炎の色 (下) (ハヤカワ・ミステリ文庫 ル 5-4)

  • 早川書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (313ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784151814549

感想・レビュー・書評

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  • やられたらやりかえす。

    半沢直樹ばりの倍返し
    ですね。

    権勢を誇るもつかの間、

    チンピラどものあっけ
    ない三日天下。

    名家の長女を舐めたら
    いかんぜよ。

    と、マドレーヌ演じる
    は夏目雅子さん。

    鬼龍院花子ばりの任侠
    ドラマ・・・

    では全くありませんが
    私の脳内変換はそんな
    感じです(笑

    時代や国やら違えども、

    男性はけっきょく金と
    女と権勢欲なんですね。

    そしてあざとい女性に
    してやられるのでした。

  • 実業家の父が亡くなり、その葬儀で息子が転落し寝たきりに。そこからマドレーヌの生活が大きく変わっていく。莫大な財産を狙う人たち。人の嫌な部分、よく深いところが大っぴらに見え始めてさらに面白くなる。信じられる人がほとんどいなくなったマドレーヌの復讐が始まる。緻密な計画のなかに感じるマドレーヌの強い怒りと憎しみ。そして込み上げてくる感情。そういう細部がとてもよくて描かれていないところまで広がっていく。復讐譚であり一人の女性の人生が描かれている。

  • 「天国でまた会おう」三部作の第二部「炎の色」は、復讐劇の王道を行く痛快な物語。

    始まってしばらく、上巻はとにかくひどい奴ばかりで、腹が立って読めなくなるほど。
    主役のマドレーヌも、いまいちはっきりしないキャラで感情移入できないし……。
    ところが、後半に復讐劇が始まると、がぜん面白くなって、まんまと楽しんでしまった。

    前作「天国で…」はミステリーではなく文学作品?とされており、戦争で負って変わってしまった帰還兵の体と心の闇を、「顔のけが」「仮面」など暗示的でもあり、エドゥアールの最後も何かしらのメッセージが託されているような気にさせるものであった。
    本作の「炎の色」では、一部の登場人物が引き継がれているものの、大筋は「復讐劇」であり、しかも、ラブロマンスありサスペンスありでエンターテインメントに富んだ物語として、一気に楽しんだ。

    どうやらこのシリーズは「前半の我慢」が「後半の快楽」につながると信じて読むことが、求められているかも……。

    本作も前作同様、エピローグにて登場人物のその後が記されて、いったん物語自体は終わりとされている。

    では第三部「われらが痛みの鏡」は?
    じゃあ読もう。

  • 父が残した資産、邸宅を失ったマドレーヌが、彼女を裏切った人たちに復讐することを決意する。隣国ドイツでは、ヒトラーが首相となりファシズムが台頭する時代ならではの展開に、手に汗握る。当時のフランス史を知っていれば、より楽しめる作品。
    ポール・ペリクールとオペラ歌手ソランジュ・ガリナートとの交流が印象に残る。
    本書で初めて知った日本語がある。「身罷る(みまかる)」という言葉。久しぶりに国語辞典を手にした。
    三部作の第二部が本書、第三部『われらが痛みの鏡』を早速読み始めよう。

  • 前作ではわき役だった主人公が、本作ではまさに生き生きと魅力的な人に描かれていて、リベンジ劇もこれでもかというところまでやるので爽快。悪いやつは最後はひどい目に合うし、殺したりしないし、読後感がとてもよい話だった。前作ではけっこうグロテスクなシーンが繰り返されたが、こちらはそういうのもなくどちらかというとエロチック?次もあるらしいから、もしかすると読んでしまうかもしれないな。

  • さすがルメトール、ストーリーテリングは秀逸。ヒトラーが台頭する混乱のフランスを舞台にした没落貴族女性の復讐劇。ルメトールは、前半はこれでもかこれでもかという悲劇(わが子が車椅子になってしまったり、周囲に騙され資産を失ったり)を描き、後半はこれら騙された相手を秀逸に復讐する物語を描く。これだけの登場人物を魅了あるキャラクターに仕立て上げ、それぞれを絡ませながら、なおかつ面白く描くルメトールに脱帽の一冊。

    ただ今までの作品に比べて鈍った印象。登場人物たちが多くてそれぞれの人物の描きわけが短かったり、はじめから全て関係した一つのストーリーだったからだと思う。今までの作品は、章によって登場人物が書き分けられ、まったく関係のない話が進行していく。読者はその二つのストーリーを楽しみつつ、どう絡み合っていくのかと期待する。今作はそのような点があまり見受けられなかったのでそのように感じた。決してつまらなくはなく、新規性に欠いた故の星一つマイナス。

  • 前作の続きと思っていたので、期待しすぎてしまった。
    これは、フランスの歴史を知っていたら、とても楽しめるのでは?
    過去の重大な事件も書かれているし、そういうのを知っていたらワクワクして読めたんだろうなぁ。そこがもどかしかった。

    でも次の作品も、楽しみにしています。

  • 「天国でまた会おう」がまさかの3部作の1作目だったと知ったときの驚きたるや、筆舌に尽くしがたい。あれはあれで、とてつもなく完璧に完成された一作だとおもっていたから。ただ続篇が出たとなれば、近いうちに買ってしまうだろう気はしていた。「天国~」が一時も目を離せない作品だったのに対し、本作はどちらかといえばじっくり読むのが合っている。単に恨みを晴らしたいだけではないマドレーヌの、失敗できない復讐劇。腹を決めた人間の逞しさは、倫理を度外視させる威力をもつ。そして、注目の第3作ときたら……あの人物が主人公だという!
    (“道徳”と書こうとして、いやいやもっとクソみたいなやつがいたではないか、とおもいなおし“倫理”とした。道徳も倫理もさほど違いはない気がするし、その使い方は間違ってますよと言われるかもしれないが、それでもマドレーヌに道徳を説けるか? とおもう。
    しょうじき前作のおもしろさでハードルが上がってしまったのか。作品に求めるものを間違えてしまったかもしれない。ただ、第3作目の主人公が誰だかを知り、ぜったいに読む! とは決めた。)

  • 『天国でまた会おう』の続編。前作に登場する若い復員兵、その姉が本作品の主人公となる。ストーリーは完全に独立しているので前作が未読でも全く問題なし。ミステリよりも文芸作品になるので、謎解き度はほぼ皆無。

    上巻では、ヒロインが息子の介護に追われてるうちに財産を盗まれてしまう苦難を描き、下巻ではヒロインが立ち上がり復讐劇を繰り広げる。新たな戦火の脅威が刻々と迫る不安な時代を舞台にして、人間の欲、愛と憎しみが絡み合って展開する壮大な群像劇なのだが、どうにもこうにも軽すぎる。ヒロインには共感できないし、敵キャラもなにげにポンコツ。でもって肝心の復讐劇にスリルや緊迫感が全くない。この背景と舞台設定ならいくらでも面白くできただろうに、どうしてこんなにストレートで平坦なお話になったのだろう。

  • 1933年(承前)

    邸宅も資産も無くしたマドレーヌの復讐。おっとりとしたお嬢様だった彼女にこれだけの緻密な計画力と行動力があったとはと驚く。逆境に負けない心や目的を達成しようとする気持ちが人を強くする見本かもしれない。

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