天才数学者たちが挑んだ最大の難問―フェルマーの最終定理が解けるまで (ハヤカワ文庫 NF 282 〈数理を愉しむ〉シリーズ)

  • 早川書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (234ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150502829

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  • 読書録「天才数学者たちが挑んだ最大の難問」4

    著者 アミール・D・アクゼル
    訳 吉永良正
    出版 早川書房

    p183より引用
    “しかし、何がフェルマーの最終定理を面白
    くしているかと言えば、それはこの問題が文
    明の始まりから現代に至る数学の歴史に関
    わっている点なのである。”

    目次から抜粋引用
    “史上最大の難問が解けた!?
     フェルマーの問題のルーツ
     近代数学の巨人たちの遺産
     数学は革命の馬車に乗って
     日本人数学者の早すぎた夢”

     大学教授である著者による、数学史上最高
    の難題の一つである、フェルマーの最終定理
    が証明されるまでを綴った一冊。
     人類の文明の始まる頃についてから証明の
    完成まで、数多くの数学者と歴史をたどりな
    がらまとめられています。

     上記の引用は、フェルマーの最終定理の他
    の数論の問題との違いについて書かれた一節。
    古くはメソポタミア文明の農地の面積の計算
    がルーツとのこと、どんなに訳の分からない
    複雑でややこしく思われることでも、人の生
    活の中に何がしかの根っこが刺さっているの
    かもしれませんね。
     数学についての知識が多ければ多いほど、
    より深く楽しめそうな一冊です。
    正直私は数学について明るくないのですが、
    それでも、歴史上の数学者達の逸話を見てい
    るのは面白いものでした。
    あらゆる過ぎた歴史の上に、現在があると思
    い直せる一冊なのではないでしょうか。

    ーーーーー

  • 567円購入2011-02-09

  •  算数の難しい問題を考えるのは、実に楽しいものだ。でも、数学の難しい問題を考えるのは、本当につらい。
     最近私は、時々大学生からやり直したいと思うことがある。自分が夢中になれるテーマを見つけて、何年か、研究に没頭してみるのも悪くないな、と思うからである。でも、もし私にそのチャンスが与えられたとしても、数学科に入ることだけはないと言い切ることができる。

     さて、この本は、有名なフェルマーの定理が解けるまでのエピソードを紹介するものだ。安心して欲しい。難しい数学の話はほとんど出てこない。難しい用語はいくつか出てくるが、そのほとんどは、話の展開に無関係なので、読み飛ばしても問題がない。実際、私も辞書や数学の用語辞典を調べることは放棄して、勇気をもって読み進めた。
     実は、その魅力的なエピソードと同時に、数学の歴史を追体験することができる。何しろフェルマーの定理の先祖は、ピタゴラスの定理までさかのぼるからだ。

     どちらのストーリーも、厳密な話をされれば、難しすぎてにっちもさっちもいかないに決まっている。でも、筆者は巧みなたとえ話を駆使して、専門的な数学の知識が全くなくても楽しめるように書いている。

     私も、フェルマーの定理は無理としても、いろいろ考えないとなあ。でも、何から考えるかなあ。

  • 下手な推理小説よりワクワクします。完全な文系の私でも面白く読みました。

  • 解けたからと言ってどうなのかは別として、
    挑むのがすごい

  • フェルマーの最終定理が証明される歴史。「証明とは帰宅した時にある部屋の明かりが灯っても、次の部屋の闇を照らすための灯りを探し続けるのと同じ」とはウマい。答えは一つと教えられる数学もそこに至るまでには幾筋もの道がある。そこが面白い。

    この本を読んで改めて感じた。

  • 命題としては,リーマン予想よりもはるかに分かりやすいフェルマーの最終予想を証明し,定理に見事に昇格させるまでの経緯を,数学史から説くという本。こういう人こそ真の研究者たち(本の中にはセコい人物も登場するが)なんだろうなと,その研究魂に引きこまれ,一気に読んでしまいました。多少の脚色はあるにしても,おおよそ事実で構成されていると思います。


    *****
    …,何がフェルマーの最終定理を面白くしているかといえば,それはこの問題が文明の始まりから現代に至る数学の歴史に関わっている点なのである。そして,この定理の最終的な解決が,広範な数学の分野,数論以外にも代数学,解析学,幾何学そしてトポロジーと,実質的にすべての数学の分野と関連していたことなのだ。(p.183)

    ワイルズはフェルマーの最終定理を証明しようという子供時代の夢をいったんは放棄しなければならなかった。大学院生にはとてもかなわない問題を研究することは時間の浪費のように思われた。それにまた,三世紀ものあいだ,世界のもっともすぐれた頭脳でさえ解けなかったそんな大昔のパズルを研究しようという学生を受け入れる指導教官などいるだろうか。一九七〇年代は,フェルマーは人気がなかった。当時流行だった,数論における重要研究課題は楕円曲線だった。そこで,アンドリュー・ワイルズは楕円曲線と岩澤理論と呼ばれる分野の研究に時を過ごした。…(p.188)

     理由が何であれ,ワイルズは屋根裏の勉強部屋にこもって研究を進めた。彼はあらゆる他の研究から手を引き,すべての時間をフェルマーに捧げた。ワイルズは代数学,幾何学,解析学,その他の数学分野から現代的な理論の威力を総動員した。彼は同時代人や歴史的な先駆者たちが得た重要な数学的結果も取り入れた。(p.190)

    「突然,まったく不意に,私はこの信じがたい天啓を得たのです。あんなことは二度と起きないでしょう……」その瞬間,涙があふれ出し,ワイルズは激しい感動にとらわれた。(p.212)

  • 学生時代、数学は大の苦手だったが、逆に理解が全くないから、憧れの対象でもある。意味不明の数式を理解できたら、どんなに人生が華やかになっただろう、と考えてしまう。喋れない言語を話している人を見て、すごいなと感心するのと同じである。そんな数学への渇を少し癒してくれるノンフィックション。フェルマー予想の解決までの道筋が生き生きと書かれている。数式もあまり出てこない。筆者は文系読者に理解させるべく苦労して書いたのだろうなあと思う。読み物としては非常によくできていて、面白かった。

  • サイモン・シンの方を先に読んだからか、ものたりない感じ。
    訳者も書いてましたが、筆者の感情的な部分が垣間見える。
    読みながら、この描写はちょっと過剰じゃない?と思うところも…

  • サイモン・シン読んだ後に読むとどうしても薄く感じます。

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