ポアロのクリスマス (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

  • 早川書房
3.67
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  • Amazon.co.jp ・本 (473ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784151300172

作品紹介・あらすじ

聖夜に惨劇は起きた!一族が再会した富豪の屋敷で、偏屈な老当主リーの血みどろの死体が発見される。部屋のドアは中から施錠され、窓も閉ざされているのに、犯人はどうやって侵入したのか?休暇返上で捜査にあたるポアロは被害者の性格に事件の鍵が隠されていると考えるが…クリスマス的趣向に満ちた注目作。

感想・レビュー・書評

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  • 毎年 この時期に読みたくなる作品です。12月22日からはじまって28日に 完。 歳の瀬の慌ただしい時期ですが なんとか読み繋いで今年も読了しました。わかっていても 新しい発見があって おもしろい。だからやめられないクリスティー作品の1つです。

  • クリスマスシーズンということで、数年ぶりの再読。
    クリスマスに一家が集合して、遺産問題で揉めて、そしてある夜事件が……!クラシカルな展開だけど、登場人物もわかりやすく、最後まで飽きさせず面白い。ドラマではどう表現しているんだろう?という設定があり、視聴への期待が高まる。もうちょっとクリスマスっぽい食べ物とかか出てきたらもっとよかったなぁ。

    (余談)
    ・途中でヘンリーという名前が出てきて、表紙裏の登場人物一覧を見てもわからず、「誰!?」と混乱したらハリーのことだった。
    ・ある文学作品に設定が似てるなぁ…と思うがそれを言ってしまうとそちらのネタバレになってしまうのでなかなか言えずちょっと歯がゆい。

  • 記録。

  • 「こんなクリスマスはもうこりごりですよ、まったくのところ」
    ほんと、そう。せっかくの年に一度の楽しいクリスマスに、血みどろなとんでもない殺人事件が起こるなんて。しかも容疑者が家族全員だなんて、酷すぎる。
    そんなせっかくのクリスマスに、休暇返上で密室殺人事件の謎解きに挑むポアロ。相変わらず飄々としながらも冷静に、そして確実に真犯人を追い詰める。

    誰が真犯人なのか、色々想定しながら読み進めていたけれど、見事に大ハズレ。またもやポアロに一本取られた感じ。まさかあの人が…。
    そんなこんなで最後は全てが丸く収まり、みんなの日常もなんとか良い方向へ収まって一安心。
    一足早いけれどメリー・クリスマスなミステリを堪能できた。

    • アールグレイさん
      こんばんは♪mofuさん
      お久しぶりですね!
      (^-^)/~~
      クリスマスのお話、丁度いい時期に読めました。私はカタカナの名前が苦手で海外の...
      こんばんは♪mofuさん
      お久しぶりですね!
      (^-^)/~~
      クリスマスのお話、丁度いい時期に読めました。私はカタカナの名前が苦手で海外の話はあまり読みません。
      情けない~(・∀・)
      今、777を読んでいます。殺し屋の話、面白いです!
      (((^-^)))
      2023/12/23
    • mofuさん
      アールグレイさん、こんばんは。
      お久しぶりです。
      せっかくなのでクリスマスにちなんだ本を、と思い選びました。私もカタカタの名前は覚えにくくて...
      アールグレイさん、こんばんは。
      お久しぶりです。
      せっかくなのでクリスマスにちなんだ本を、と思い選びました。私もカタカタの名前は覚えにくくて読み始めは混乱してました(^_^;)
      伊坂幸太郎さんの殺し屋の本も面白いですよね。私もまた読んでみたいです。
      では少し早いですが、メリー・クリスマス!
      2023/12/23
  • 犯人が名指された瞬間張られた伏線が一気に思い起こされて、本当に心理の隙をついたような真相
    クリスマスの時期なのでより楽しめた

  • ポアロシリーズ17巻目。1939年の作品。
    少し順番が飛びますが季節的にこちらにしてみました。
    (このシリーズは再読も多いので、なるべく新訳で読もうと思っているのですが、2023年11月に川副智子による新訳版が出ていることにあとから気がつきました。)

    章のタイトルが「第一部 十二月二十二日」、「第二部 十二月二十三日」となっている時点でもうワクワク。

    クリスマスに一族が集まることでそれまでは隠されていた感情が表面化し、引き起こされる人間模様というクリスティーお得意のストーリー展開。

    今回は若くて美しい娘さんより、美人ではないけれど上品で賢くて根性のある奥様方が素敵でした。

    そして紳士たちは食堂でポートワイン、婦人たちは客間に移ってコーヒー、というのがいいよね。このわざわざ部屋を移動するという感じ。

    残念ながらクリスマスは殺人が起こるのでクリスマスディナーは出てきません。

    「あたしが本で読んだイギリスのクリスマスはとても陽気で楽しげなんですもの。焼いた干しブドウを食べたり、すばらしいプラム・プティングをつくったり、それからユール・ロックなんてものもあって……」

    今回も犯人はまったくわかりませんでしたが(そもそもわかるように書かれていない)、登場人物たちがそれぞれの葛藤を胸に秘めながら交わす会話というのがもうおもしろくて一気読みしてしまいました。

    『クリスマス・プティングの冒険』も読みたいなあ。


    以下、引用。

    あの年寄りが、あんなにたくさんの血をもっていたと、誰が考えただろう?
    ──マクベス

    52
    「もしわたしたちが過去を生かしておこうとすると、その結果はどうしてもそれをゆがめることになると思いますわ。なぜって、わたしたちは誇張した言葉で──まちがった遠近法でそれを見るからですわ」

