- Amazon.co.jp ・本 (422ページ)
- / ISBN・EAN: 9784152035554
感想・レビュー・書評
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凄絶な記憶。
幼少期からの、ひどい、とても惨い虐待から精神を守るために400人もの人格を作り出した少女、ジェニー。
彼女の生まれた環境自体はありがちなものかもしれない。
しかし、祖母の死後から一転した母親の宗教団体へののめり込みにより、彼女の人生は壮絶な道へ切り替わってしまった。
2歳から14歳にかけて、死んだ方がマシだと思う程、理解すると心が壊れてしまうような現実が次々と襲う。
もっと物心ついた頃であれば死ぬ事も出来ただろうに、2歳の子どもに一体何が出来たのだろう。
気が狂ってしまう方がよっぽど楽だっただろう。
けれど、彼女の精神は別人格を作る事で生き延びさせた。
痛みを受け入れる役割、愛情を与える役割、周りに認められようとする役割、別人格を慰めるための役割。
けれど、その別人格たちの存在が彼女に日常生活を送る事を困難にさせていた。
彼女の多重人格に気付いた心理療法士夫妻が、人格の統合を試みる。
次々と現れる別人格が語る過去の記憶は、さらに想像を絶するものだった。
久しぶりに読むのが辛い本だった。
こんな現実が世の中にあると信じられなかった。
彼女は人格の統合にも、過去の記憶を引き受ける事にもまだ時間がかかるだろう。
自分の中に別人格が存在するのはどういう状態なのだろうか。
それは、自分(アイデンティティ)とは何なのだろう、という問題だ。
一つ思ったのは名前で、それは本書に登場する別人格が全て別名だったので、ふとそう思った。
となると、名前は外部から呼びかけるもので(心の中で自分を呼ぶにしても)、他者の認識によって自己が存在するのだろうか。
もしかすると、原人格のジェニーが消えてしまわなかったのも、自分の中の他者が彼女を認識してくれていたからなのだろうか。
とまぁ、こんな哲学的な事は読書中はとても考えられなかったのだけど。
このような現実を知る必要はないけど、私は知っていきたい。それは、自分の精神を危機にさらす事になるのかもしれないけれど。 -
表紙のインパクトが圧倒的。
中学の時に図書室にあったものを何となく手に取ったのがきっかけで読んだ。
実話となると彼女が平穏に暮らせるようになることを祈らずにいられない。 -
「失われた私」同様に アメリカの闇が詰まった一冊
黒ミサなどのカルトの要素が強い さすがに400人全員紹介されているわけではない -
20年くらい前に読んだが、あまりの恐ろしさにしばらくこの本の事が頭から抜けなかったのを覚えている
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カルト団体によって、壮絶な虐待を受けた女性の実話。各人格の筆跡の写真は一見の価値あり。内容もボリュームも凄まじい。
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多重人格ってこんなに大変なのかー。
それ以前に虐待が酷くてもうね… -
まだ治療終わってないところで終わってしまっているからその後が気になります‥‥もう出版から17年も経っているのですから統合したと信じたいものですが。
しかしアメリカ社会の闇に驚きです‥‥そんなカルト教が至る所で狂信されている実態に気持ち悪くなりました。というか、読んでいて想像を絶する数々の所行に何度読むのを止めたいと思ったか。400人出来て当然と思ってしまいました。
幼児虐待の許し難さをひたすら痛感・再認しました。
彼女に行われた数々の出来事を彼女が乗り越えるのはまだ相当かかってしまうことはよく分かります。セリーナが受け入れられているというのが凄い‥‥彼女の家族もどうなったんでしょうか。とにかくその後を知りたいです。
小田晋氏による解説が大変興味深い。多重人格の態様について大変分かりやすく説明されている。訳者あとがきもアメリカにおける虐待とそれが与える犯罪者増加についての言及も注目したい。 -
「わたしは自分のなかのほかの人たちと強い絆を築いてきました。だから、わたしはひとりぼっちではありません。」
ハードカバー・400ページで上下段。ひたすら描かれるのは、ジェニーが受けた目を覆うほどの虐待の数々、恐ろしいサタニック・カルトの実際。そこから身を守るために主なものでも35もの人格を生み出したジェニーが、自分をどうにか一人に統合しようと、自分のなかの「自分」たちと語り合っていく。
衝撃だらけです。ビリー・ミリガン読んで、多重人格知った気になってけど、気になってただけだった。そして虐待は許せない。虐待の連鎖がものすごく辛い。