神話の力 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

  • 早川書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (495ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150503680

感想・レビュー・書評

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  • 再読。妹からもらった。自炊予定。いい言葉が溢れている。

  • 神話の具体例と、そこから導かれるキャンベル師の人生訓の繰り返し。
    個人主義的な、あるひとつの時代の言説だなぁ、という印象。
    しかし大変前向きで励まされるところも多い。

  • 読んでいる時は神話についての話だと思っていたけれど、気になった箇所のメモを取ってみたら、これは神話を拠り所にした現代への教えの本なのだと気づいた。読み応えあり。

  • この世で信頼できる人間は、ジョーゼフ キャンベルのみ。

  • 深刻で絶え間ない人間の苦悩こそ古典的な神話の主要なテーマ
    あらゆる苦しみや悩みの隠れた原因は、生命の有限性であり、それが人生の最も基礎的な条件だ まし人生を正しく受け入れをうと思うなら、この事実を否定する事はできない

  •  最高!神話を心理分析の観点から語った対話本だけど、解釈が非常にロマンチック。たとえそれがJ・キャンベルの一考察にすぎないとしても、読者がそこから得るものは大きい。神話はあくまでも物語であり、それゆえに私たちが理解するうえでは必ず個人的な解釈が介入することになる。ただそれを前提にしないと、この本は単なる著者の夢物語としか感じられないだろう。

  • 資料ID: C0031914
    配置場所: 本館2F文庫・新書書架2(千葉)

  • 【新歓企画】ブックリスト:「大学1年生のときに読んでおきたい本たち」
    比較神話学者であるジョーゼフキャンベルさんとジャーナリストのビルモイヤーズさんの対談集です。神話伝承を調べたいお……でも、大学の勉強はハイソすぎてついてけないお……。だから入門書を読むお! みたいなテンションの人におすすめ。対談なので比較的のんびりさくっと読めます。何より良いのがジョーゼフさんの人柄。「落ち着けおっさん」と思う事もありますが、基本的に優しい気分になれます。神話を学ぶ、という事はどういう事なのかね。みたいな話から、結婚の意義とか、厨ニ大喜びのモチーフがぞろぞろ。キャンベル爺さんは87年に自宅で逝去されたそうですが、その生き方に影響を受けた人はいろんなところにいるみたい。文庫版出たので、そっちでもどうぞ。【S.O.】

  • ジョーゼフ・キャンベルを有名にした業績の一つに、世界中の英雄神話に共通する要素と構造を明らかにした研究があります。ジョージ・ルーカスがこの研究を下敷きに『スター・ウォーズ』のストーリーを構想したことはつとに有名で、ビジネス書の中でもたびたび取り上げられる挿話となっています。文化人類学や文学の世界に留まらず、エンターテイメントやビジネスの世界にまで広範な影響を与えてきた知の巨人。それがジョーゼフ・キャンベルなのです。

    そのキャンベル先生ですが、冒頭、人々が本当に求めているのは、生きることの意味ではなく、<いま生きているという経験>であり、<いま生きている>という実感と結びついた無上の喜びこそが、人生で最も大切なものなのだ、と述べます。

    その<経験>を得るためには何が必要なのか?というモイヤーズの問いに対し、神話を読むこと、神話にこめられた象徴のメッセージを受け止めることだ、とキャンベル先生は答えます。そして、以下、古今東西の神話のみならず、宗教の教義や映画、文学を引き合いに出しながらの、めくるめくような神話学の講義が始まるのです。

    その講義の底に流れるのは、神話が、現代に生きる我々の幸福とどう関係するのかという問いです。それは、悲しみや苦しみに満ち、矛盾に満ちた世界の中で、それでも人間が人間らしく生きるためには何が必要なのか、という問いへと重なってゆきます。

    「神話は、なにがあなたを幸福にするかは語ってくれません。しかし、あなたが自分の幸福を追求したときに、どんなことが起こるか、どんな障害にぶつかるか、は語ります」とキャンベル先生は述べます。つまり、神話は、幸福の追求のために、自ら主体的に人生を生きようとした時には、大きなヒントを与えてくれる、と言うのです。