    「あなたは、大人の節度ある眼でそれを回想するかわりに、子供の判断でそれを見ようとなさるからですわ」

    90
    「ピラール──おぼえているんだよ──献身ほど退屈なものはないってことを」

    136
    ミドルシャー州の警察本部長のジョンスン大佐は、薪の火を打ち負かすものはないとの意見らしかったが、エルキュール・ポアロはセントラルヒーティングこそそれを打ち負かすものだと、信じていた。

    200
    エルキュール・ポアロの眼は(彼女の見るところによると)ずっと鑑賞的であったが、それは彼女の美しさに対してだけでなく、その美しさを彼女が効果的に利用していることに対する鑑賞でもあった。

    233
    「いいえ、くれなかったわ。でも、たぶんいつかはくれるだろう、と思いましたわ──もしあたしが親切にして、たびたびそばにいてあげれば。なぜって、年とった紳士は若い娘が大好きですもの」

    343
    「失礼しました、奥さん。身だしなみ(ラ・トワレフト)を心得ているイギリス婦人は、じつに少ないですよ。」

    345
    ポアロはため息をついた。
    「あなたはそんな月並みの返事を、わたしになさらなければならないのですか?」
    リディアは言った。
    「わたくし、月並みな女でございますもの」

    393
    「世の中は女にはとても無情なものよ。だから、女は──若いうちに自分のためにできることをやっておかなければならないわ。女が年とって醜くなったら、誰も面倒をみてくれるものなんか、ありませんもの」

    395
    「あたしが本で読んだイギリスのクリスマスはとても陽気で楽しげなんですもの。焼いた干しブドウを食べたり、すばらしいプラム・プティングをつくったり、それからユール・ロックなんてものもあって……」



  • せっかくのクリスマスだというのに
    ポアロのマンションはヒーターが故障中。
    大金持ちの老人から呼び出しを受けたのを幸いに
    その屋敷でクリスマス・シーズンを過ごすことにする。

    老人は南アフリカのダイヤモンド鉱脈で財をなしたものの
    その遺産をめぐって命を狙われているというのだが…。
    長年顔も合わせていなかった息子たちが揃い
    外国に嫁いだ娘の忘れ形見まであらわれたその夜
    ついに老人を悲劇がおそう。

    うひゃー。
    最後までいってから読み直すと
    ここにも!あそこにも!
    たくさん伏線が張ってあるじゃないのさ…。
    心理的なトリックと物理的なトリックが相まって
    いい感じにだまされたかな〜。

  • 気づきそうなのに気づけなかったまさかの結末…!伏線は沢山あったのに気付けなかったのが悔しい。アガサクリスティーらしさが感じられて好きになった一冊。
    最初は怪しいと思っていた婦人達が皆かなりまともで各々自分なりに夫を支えて、苦労しながら生きてきたんだなと思うと立派だなと感じた。
    最後に家族の中で和解ではないけど、お互いを受け入れ合うシーンがクリスマスらしくて良いなと思った。

  •  クリスティの長編ミステリ。ポアロシリーズ。クリスティが傑作を発表し続けていたあぶらののっていた時代の作品らしく、フーダニットの傑作だ。
     昔からポアロシリーズは沢山読んだが、改めてクリスティの作品を読み進めていくと様々な発見がある。
     いずれも人物描写について、クリスティ程作中の人物達が生き生きとしているミステリは少ない。美少女や美青年の表現描写は勿論、嫌な人物までありありと目に浮かぶ。今作はリーという一族の中で発生する事件であるが、正しく人物描写力が光り、作品の面白さを何段階も上げている。
     イギリスのクリスマスはおそらく日本人がとらえるよりも重要なイベントであり、今作以外にもクリスマスに事件に巻き込まれるポアロには同情するが、クリスマスに向けて強欲な大金持ちの老人が、自身の息子夫婦や孫達を集め、トラブルを仕掛けて行く。息子達もクセがあり、それぞれの関係性もあまりない中で、老人の遺言や資産の分配を巡り騒動が起こる。そんな中、老人の部屋から物が崩れて壊れるような争いの音があり、続いてこの世のものとは思えないような魂の叫びが聞こえる。ドアをこじ開け室内を確認すれば、おびただしい程の血が溢れ富豪はナイフで殺害されている。
     久しぶりに正当なフーダニットを読んだつもりだが、やはりクリスティ、犯人を読者に掴ませないやり方は一流だ。あいつが犯人か、こいつが怪しいか、などというのはミステリを読みながら当然感じる思考であるが、今回は「そのパターン」を僕が忘れていたため、とても新鮮に楽しむ事が出来た。
     作中で紹介されているクリスマスのおもちゃについて、昔は全くわからなかったが、大人になり十分理解できた。今の時代に置き換えは難しいが、こういった不思議な装置として現代では様々な機械などが事件の擬装として使用されているのだろう。

  • こういう趣向は結構好き。
    一つか二つの違和なら気づけるけど、まだあるんですか!というくらい『実は…』が多い作品だった。
    ヒントの描写をいくつ見逃したことか。
    でも驚かされるのはやっぱり楽しい。
    “殺人が貧血性的になってきた”という読者の不満を取り入れ、血みどろの死体を登場させたクリスティにはとても好感が持てる。

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