いつも「時間がない」あなたに (ハヤカワ文庫 NF 483)

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  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150504830

感想・レビュー・書評

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  • 副題に時間が足りないあなたへと書かれている割には時間の欠乏に対する言及は少なかったように思う。

    ただ、時間あるいはお金に対しての欠乏状態がどのような症状を引き起こすのかはよく分かった。

    読んでいて診断だけされて治療されない気分なる。
    まあ欠乏状態にならない画期的な対処法が存在しないことだと思う。
    日々の意識で変えていくしかないか。

  • 圧倒的な面白さでした。

    「ジャグリングはトンネリングの論理的帰結だ。人はトンネリングを起こすと、問題をその場しのぎで「解決」する。今できることをやるのだが、それが将来の新しい課題を生む。今日の請求書のために借金をすると、それが将来的に別の少し高い請求書になる。」p186

    「こんな風に欠乏に対処していると、めちゃくちゃなバランスシートが出来上がる。」p187

    「最新の研究で、自制心はじつは使ううちに消耗する可能性があることが明らかになっている。」p192

    「欠乏の罠に落ちるか落ちないかぎりぎりの生活にとって、どんなわずかなぐらつきも脅威になる。なぜなら、それを吸収するためのスラックがほとんどないので、ほぼ確実に感じ取れるからだ。」p198

    「研究によると、孤独な人は集中しすぎる。(中略)緊張による失敗は、ずっと広範な現象の一角である。心理学者は様々な課題で、注意または覚醒レベルとパフォーマンスに関係が逆U字曲線を描くことを発見している。注意が少なすぎるとパフォーマンスは上がらない。注意の向けすぎと過剰な覚醒もパフォーマンスを下げる。(中略)孤独な人の話に戻ると、まさに欠乏を集中させてしまうからこそ、緊張して失敗するのだ。集中しすぎている人はしつこいとか、愛情に飢えているように思われかねない。」p208

    「教育が良いことであるのは間違いない。しかし貧困者が犠牲を払わずに受けられるものであるかのように扱われているが、実際には処理能力への高い代償がともなう。」p247

    「貧しい人たとの明らかに乏しい資源である所得だけではなく、それほど明白ではないが同じくらい重要なもうひとつの資源、すなわち処理能力にも、焦点を合わせている。処理能力を考慮すると、ちょうど良いタイミングで現金を与えるという単純なことが、大きなプラスになりうることがわかる。」p255

    「設計の改善には、欠乏の心理から浮かび上がる集中と処理能力についての基本的洞察を組み込まなくてはならない。」p257

    「アシスタントは「十分に活用されていない」からこそ、セント・ジョンズの例の空き部屋と同様、貴重な存在だったのだ。やるべきことがたくさんあるときはふつう、ぎゅうぎゅうに詰め込みたい衝動に駆られる。(中略)たまの渋滞にはまるのは、ほかの人にとってはちょっとしたいらいらの種に過ぎないが、予定がびっしり詰まっている人の場合、スケジュールがすっかり混乱んしてしまう。」p263

    「別の研究では、心胸外科部門で医療従事者一人当たりの患者数が増えるとどうなるかを調べた。やはりここでも、短期的には生産性が上がった。患者は迅速に処置されたが、これには代償が伴った。放置状態が生じたのだ。(中略)それどころか、プラス効果も長続きしない。仕事量が増え続けたことで、最終的には患者一人に対処するのにかかる時間が増えたのだ。」p277

    「心掛けを必要とする行為を、できるだけ一回限りの行動に変えることだ。毎月請求書の支払いをするには心掛けが必要だが、掃除サービスは一度だけ頼めばいい。」p297

    「将来の欠乏を正しく認識していないと言うまさにその事実を、役立つように生かせない理由はない。(中略)(セーブモアトゥモロープログラムの例)ここでとくに巧妙なのは、起こると思うことと起こってほしいことをつなげているところだ。」p300

    「処理能力で大切なのは、限られた情報処理力の割り振りだ。その意味で、より多くの処理を必要とする決断は、処理能力に直接的な影響をおよぼす。時間の足りない経営者が口を揃えて高く評価するアシスタントは、決定すべきことをまとめるのに長けていて、選択肢の基本要素を抽出し、それを明確に示すことができる人だ。」p302

