国が我が世を謳歌する中での奔流のようなエネルギーと、悲喜こもごもが堪能できた。 -
2013-9-20