五番目のサリー

  • 早川書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (429ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152034762

感想・レビュー・書評

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  • 五重人格に悩む女性サリー。
    普段は地味で平凡だが、記憶喪失にたびたびおちいる。

    彼女の知らない間に、性格の異なった4人の女性が、
    勝手に彼女の人生に入り込んでくる。
    その事は、まったくサリーの記憶には残らない。

    楽天家のデリー、教養溢れる画家のノラ、
    歌やダンスが得意なベラ、誰の手にもおえない乱暴者のジンクス。

    結果、精神科医の手で彼女たちは1人ずつ統合されていく。

    まったく知らない間に、自分の体で勝手な事をされるってどういう感じだろう。

    でも、人格が変わるって訳ではないけど、
    人は、自分の中にいろんな感情があるし、
    この4人はその意識があまりにも強く浮き出してしまったのだろうか。

    自分が正常だと思っていても、やっぱりちょっと悪い面もあったりするし、
    こう出来たらいいな~って想像する事だってあるし。
    自分じゃ知らない一面を、他者が感じとってくれたりするし。

    人という存在は、解明出来ない事が沢山あるんだろうな。

  • ダニエル・キイスといえば「アルジャーノンに花束を」が有名だしとてもよい作品だと思っていたので、これもいつか読もうと思っていたもの。この本はD・キイスが書いた初めての多重人格者についての小説だと思う。以前「24人のビリー・ミリガン」を読んでいたので、この小説はその人格がなぜ出てきたのか、という点や、一人ずつ統合と言うのか、融合されていくところが案外と簡単であっさりしていて、あまり多重人格者の苦しみのようなものまでは描ききれていない気もする。むしろ、多重人格というのがどういうものであるのかといったところでは入りやすい作品かもしれない。5人の性格ももう少し細かい描写があってもよかったかな。5番目・・つまり最後に統合されてひとつになったサリーの行く末はわからない。この話では行きつ戻りつと行ったところがないので、充足感があまり得られなかった。この作者のものならやはり、実話が元になっている「24人のビリー・ミリガン」と「ビリー・ミリガンと23の棺」のほうをお薦めする。訳も「ビリー・・・」のほうが読みやすい。

  • 多重人格な女性のお話です。
    「読んだことない」と思ってたけど、読んでいくうちに「あれ?これ読んだことある」って思い出した。すっかり内容忘れるね~。

    『アルジャーノン~~』はね~、私としてはそんなに良いとは思えなかったんだよね。
    これも、読後感がよくなる話ではない。
    多重人格っていう病気は、なんか傍から見てると嘘っぽく見えるんだけど、本当にある話で信じられるよ。でもなんか未知の世界過ぎて、共感するものが少ない。。。。

    一人のある人格が出現してる間、本当の自分の記憶がなくなる。
    ってすごい怖いよね~。
    この4つの人格を一つ一つ、憑き物落としのように融合させていくところは見事。
    で、最後の凶暴な人格を融合させるところが、なんと人間の根源に潜む太古からの人格で。。。
    っていうこの理屈・理論が、なんか「?」って感じなのよ。
    んん~~~。読んでて、ああそうやってそういう人格が出来てたのか。
    と理解は出来るけど、それでそうやって融合されちゃうとこがなんか納得いかない。

    これってノンフィクションなのかな~???
    こんなに上手く結論を結ぶことが出来るか~~?
    って、そこんとこ疑問に思ったわ。

    でも、このダニエル・キイスの作品は面白いものがたくさんあるので、いろいろと読んでみたい。

  • 本当にいなくなってしまったの? またいつか会えますように…!


     サリー・ポーターは、実は五重人格だった! と、ひとことで表せばそういう物語です。
     サリーその人は地味で平凡な娘、として書かれています。う~ん、幼少の頃からたびたび記憶喪失になり、仕事も結婚生活も長くは続かず、あちこち転々としてきた人生を平凡と言うか? 波乱万丈という言葉が思い浮かぶのですけどね……★
     ともかく、サリー自身としてのキャラが薄いために、記憶をなくしている間に他の人格が表に出ていたのだそう。それを、精神科医の治療を受けて、人格を一つに統合するまでの過程を綴った小説です★

     不思議なのは、人格と一緒に容姿まで変化してしまうところですね。サリー自身は目も髪も茶色。それが、明るいデリーは青い瞳に金髪、絵描きのノラは豊かで落ち着いた雰囲気の黒髪。ベラは厚化粧に赤毛、ジンクスは黒い服ばかり着る、と、色まで変わるのです。
     ……なんで? 実は私、まだ飲みこめておりませんが……、分かりやすさを産んでいるのは確か。

     一見地味なサリーが、たくさんの引き出しを持っていることの証明のようにも受け取れました。
     サリーの心が壊れそうな時、様々なかたちをとりつつもサポートしてきた、四つの人格。完璧に消し去られたのではなくて、サリーはまたいつか、デリー的な自分、ベラっぽくふるまう自分に会えるのではないでしょうか?
     そういう風に解釈する方が好きなのですが、おそらくダニエル・キイスが書いたのはそういう話ではないのでしょう。一人、また一人と『そして誰もいなくなった』していたようなイメージが……★

    『アルジャーノンに花束を』が有名すぎること、『24人のビリー・ミリガン』の24人という人数(?)が強烈すぎることから、この作家の小説の中では少し地味なポジションにあるのが、サリー・ポーターの性格とシンクロしていますね。でも、キイス著作の中からもし1作選ぶとしたら、私はこれだなと思ってます。

  • ダニエル・キイス初チャレンジ!多重人格でした。やはり、な。
    当時の時代背景はわからないけれど、現在は日本でも多重人格(解離性障害)は流行っています。ひとつの資料として読めると思います。

  • プリズムに引き続き多重人格の本。五つの人格が融合したサリーのその後が知りたい。

  • 一人の中にまったく違う五人の人間がいる多重人格の話。
    主人公が五人いるようなもので、物語は複雑になるが一人一人の人格が丁寧に書かれていて混乱することなく読める。

    題名の、五番目のサリーは、ジンクスのことなのか融合したサリーのことなのか気になる。

  • 多重人格(解離性同一性障害)の女性のお話。
    割と読みやすくておすすめ。

    いろいろ読んでていつも思うけど、アメリカでは性的虐待がそんなに多いんかな。
    勉強不足なだけかもしれんけどね、
    幼児期に受けた性暴力に起因する精神障害が一般的なのはなぜだろう。

  • アルジャーノンより、私はサリー派です(笑)。

  • £2.00

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