    「ただトレードオフをするだけで負荷がかかることもある。」p304

    「人の処理能力は、一日のなかで変動する。高い処理能力を必要とする仕事は処理能力が高い時間帯に入るよう、私たちは賢く仕事の割り振りをしているだろうか?」p308

    「締め切り直前のピンチは、その前の数週間、無駄に使われたたくさんの時間に端を発していることが多い。」p312

    「緩衝となる蓄えは裕福なときに築く必要がある。もし欠乏が予想されるのなら、緩衝となる蓄えとは、「これという理由もなく」スケジュールに余分な空きを残して、さまざまなプロジェクトや仕事を代償なしに移せるようにすることを意味する」p315

  • 第48回アワヒニビブリオバトル「散る」で発表された本です。
    チャンプ本
    2019.02.05

  • 2022.10.25 読了

  • 今の私の生活にはあまり必要ないと感じた。

    しかし、所々目線を変えたアイデアで、企業や国や人々が取り入れれそうなものがあり感心した。

    私が理解力に乏しく、この本がどうしても持つべき者たちの勝利に感じてしまい、身も蓋もないなぁと

    お金か時間があれば大抵のこと解決できる的な。
    全然違った解釈ならすみません。

    いずれにしても、たとえ持たざるものであっても、いくら処理能力に負荷がかかってても、
    如何に決断、選択するかであり、
    それはセンスの一言に尽きる
    そのセンスはやはり教育や成育環境によるものが大きいという持論があり、
    今後の人生も自分が納得いく選択をし続けたいなぁと思いました。

  • 題名の通り、いつも何かに追われている私の生活を振り返るにはもってこいの本でした。何より、読了後は自分の公私共に行動を客観的に見ている自分がいます。

  • 欠乏。富めばとむほど余裕がなくなる。

  • 読む時間がなくて他の記事での要約を見た上での所感。

    「いつも時間がないあなたに」
    https://honz.jp/articles/-/43694

    どうしたら集中して作業ができるか?
    ・・・期限ギリギリまで作業をしないこと。そうするとものすごく集中できるので通常より早く作業できる。
    しかし、その間トンネリングという、集中する代わりに周りの大事なことに目を向けることができなくなる。
    このデメリットは、メリットを上回る。

    だから、必ず余白、スラック、余裕を持ったスケジュールにすること。

    こんな話をどこかで耳にしたことがある。
    手術室が3つあって、その稼働率をいつも100%にしていたところ、緊急手術のスケジュールが入ってしまい、
    リスケ、調整などで時間が取られて、稼働率が下がってしまうこと。
    逆に、3つの手術室のうち常に1つを空けておくことで、緊急対応にも柔軟に対応でき、稼働率を高められたという例があった。
    これはとても示唆的で、スケジュールをミチミチにつめてしまうと、想定外の事態に対応できなくなるから、
    想定外の事態のための余裕を持たせておこう。

  • 忙しさが忙しさを呼ぶ。貧困が貧困を呼ぶ。
    人は資源の欠乏に直面するとその資源で眼の前の問題を切り抜けようと、精一杯やりくりするために処理能力を集中する(集中ボーナス)。
    しかしそれ以外のことはほったらかす(トンネリング)。
    何とか眼の前の問題を切り抜けたと思ったら、次にほったらかされた別の問題が火を吹く。
    なぜ欠乏に直面するか?豊かな時に資源を浪費するから。また、浪費していなくとも、想定外のショック(外的要因による資源の消費)に乗り切れるだけの余裕が無い場合。

    欠乏に備えるには。特に豊かな時にショックを乗り切れるだけの蓄えを持つこと。金銭面では貯蓄や保険。時間面では?リマインダー、余裕時間や予備日。

    印象的だった例:
    アメリカのとある病院ではオペ室がいつも満杯で調整に多大な労力を掛けていた。この問題を解決したのは『常にオペ室を1つ空けておくこと』だった。この事例がシンプルでとても分かりやすかった。

    本書で特に重要なテーマとなっているのは貧困について。だからタイトルを見て手に取ると少し内容が違う印象を受けるかもしれない。しかし忙しさについても触れられており、スケジュールの立て方や日々の生活をするうえで参考になる考え方があり興味深かった。

  • 最後の結論に内容が集約されている。何事も余裕もって行う事が重要と認識した。ただ余裕がありすぎると行けないので、適度なスラックを常に確保する必要がある。これは言うの簡単だけど、実際実行するのは難しい。日常で欠乏を感じたら、一度立ち止まりスラックを確保するにはどうすれば良いか考えたいと思う。

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