- Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
- / ISBN・EAN: 9784150315429
作品紹介・あらすじ
裏世界を通じて出逢った紙越空魚と仁科鳥子のふたり。因縁の冴月の危機が去ったいま、空魚は向き合わなければいけない感情がある
感想・レビュー・書評
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第8巻。過去の出来事や感情までを含めた最大の転機となる葬送作戦を終えたこともあり、今回は空魚と鳥子の2人の関係について描かれていた。今まで空魚はなぜ鳥子に対して踏み込めないのだろうと思いながら読んでいた部分もあった。ただ淡白なだけなのか?興味を持っているのに関心があまりないとか有り得るのか?ただどうしていいか分からないだけなのか?とか。今回、お互いの求めることが明らかになり、改めていい関係だなと思えた。「知ってる?共犯者って、この世で最も親密な関係なんだって」鳥子が空魚に出会ったばかりのころに言ったこの言葉が、非常に重要だったんだな。
「ムジナ・アタックス」
鳥子の誕生日を祝う席で、空魚は鳥子から「好きだ」告白される。すぐに応えられない空魚は一週間後に答えを求められる。他人に相談をするうちに、鳥子の姿をしたむじなに出会いある感情に気づく。
「オモイシレ」
むじなに出会ってからも答えは出ず、夏妃や小桜にも相談する。小桜邸からの帰り道にひとり裏世界に迷い込んでしまい、気づくとるなの部屋にいた。
「共犯者の終わり」
むじなに翻弄される空魚は、現実の鳥子のことが不安になり家に向かう。無事を確認した空魚は鳥子と話し合う。
結果として、お互いが考える関係性は、価値観の違いのようなものはあったが本質的には同じであって安心した。お互いに育ってきた環境が違えば、そこで培われる感情や感覚も違う。それぞれに影響し合って変化してきてはいるが、まず知ることから始めないと深いところまで進めない。しかし、空魚の性欲のスイッチはなかなかにクセありだな。まさかそうくるとは思わなかった。その後の体験で狂気を操られながら翻弄されるなんてめちゃくちゃ魅惑的だと感じてしまうのは、ちょっと変態だろうか?2人の存在と裏世界がこの先どうなるのかますます楽しみだ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
2023年1月ハヤカワJA文庫刊。書き下ろし。シリーズ8作目。ムジナ・アタックス、オモイシレ、共犯者の終り、の3つの連作短編。空魚と鳥子の関係が一気に進む。異能力のある二人なので、こういうことがおきてもちっとも不思議じゃないんだけど、まさかここまでとは思わなくて、とても感心しました。宮崎さん凄い。小桜さんと異能のちびっ子の間にも楽しい関係が構築されそうで面白いです。
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今回は空魚と鳥子の内面が掘り下げられた巻。複雑な感情の重なりを読みやすく丁寧に描いていてさすがだなと。
そのぶん裏世界での冒険が少なかったのは残念。そこは次巻に期待したい。 -
ここからどうやってお話を閉じていくのかな、作者の腕力や如何に。
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百合×実話怪談シリーズの8巻目。この巻では"裏世界"そのものの実態について触れ、主人公・空魚は「むじな」と遭遇します。ただし今回はタイトルが示す通り、怪異よりも百合要素強め。牛歩の如く進んできた空魚と鳥子の関係もだいぶ進展します。
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空魚と鳥子の百合小説。少し怪異は発生するもののメインは恋愛。色々な人に相談してという過程も皆独自の世界観があり面白い。
沙月の件は片付いてるので、この後の展開はどうするんだろう。 -
うーん、こういう話が読みたいわけではないので。
なんか引いてたんだが、確かに、最後の方まで行けば本編の重要なテーマが含まれていることはあるのかとは思ったけど。
次に期待。
だから長めのシリーズものはやなんだよなあ。