- Amazon.co.jp ・本 (169ページ)
- / ISBN・EAN: 9784150311308
感想・レビュー・書評
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え?これアニメだと美少女日常系なの?嘘でしょ?と感じてしまった、「ファンタジスタドール」というアニメの前日譚を書いた小説。アニメは見ていないのだが、これを読んでいるとてっきり鬱々としたSF作品かと思った。
そう、本作はエンタメSF版私小説とでも言おうか、根暗な主人公の一人称で語られる展開や言葉選びや音引きの使い方など、大正期から昭和初期の純文学を思わせるのだ。その癖読みやすいのだから、著者の筆力に脱帽だ。
男女間に限らない、情愛と心の距離と体の変化、その機微もよく描かれ心が痛む。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
谷口さんの文章を読み終わってやっと『ファンタジスタドール』というアニメのメディアミックス作品だと気付いた。『ファンタジスタドール イヴ』というオリジナル作品だと思って読み進めてしまっていたので、ちょっと違和感があったのはこれか~と最後の最後に気付くという、間抜けな自分にため息がでた。
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野崎まどは、書くのに縛りが無ければ無いほど良いものを創り出す作家だ。「何でもあり」と言われて、本当に面白いものを書ける人は意外にいない。
どの領域にまで到達するのか予想もつかない、というのが持ち味の作家に、本作は原作付きの前日譚というゴールが分かっている真逆の条件。それでも文学的風味付けを施して十分に良作として仕上がっている。言ってみれば、伊藤計劃のMGSノベライズのような位置づけか。 -
それは、乳房であった。
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父子家庭に育ち、幼少期から使用人、同級生、など身近な女性たちと性に纏わる背徳的な思い出を重ねながら、それを払拭するかのように研究に打ち込む主人公と、その前に現れる、婚約者に裏切られた過去を持つ同僚。研究室の後輩女性を巡る主人公の想い、そこから導かれるものとは。
これまでの「THE野崎まど節」のようなテイストではなく、どこか純文学や古典SF小説の香りのする文体。最後の最後の活字遊びが野崎風味?(でも多分野崎氏オリジナルの発想ではなく、メディアミックスありきの設定として前提に決まってた部分なんだろうな) -
文学でSFな野崎まど。
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スピンオフのクヲリティにしては面白く読めた。女中とのオネショタ、小学生時代の同級生へのピーピング、母親の身体に対する値踏み、中砥の玄姦なと抜きどころ満載でありながら、あからさまなギャグを一切取っ払った文学的な構成に野まどへの信仰を強めざるを得ない
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薄いページ数に反して濃厚な体験でした
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背表紙見た瞬間すっごくいい匂いがした。
開いてみてよくわからない単語にドキドキした。
読むのが楽しみ。
期待通りの一作。
今後展開されるであろう元のアニメ?部分について全く無知でも堪能できる。
主人公の変人→変態へと突き進んでいく過程が丹念で、頭はいい思春期の男の子が周りの環境とちょっとしたきっかけでわき道にそれてそのまま踏み外していく様が純文を読んでいるようで引き込まれていった。(むしろSFとかより純文でいいと思う。) -
明治・大正の頃を思わせる文章なのに、パラレルワールドの現代、あるいは近未来を描いている不思議な感覚。わずか150ページほどの物語でも、濃く、深い。まるで純文学を読んだ様。これが前日譚なら本編を知りたくなる。野崎まど、恐るべし。