<トリイ・へイデン文庫>タイガーと呼ばれた子--愛に飢えたある少女の物語 (ハヤカワ文庫 HB)
- 早川書房 (2004年6月10日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (511ページ)
- / ISBN・EAN: 9784151102028
作品紹介・あらすじ
7年ぶりに再会したシーラは、オレンジ色の髪をした14歳のパンク少女だった。驚いたことに、かつての楽しかった日々も二人の間の信頼関係もまったく憶えていないという。彼女が少しでも打ち解けてくれるよう、トリイは自分がセラピストを務めるクリニックで夏休みの間、手伝いをしてくれないかと誘う。やがてシーラの口から、幼い頃から受けていた性的虐待の事実が明るみに…。真の癒しを見出すまでのシーラとトリイの葛藤を描く。
感想・レビュー・書評
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この本は続編で、シーラのその後がどうしても気になって読む事に。思春期になったシーラの事が書かれており、幼い頃の虐待、母親に捨てられた思いと戦っている思春期のシーラ。そのシーラを支えるトリイ。2人の不器用さがなんとも言えない作品。
うーん。子供の頃の記憶って、誰でも幾つかはやっぱ残っているもんで。それが一生消えないって辛いよね。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
母に捨てられ、薬中・アル中の父親に育てられたシーラ。周りは敵だけだと認識していた7歳の少女にこの世には愛があるということを教えたトリィ。僅か5ヶ月間だった物語の7年後からのその後の話。
14歳になっていたシーラは本質的には7歳の頃と同じだった。母に捨てられたトラウマを抱え、性的虐待を受けた傷を深く残したままだった。トリィはシーラと正面から向き合う事で、その傷を一つずつ癒し、その傷の重みを軽くした。
上昇志向の物語だった前作に比べ、本作は中盤までシーラの暗澹たる行動が書き連なれていたので若干読むのを後悔していた。しかし、最後にはシーラが過去の過酷な想いから解放された様子が伝わり、良かった。
ただの先生であるトリィが時には自分のプライベートを犠牲にまでしてシーラを支えたのは凄いと思った。1200kmの距離を迎えに行けるだろうか?自分無理っす。
幼少期の子供は溢れんばかりの愛で育てましょう。 -
これは著者自らの体験したことを書いたノンフィクションなのだけれど。
だけれど、ノンフィクションだからと言って真実ではなく、書き記された時点で一つの物語なのだな、と思った。
とても強い少女と、優しく見守る先生が出てくる。
が、少女は先生に「あなたは本に書かれてるみたいに優しい人じゃない。いつもイライラしている」という。
どきりとした。
自分のことは(意図的ではなくとも)その時強く感じたことを書き記すし、信じたくないことは書かないだろう。ましてや相手のことなどわかる筈もない。
物語として強いなぁと思った。
面白いといっていいのかわからないけど、面白かった。
前作ともども一読して損は無し、と思う。 -
実録は永遠に後日談が存在しない。幸せだとよいすなぁ。
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「シーラという子」の後日談。
成長したシーラがトリイと再び出会って話すことは、「シーラという子」のアナザーストーリー。この2冊は合わせて読んだ方が良いと思います。 -
「シーラという子」の続編。前作を読んだ時、そんな短期間で人が変わるか!と思ったが、やっぱり現実は難しい。でも、時間とともに、大人になるとともに、情緒障害を抱えた子も折り合いをつけていくものなのね、と感じた。シーラが、大学に行かなくてほっとした。それだと、ちょっとできすぎだから。
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学校の先生もセラピストも限られた時間の中でしか愛せない。無条件の愛情を示せるのは母親しかいないし、それがどれ程子供にとって重要か改めて思い知らされた。
長い年月はかかったけど、最期にシーラが母親に宛てた手紙にいたって本当によかったと思う。
アクスラインのデブスの話のときも思ったけど、こうやって救われる子供って一体何割くらいなのかな?
シーラという子を早く読みたい。 -
シーラのその後が気になって読んだ。最後には、頑張っている様子が分かったけど辛く苦しい環境の中生きなければいけなかったのかと思うと悲しくなった。
ただこれは、物語でないにしても長すぎるf^_^;) -
シーラと呼ばれた子の続編。
久しぶりに会ったシーラは、過ごしてきた五ヶ月間の事を覚えてないという。
新しく知った学校での出来事、終わったあとに残ったシーラの日常。悲しくもあるけれど、またゆっくりと成長している姿がサクサク読めた。