死者の島 (ミステリアス・プレス文庫 83)
- THE MYSTERIOUS PRESS (1995年1月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (414ページ)
- / ISBN・EAN: 9784151000836
感想・レビュー・書評
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アメリカの作家キャロリン・G・ハートの長篇ミステリ作品『死者の島(原題:Dead Man's Island)』を読みました。
ここのところミステリ小説はアメリカの作家の作品が続いています。
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元新聞記者で今はミステリ作家の老婦人ヘンリー・Oは、情報産業の大立者からの依頼で、彼の所有する島に赴いた。
そこで彼から驚くべき話を聞かされた。
「誰かがわたしを殺そうとしている。容疑者を島に集めたので、犯人をさがしてほしい」彼女はさっそく調査を始めるが、やがて恐ろしい事件が…人気作家の新シリーズ第一弾。
アガサ賞最優秀長篇賞受賞作。
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1993年(平成5年)に刊行されたヘンリー・O・シリーズの第1作です。
元新聞記者で今は作家となったヘンリエッタ・オドワイヤー・コリンズ(ヘンリー・O)はかつての知り合いで情報産業の大立者チェイス・プレスコットから誰か(身内らしい)に命を狙われているという訴えられ、地元では死者の島と呼ばれているプレスコット・アイランド島にやってくる……そこにいたのは怪しげな人物ばかり、、、
やがてチェイスは再度命を狙われ、折しも巨大なハリケーンがやってくる……。
元新聞記者のヘンリエッタ・オドワイヤー・コリンズ(ヘンリー・O)が、旧友チェイス・プレスコットの所有する島で起こった殺人事件の謎を解くミステリ……陸地から隔絶された孤島を舞台としたクローズド・サークル物です、、、
好きなんですよねー クローズドサークル物……しかも、舞台が孤島ですからねー 読み手側もアガサ・クリスティの『そして誰もいなくなった』を意識せざるを得ないですよね。
一度は未遂に終わったものの、結局チェイスは殺害され、第2の被害者も……島から脱出するためのクルーズ船は爆破され、隔絶された島に忍び寄る巨大ハリケーンによる風雨や波の恐怖、登場人物全員に及ぶ絶体絶命の危機、、、
人々が徐々に追い詰められていく様子はとても緊迫感がありましたね……企業の存続にも関わる意外な真相も愉しめました。
入手困難なシリーズですが、機会があれば他のヘンリー・O・シリーズも読んでみたいですね。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
長かったf^_^;
最初は主人公はおばさんということで、ミスマープルやジェシカおばさんみたいな感じを勝手に想像してましたが全然違う!バリキャリのおばさんで、元記者だけあってはっきりしてるし、わりとキツめ。
犯人がわからないわからないって引っ張りすぎな感じも…。
犯人はもしやこの人⁇と思ったらビンゴ☆
そしてヘンリーOの秘密もわりと早くわかってしまった。
続編も読みます。 -
輝かしいキャリアと鋼鉄の意志、確固たる行動力、そしてもちろん剃刀のごとき鋭い頭脳を持った主人公。「新しい」のはそれが女性、それも還暦を過ぎた高齢の女性である点だ。
さらに彼女は心から愛し信頼し合っていた夫(故人)と、独立して幸せに暮らす仲の良い娘も持っている。意地の悪い男性作家が女性主人公たちに押しつけてきた、「仕事以外に何も持たない孤独なオールドミス」などという像とも無縁だ。
著者はそんな主人公ヘンリー・O(中性的なこのニックネームがまた秀逸)が精力的に行動し、思考して真実を探り出す雄姿(こんな言葉には「雄」の字を用いさせるとは、なんという男性中心主義!)を描きつつ、悪魔のごとき夫に虐待されているキューバ生まれの家政婦の悲劇と、彼女を理解し、守り、救おうとするヘンリー・O、片や諾々と殴られている家政婦の「弱さ」を理解できないと切って捨てる、ヘンリー・Oと同じ勝ち組の白人、だが男性の雇い主の姿を描き出す。理想のみにとどまらず、現実をも鋭くえぐり出す筆致はさすが、女性にしか書きえないものだ。
殺人者による37564の恐怖はないが、自然災害(ハリケーン)の危機がガチで迫る点は「シャム双子の秘密」にも似ている。ほとんどパニック小説と化す終盤の展開のおかげで、緊張感が持続している。さらに加えて、殺人者の暗躍も…。
ネタはわりとわかりやすいので、ミステリを読み慣れている人なら気づくかも。ロジカルに考えていけば、「これしかない」というところへ落ち着く。ただ、著者の熟練の筆のおかげで興醒めなことにはなっておらず、十二分に楽しめるだろう。
2017/9/5〜9/9読了 -
プロローグの小さな事件からして印象的。偶然見かけた知り合いの表情や行動から何かがあると察知し、元新聞記者でミステリ作家となったヘンリー・Oは情報収集力を駆使して孤独な老婦人を救います。正義感が強く、経験から培われた勘も鋭い。そんな彼女を見込んでもたらされた「使者の島」への招待は、過去に訳アリだった人物からのものでした。警戒する中で起きてしまった事件。さらに島には大型ハリケーンも近づいていて…。
女探偵はどこか一人で突っ張っていて、たまに感情に流されてしまう自分をもて余しているようなところがありますが、ヘンリー・Oはそんな彼女たちが年を重ねた姿のように見えます。知的でタフなのは変わらないけれど、自分の弱さも悲しい過去も受け入れている。依頼人が関係者に協力を求めていたり、ちょうどいいところにヘンリー・Oが出くわしたりと事件の捜査には都合のよさを感じつつも、ハリケーンが来たときのパニックと犯人を追い詰める様にはハラハラしました。何より一番の衝撃は最終章。ヘンリー・Oでなければ迎えられなかった結末に、彼女の人生の奥深さを感じずにいられません。 -
昔の恋人で、今は巨大なマスコミ帝国を牛耳る男から自分を殺そうとしている人物を探して欲しいと頼まれたヘンリー・O。
犯人と思われる関係者が集まる別荘で、犯人探しが始まるが…。
いわゆる絶海の孤島もの。
ハリケーンが近づく中、ヨットが爆破され犯人と共に島に取り残される人々。
…なんだけど、あまりどきどきしなかったなぁ。悲壮感とか絶望とか、そういうものを行間から読み取れなかったと言うか。
主人公のヘンリー・Oが常に前向きで、頼れる人物として描かれていたせいなのかな。
ミステリ部分は最初のうちになんとなく真相が分かってしまった。
キャラクターの描写を読んでいるうちに、こういう人物なら真実はここに落ちるだろうと言うのが見えた。
なのでラストの種明かしでもそんなにびっくりはしなかった。
全体的にキャラクターがよくかけていて、読みやすい作品だった。 -
それはないんじゃない? という真相。<br>
「こういう真相だったんでしょう、今となっては何も証明できないけど」とかゆっちゃうし。<br>
ミステリーなんだから証明できなきゃダメでしょう… -
老婦人の探偵は有名どころが既に存在。が、定年退職しても、まだまだ元気一杯のシニア素人探偵はどこに?
「ここよっ」とヘンリー・O。