    そう考えると、神話に必ず英雄物語がある意味も理解できます。英雄物語は、個人を冒険へ誘い、他者のために自己を捧げる行為へといざなうからです。人は、それらの主体的で、勇気ある行動をすることを通じて、本当の意味で他者と出会い、世界と出会い、未知の自分と出会うのです。その時になって初めて、今を生きているという実感と結びついた無上の喜びを感じることができるのでしょう。

    人生を傍観するのではなく、自ら主体的に人生に参加する勇気を持つこと。そうすれば、人は、社会や世界、そして自分自身とつながることができる。キャンベル先生は自らの人生がいかに至福に満ちたものであったかを語りながら、そう読者に呼びかけます。

    本書を読んでいると、物凄く勇気が湧いてきます。神話が伝えてきた人類の叡智に触れることで、人は生きる力をもらうことができるのでしょう。それこそがまさに「神話の力」なのだと思います。

    きっと得難い読書経験になるはずです。是非、読んでみて下さい。

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    ▽ 心に残った文章達(本書からの引用文)

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    人々はよく、われわれみんなが探し求めているのは生きることの意味だ、と言いますね。でも、ほんとうに求めているのはそれではないでしょう。人間がほんとうに求めているのは<いま生きているという経験>だと私は思います。

    私たちは外にある目的を達成するためにあれこれやることに慣れ過ぎているものだから、内面的な価値を忘れているのです。<いま生きている>という実感と結びついた無上の喜びを忘れている。それこそ最も人生で大切なものなのに。

    神話が負っている主要な課題のひとつは、あらゆる生の冷酷な前提と知性とに折り合いをつけることです。生きとし生けるものはすべて他の生命を殺して食べなければならない、という冷厳な事実がありますね。(…)生命の基本は生命そのものを食べているというこの事実です!

    人生を一編の詩と観じ、自己をその詩の参与者と見なすこと。それが私たちにとっての神話の機能です。

    英雄とは、個人的な恨みや、失望や、復讐心に駆られてではなく、勇敢に、品位を持って、自然な形で人生に参加する人を言うのです。

    インディアンは命あるあらゆるものを「あなた」と呼んでいました。木々も、石も、あらゆるものを。どんなものでも「あなた」と呼ぶことができる。そして、そう呼んだとき、自分の心に変化が生じているのを感じることができる。「あなた」を見るエゴと、「それ」を見るエゴとは決して同じではないんですね。

    クモが美しい巣を作るとき、その美はクモの本性から来ています。それは本能的な美です。私たち自身の生活の美は、生きていること自体の美しさにどの程度までかかわっているのだろうか。

    あなたにとって至福は、無上の喜びは、どこにあるのか。あなたはそれを見つけなくてはなりません。

    いつも見えない手に助けられているものだから、とうとうひとつの迷信を抱いてしまいましたよ。それは、もし自分の至福を追求するならば、以前からそこにあって私を待っていた一種の軌道に載ることができる。そして、いまの自分の生き方こそ、私のあるべき生き方なのだ、というものです。そのことがわかると、自分の至福の領域にいる人々と出会うようになる。その人たちが、私のために扉を開いてくれる。心配せずに自分の至福を追求せよ、そうしたら思いがけないところで扉が開く、と私は自分に言い聞かせているのです。

    子供を産むということは、間違いなく英雄的な行為です。他者の生命に自己を捧げるんですから。

    自我や自己保存を第一に考えるのをやめたとき、私たちは、真に英雄的な意識変革を遂げるのです。

    ダース・ベーダーは自分の人間性を発達させてなかった。彼はロボットだった。自分自身の意志ではなく、押し付けられたシステムに従って生きる官僚だった。これは今日私たちみんなが直面している脅威です。システムが私たちを押しつぶして人間性を奪ってしまうのか、それとも私たちがシステムを利用して人間の目的に役立てるのか。(…)しなくてはならないことは、自分の置かれた時代に人間らしく生きるすべを学ぶことです。(…)自分自身の理想をしっかりと持ち続けること、そしてルーク・スカイウォーカーがしたように、システムがあなたをロボット扱いしようとするのを拒否することですね。

