- Amazon.co.jp ・本 (316ページ)
- / ISBN・EAN: 9784151792021
作品紹介・あらすじ
現場に着いたクリスが電話をすると、依頼人は死体に謝罪し、それを録音して送れと告げた。死体を始末するよう指示もしていた。拒否はできなかった。家族に危害を加えられるからだ。こうして彼らは殺人事件に巻き込まれ、さらに不可解な事件が起きる。そして、彼らを悲劇が襲う!ひたすら車を走らせる「わたし」とは誰か?女性を殺した「おまえ」の正体は?謎めいた行動をする「彼」とは?技巧を凝らした驚愕のミステリ。ドイツ推理作家協会賞受賞作。
感想・レビュー・書評
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複雑な構成になっているが、読み易い。なかなか面白かった。
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クロアチア出身でドイツで活動している作家「ゾラン・ドヴェンカー」の長篇ミステリ作品『謝罪代行社(原題:Sorry)』を読みました。
「フェルディナント・フォン・シーラッハ」、「ハラルト・ギルバース」、「ペトラ・ブッシュ」、「ネレ・ノイハウス」に続きドイツ作家の作品です。
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ハヤカワ・ミステリ・リニューアル1周年&ハヤカワ・ミステリ文庫創刊35周年記念作品。
ドイツ推理作家協会賞受賞作。
〈上〉
新聞社をリストラされた若者「クリス」は、彼の弟「ヴォルフ」、友人の二人の女性「タマラ」、「フラウケ」とともに、依頼人に代わって謝罪する仕事を始めた。
これが大当たりして四人は半年後にベルリン南西部の湖畔にある邸宅を買い、そこを住居兼仕事場にするまでになる。
ところがある日、依頼を受けて、指定された場所を「ヴォルフ」が訪れると、そこには壁に磔にされた女性の死体が!
巧妙な仕掛けに満ちた驚愕のミステリ。
〈下〉
現場に着いた「クリス」が電話をすると、依頼人は死体に謝罪し、それを録音して送れと告げた。
死体を始末するよう指示もしていた。
拒否はできなかった。
家族に危害を加えられるからだ。
こうして彼らは殺人事件に巻き込まれ、さらに不可解な事件が起きる。
そして、彼らを悲劇が襲う!
ひたすら車を走らせる「わたし」とは誰か?
女性を殺した「おまえ」の正体は?
謎めいた行動をする「彼」とは?
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「ゾラン・ドヴェンカー」って、本作がミステリ作品としてはデビュー作になるようですが、ドイツ児童文学の分野では中堅作家として成功を収めている作家のようです、、、
謝罪を代行するという奇妙な職業で成功した4人の若者が事件に巻き込まれるという物語… 児童文学作家の作品ということやタイトルから、軽い犯罪小説を想起させますが、冒頭から、女性を磔にして額に長い釘を打ち込んで殺害するという、なかなか激しいシーンで始まるし、児童虐待も絡むハードな内容で、ちょっとイメージが違いましたね。
そして、謝罪代行社のメンバー4人… 中心人物の「クリス」と弟の「ヴォルフ」、そして「タマラ」、「フラウケ」に加え、「おまえ」と呼ばれる殺人者、事件後に何者かをクルマに監禁して輸送している「私」、中盤から加わる謎の「現場にいなかった男」と人称も違う7人の視点で語られるうえに、事件の最中(あいだで起きたこと)、事件後(以後に起きたこと)、過去(以前に起きたこと)と時間も前後するので、全体像が掴みにくく混乱しちゃいがちで、序盤は少し苛立ちを感じながら読みましたが、、、
生き残った「クリス」と「タマラ」は、どんどん追い詰められていくが、自らの命を守るために、仲間の死の真相を知るために行動し、「おまえ」、「私」、「現場にいなかった男」の正体や、それぞれの動機が徐々に判明していく終盤は、どんどん先を読みたくなる展開が愉しめました… もう少し若者たちの言動に共感できたら、序盤から愉しめたんだけどな。
それだけが残念でしたね、、、
でも、青春小説を読んだ後のような、甘酸っぱいような読後感があったのも事実… 評価が難しい、独特の印象が残る作品でした。
あっ、そうそう… 本書の終盤に「ロイド・コール&ザ・コモーションズ」のポスターが出てくるシーンがありました、、、
大好きですが、マイナーなミュージシャンなので驚きました… 作者が同世代なので、音楽観が近いのかも、ちょっと嬉しくなったワンシーンでした。
