- Amazon.co.jp ・本 (303ページ)
- / ISBN・EAN: 9784150711030
感想・レビュー・書評
-
アメリカのユダヤ人社会を舞台に、キリスト教でいえば牧師にあたるラビの活躍を描くシリーズの第2作。今回は、事件が事故死か自殺かということが宗教上のことから問題になり、調べるうちに実は他殺であることがわかり、という内容である。もちろん、ラビのすっきりとした推理で犯人が見つかる。
ラビの雇い主である教会の理事会と、ラビとの対立というのが大きな軸になっている。前者がある意味で世俗的であり「現実的」であるのに対して、ラビはあくまでもユダヤ教の原則を曲げない。ちょっと考えると頭の固い嫌な人物になってしまいそうなんだけど、主人公のラビのステキな人柄がそのイメージを和らげているし、ラビにまったく私心がなく、多くの人の幸せを奥深いところで考えていることがわかるので、やっぱりラビを応援してしまう。
例によって、ずばりと切れのいい論理的な解決は、エラリイ・クイーンの最良のものにもひけをとらない。それ以上に、ちょっとした脇筋で、ラビが論理的に人を納得させながら、一つ一つのことを解決していくエピソードが魅力的だ。ずいぶん古いシリーズだけれど、他に代え難い傑作シリーズだと思う。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
これも、記憶が残っていて犯人は分かっていたのだが、そこへ辿り着くまでの 展開はなかなか面白い。事件に関係ないように思われる事柄が最後に事件解決の 根拠になっていて感心した。この話だと最後に読者挑戦を加えてもいいくらい。 今回の解決は妻ミリアムの助けも大きい。ピルプル論法(細かい区別を調べる論法)も 発揮されている。題名は土曜日に贖罪日があたり、その日は絶食の日でもあるため。 9月18日が金曜日なことから1964年9月18日から小説は始まっているようだ。 ジョナサンが生まれたのは10月か11月の日曜日。