    私たちはみな、この一時の生において私たちの人間性を最もよく養い育て、開花させてくれるものはなにかを知り、それに自己を捧げなくてはなりません。

    神話は、もしかすると自分が完全な人間になれるかもしれない、という可能性を人に気づかせるんです。(…)神話は、汲めども尽きぬ泉のようなものです。

    生きた世界ならば、どんな世界でもまっとうな世界です。必要なのは世界に生命をもたらすこと、そのためのただひとつの道は、自分自身にとっての生命のありかを見つけ、自分がいきいきと生きることです。

    人間は、自分をどう扱ったらいいかわからない動物です。その精神は多くの可能性を持っているけれども、私たちはただ一度しか生きられません。私たちは自分をどうするつもりなのか。生きている神話は、その時代にふさわしいモデルを与えてくれるのです。

    私たちのひとりびとりは確実にかけがえのない存在であり、もし私たちが世界になにかをもたらすとすれば、それは他人のではなく、自分自身の経験と自分自身の潜在能力の実現から来るものでなくてはならない。

    凡人などという者がひとりだっているとは、私は思いませんね。すべての人が人生を生きるなかで、めいめい自分自身の幸福への可能性を持っている。その人がしなくてはならないことは、それを認識し、育て、それと共に歩むことです。

    この社会でどう生きるべきかを、社会が私に指図するなんてことを許してはなりません。人は自分自身の体系を築き上げるべきです。

    永遠とは、いついつまでも存在するというようなものではない。それはまさに、いま、ここにある。この地上であなたが他者と関わり合う、その経験のなかにあるのです。

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    ●[2]編集後記

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    先週はメキシコ出張でした。土曜の夕方に帰国したところです。

    メキシコに行くのは12年ぶりだったのですが、仕事で行くのは初めてでした。朝から晩までメキシコにある企業や役所の方々と議論する中で感じたのは、中南米というのが、一つの大きな経済文化圏になっている、ということでした。

    中南米では、スペイン語が話せれば、コミュニケーションができるのです。ブラジルのように、ポルトガル語の国もありますが、方言の一つくらいな感じで、コミュニケーション上は大きな問題にはならないとのこと。そして、ビジネスパーソン達は、英語も上手に使いこなします。つまり、北米大陸ともつながるのです。

    内戦や麻薬の問題など、どうしてもネガティブなイメージのほうが先に立つ中南米ですが、それはとても一面的な見方で、ビジネスの世界では、北米から南米までの一大経済文化圏ができあがりつつある。地球の裏側では、こんなにダイナミックな世界が胎動しつつあるんだということを知って、いかに自分が狭い視野でしか世界を見ていなかったのかを痛感しました。

    英語もすっかり喋れなくなっているし、なんか本当に世界に通用しない仕事の仕方をしてきてしまったんだなとも反省。もっとも言葉の問題はさておき、本質的なことをしていれば、必ず世界ともつながっていくはずなので、残りの人生、広い視野と、深い洞察力をもって、世界につながっていけるような仕事をしたいものだと心を新たにしました。辺境の国に生きる偏狭な人間にならないよう、常に心していないといけないですね。

  • 「あなたの中のサル」を読んだあとだと、人間たらしめているものを感じることができる。サルも夢を見るけど、種族として夢をみることはできないんだなと。人間以外に、かつて生きていた仲間を記憶し続けることはできないし、それがどれだけ人間性を獲得しているかと考えさせられる。
    社会の役割の中で、判事が法定に入る際に皆が起立したり、礼をするなどの儀式や儀礼は、その人ではなく責任役割に敬意をを示すことであり、役割に伴う原理原則の代表者としての誠実さに敬意を払っているという考えは、いまこの年になって分かるようになってきた感じがする。

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