以下は、主な登場人物です。
「クリス・マルラー」
謝罪代行社<SORRY>の中心人物。元新聞記者
「ヴォルフ・マルラー」
謝罪代行社<SORRY>メンバー。クリスの弟
「タマラ・ベルガー」
謝罪代行社<SORRY>メンバー。クリスとヴォルフの友人
「フラウケ・レヴィン」
謝罪代行社<SORRY>メンバー。タマラの親友
「ルトゥガー・マルラー」
クリスとヴォルフの父親
「アストリット・ベルガー」
タマラの姉
「ゲルト・レヴィン」
フラウケの父親
「タニヤ・レヴィン」
フラウケの母親
「ベルント・ヨスト-テーゲン」
クリスの元上司
「マルコ・M」
クリスの旧友
「エリン」
ヴォルフの元恋人
「ヨアヒム・ベルツェン」
湖畔の家の住人
「へレーナ・ベルツェン」
ヨアヒムの妻
「ザムエル」
ベルツェン家の留守番
「フランク・レッフラー」
スーパーマーケットの店員
「ラルス・マイバッハ」
謝罪代行社<SORRY>の依頼人
「ヨナス・クロナウアー」
ラルスと同じマンションの住人
「カール」
ブッチを連れ去った人物
「ファンニ」
ブッチを連れ去った人物
「ブッチ」
少年
「サンダンス」
少年。ブッチの親友
「ゲラルト」
刑事 -
こんなラスト?
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何もかもが理不尽。悲惨で救いようがない。それでいて「社会の深い闇」や「激しい人間ドラマ」に踏み込んでいるようには思えなかったな(解説より)。これはきっと私の読解力が足りないのでしょう、池上冬樹さんごめんなさい。視点のずらしやレトリックの罠でケムに巻いていくスタイルは、ままよくあるものだし取り立てて本作が優れているとも言えない。
と、に、か、く‼︎
ドイツ、フランス、北欧のミステリーはなんでこうも後味が悪いんだ!幸福度高いとか言ってるけど大丈夫?どんないやミスでも構わんがせめて誰か1人くらいは大地にしっかり足を踏ん張っていられる人間を用意しといてくれや(その点ヴァランダーはフラフラしながらも最後には立ち上がってくれるからほっとする)。 -
2013/05/10読了
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謝罪代行社というユニークな題名にひかれて購入。 もう少し謝罪代行という職業について掘り下げて欲しかった印象。
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うーん。
面白かったのかな、多分。
早く続きが読みたい!と思いながら最後までサクサク進んだから。
結局最後が気に入らなかったのかな。
上巻のレビューで書いたことは間違いじゃなかった。
この小説のタイトルが、これであった理由が、作中で明確になれば、絶対に面白い、と。
では、どう書いてあれば納得できるかを考えながら読んだ。
結果、『謝罪とは、こういうものだ』と重く、蘊蓄踏まえて書いてあればいいな、と。
流れとしては、結局ビンゴだった訳だけど、その内容は、想像してたよりも軽かった。むしろペラい。
読者の想像の範囲でオチをつけることは、非常に大切で、でも、その範囲内で大きく裏切って欲しかった。
だから結局『普通じゃん』で終わった。
たまたま別の事件が重なってるけど、その『たまたま』も、もっと意味のあるたまたまであって欲しかった。なんかチランパランした感じが拭い去れなかった。 -
愛と許しと罰を与える。それは神の役割なのか人間の役割なのか。
寄り添うようにひっそりと生きる彼らにとっては、神はあまりにも遠かった。だから人間の力で愛を与え、許しを与え、罰を与える必要があったのだろう。
だが人間は神と違って、調和のとれた予定としてそれらを与えることができない。彼らの思いは複雑に絡み合って、予定されていなかった破綻を迎える。
という重厚なお話でありながら、一方でスリリングなサイコサスペンスでもある。
素晴らしい。 -
「BOOK」データベースより
現場に着いたクリスが電話をすると、依頼人は死体に謝罪し、それを録音して送れと告げた。死体を始末するよう指示もしていた。拒否はできなかった。家族に危害を加えられるからだ。こうして彼らは殺人事件に巻き込まれ、さらに不可解な事件が起きる。そして、彼らを悲劇が襲う!ひたすら車を走らせる「わたし」とは誰か?女性を殺した「おまえ」の正体は?謎めいた行動をする「彼」とは?技巧を凝らした驚愕のミステリ。