- Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
- / ISBN・EAN: 9784150504748
作品紹介・あらすじ
新宿歌舞伎町で14年間人助けを続けてきた男、玄秀盛。DV、借金、不倫、家庭崩壊、どんな問題も解決してきた男の壮絶な過去とは?
感想・レビュー・書評
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歌舞伎町の深い闇、そこで駆け込み寺をやっている凄腕の男の物語
親の愛なんてものを見たことも触ったこともない人間には、そんなもんわからんのや。愛情なんていう概念すらわからん
彼は自分からは決して喧嘩をしようとしなかった。売られた喧嘩もよほどのことがなければ買うことはなかった。何しろ彼のプライドは容易に傷つかなかったのだ
生きるためにものを盗って何が悪い。何もしなければ死ぬだけだ。社会道徳も、倫理も、何ひとつ俺を守ってくれなかったよ
そうする以外、生き延びるために何ができる?だからええんや。何ひとつ後悔なんかしてへんよ
秀ちゃんの小便、血がでとる おれの体、おかしかったんか
ヤクザより、普通の人間のほうがよっぱどこわい。ヤクザはいい。だいたいの予測がつくからな。でも、普通の人間は追い詰められると何をするかわからん。一見善良そうな臆病な男が刃傷沙汰をおこすんや
がまんできない人は結局できないんです。だんだん年を取るとね、なかなか器用にはできないから
ワルをやるのは、ひとりがいいわ。徒党を組むとアガリは全員と分けならんし、誰かがヘタを打つと芋ずる式にパクられる
だが、17歳の時、彼は突然死のうとした 大量の市販薬を飲んで、自殺を図ったのだ
彼女たちはみなと同じだ。つぎ込んだものが大きければ大きいほど、必死になってだまされていることを否定する
未練はない?―ううん、ぜんぜん、私、今までの人生で、一度も人を信じたことがなかった
上にいたやつらがどんどん下へ落ちてきている。じゃあ、下にいるやつが上に上がれるかって?上げれるはずがない。下にいたやつは、もっと下に行く。底なし沼や。下から、上へ這い上がれへん。まともにやっていても上げれんよ。ただ下へ、どんどんどんどん下へ落ちていくだけや
人を見抜く術や―人を見るときはな、過去に照らしてプロファイリングなんかしたらあかんのや。自分のものさしを持っていると、必ず見立てに狂いが生じる。何もないまっさらな気持ちで、そいつを見る。
玄は自分を脅かす相手をそのまま放置しておくような男ではなかった。それが彼の中でのルールなのです
玄はものを所有することに何の興味もなかった。ロレックスであろうが、ベンツであろうが、同じことだった
なあ、俺が何を頼りに生きてきたか知っているか?自分やで。俺のほかに何がいる?
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おわりに(文庫版のために)
ISBN:9784150504748
出版社:早川書房
判型:文庫
ページ数:288ページ
定価:680円(本体)
発売日:2016年08月15日発行詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
エンジェルフライトがドラマ化されていたのを観てそう言えば佐々さんの作品で未読があったなと購読。
何と言うか原点と言うか。
かなりの主観が入っている様に感じるのも取材対象が人たらしと評される所以か。
人を助けることで過去の自分を救っていると言ってしまえば感傷的過ぎるのかも知れないが。
この世の彼方此方に玄的な人が居て救われている人もいるのだろう。
早く新作出ないかなー。 -
佐々涼子さん経由で読了。
玄さんオーラ半端なさそう。 -
著者は玄さんに何度も強烈なダメ出しをされながらも話を聞かせてもらい、ノンフィクション作家として鍛えられたと書かれている。それはまず最初に、著者が玄さんの懐に飛び込んだ結果、作り上げられた関係性なのだと思う。
そんなふうに人と向き合える著者の取材スタイル、というより人となりをうらやましく思いながら読んでいます。 -
「駆け込み寺の男 玄秀盛 佐々涼子 ハヤカワノンフィクション文庫 2016年 680円」金や男女男男関係、仕事、DV、貧困などのトラブルをかけた人の逃げこむ場所を提供している実在の人物の壮絶な話。エグくて、自分の悩みが小さい物だとわかるのでこの手の本は好きだ。
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駆け出しのルポライターが書いた文章のように、あまり深さはないがおもしろみはある。
それはこの主人公のドラマがあまりにも破天荒であるからである。新宿の駆け込み寺のエピソードはもちろんその場においての取材で得た情報なので真実であろうが、主人公の生い立ちがどこまでが本当で嘘なのかわからないくらいの内容なのだ。詳細は本書に譲るとしてそのような生い立ちの人間がいるということと、やんちゃをしてしていても更正できるということを理解した。
一度お会いしてみたい衝動にかられたのはいうまでもない。 -
壮絶な体験記には驚きました。
でも全てがつながって、知恵のある人助けを今職業としてできているってことがすごいと思いました。 -
『エンジェルフライト』『紙つなげ~』のノンフィクション作家佐々涼子のデビュー?作。いまのところこの著者は外れなし。
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とても興味深く一気に読みました。
過去のやってきた事実は変えられないけど、解釈は変わってくるのだ。過酷すぎる人生で聞いた側は眉をひそめてしまうのは間違いないけれど。人は変わるんだと強く感じる一冊。そして私も強くなりたいなと思いました。 -
佐々の出世作だそうだ。
ビビッドに、ウェットなヤクザ?を描いているという以上の印象はないが。。?