- Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
- / ISBN・EAN: 9784150314491
作品紹介・あらすじ
大学図書館に"降る"本は天才詩人の呪いか――現実と現代芸術が交差する五つの謎に、新たな日々を歩み始めた黒猫と付き人が迫る
感想・レビュー・書評
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短編集
相変わらず楽しませてくれる作品
灰島教授が出てくる作品も含まれているとは…
黒猫シリーズを読むと読書をする際に背筋が伸びる気がします(笑)詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
現代芸術をテーマに話が進む。
芸術と言っても、絵画だけでなく、詩や服飾、パフォーマンス…。アートと芸術の違い。
深く考えたことなかった分野だったからそういう考え方があるんだと新鮮な気持ちで読んでた。贋作とオリジナルなんてわたしには見比べることはできない。きっと贋作でもら感動しそう。何が真実なのかなんてわからない。 -
『娯楽』★★★☆☆ 6
【詩情】★★★★★ 15
【整合】★★★☆☆ 9
『意外』★★★★☆ 8
「人物」★★★★★ 5
「可読」★★★★☆ 4
「作家」★★★★★ 5
【尖鋭】★★★★☆ 12
『奥行』★★★★★ 10
『印象』★★★★☆ 8
《総合》82 A- -
現代アートをめぐる謎について、黒猫と付き人が迫る。1つの話で、付き人がシャーロックホームズ・灰島がワトソンとして書かれていた。ワトソンである灰島が、気づかずにヒントを出しすぎていて、シャーロックホームズである付き人に指摘されるところが面白かった。アートに含まれる意味が、大衆に伝わるものもあれば、本人にしか分からないものも多く含まれている事を知っておく必要がある。
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現代アートとは何なのか。前作での私の感想に一部答えてくれるような本作だった。
▼シュラカを探せ
でも、落書きとアートもしくは芸術との違いは結局分からないまま。日本でも最近、NFTアートと称して小学生の落書きに100万円以上の値がついたそう。個人的には、そういうのは芸術じゃないように感じるけど、じゃあその境界線はなんなんだろう。長い経験や修行の果てのアウトプットかどうかか?新しい視点を齎すものなのかどうかか?人の心をどのくらい深く揺さぶるかなのか?思想や信念の有無?シュラカは「中心などない」という、その意味も結局きちんとは理解出来なかった。気が向いたら参考文献に目を通してみる。
▼贋と偽
贋作と、偽物と、本物の違い。黒猫の主張には激しく同意。そういえば、よく企画美術展で、モネが来るフェルメールが来ると皆浮き足立つけれど、一体その中のどれくらいの方々にとって、本当にその目の前にある作品が本物でなくてはならないのだろうか、と他の鑑賞者の様子を見ていてよく思う。勿論、鑑賞の仕方は人それぞれ。皮肉ではなく素朴な疑問。
▼本が降る
こちらも黒猫の主張には激しく同意。
ところで、詩の鑑賞の仕方が未だに良く分かっていない。黒猫の出世論文のテーマであるマラルメとか難解すぎ。勿論アルチュール・ランボーも良く分からない。外国語による詩はハードル高いよな。といいつつ、日本語の詩だって、島崎藤村の「椰子の実」の切なさとか谷川俊太郎の「卒業証書」の優しい眼差しくらいしか味わえないけど。
▼群衆と猥褻
トリックが無理矢理感強いなあ。 -
不穏な展開だった第2部スタートの前作が、視野が狭くなる孤独な「夜」だっただけに、並んで歩く「昼」の今作はたとえ迷宮であってもやはりどこかに光を見出せる感じだった。また、黒猫と付き人の関係の変化に伴い、作品内に漂う空気も少し柔らかくなってきたようで、読者としてはその雰囲気を彼らと一緒に味わえるのが嬉しい。