アイスマン (ハヤカワ・ノヴェルズ)

  • 早川書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (234ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152083982

作品紹介・あらすじ

母親が死んだ今、ビルの収入はまったくゼロになってしまった。母の死を届け出ず、死体を寝室に隠すところまでは知恵がまわったが、送られてくる年金の小切手を換金することが出来ないのでは、まったく同じことだ。もはや母親が溜め込んでいた食糧も底をつき、どうにもならない瀬戸際まで追い込まれていた。そこでビルが思いついたのは強盗だった。遊び仲間二人をさそって、手近な屋台を襲い、売り上げ金をいただくのだ。だが、やはりと言うべきか、襲撃は失敗に終わった。うろたえた仲間が店員を射殺してしまい、警察に追われて逃走中に起こした事故で仲間の一人は死に、金は沼に沈んだ。逃げ込んだ沼地ではもう一人が蛇に噛まれて死に、追ってきた警官も銃の暴発で命を落とし、ビル自身も虫の大群に襲われる。半死半生で沼地を抜け出したビルは、旅回りのカーニバルに拾われた。だがそこで暮らしていたのは、いままで考えたこともないような連中だった。やむなくそこへ身を隠し、彼らと生活を共にしながら逃亡を決意するビルだが、やがて…『ボトムズ』でアメリカ探偵作家クラブ賞最優秀長篇賞を獲得したランズデールのパワーが全開された会心作。

感想・レビュー・書評

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  • ほんま癖強いよな、見事なまでにランズデールって感じ。

  • 母のすねかじりでずっとやってきた主人公だが、母は死んでしまった。死んでいることを隠し、小切手をもらい続けるが金に換える時の署名が偽造できない。主人公は家の反対側にある屋台の花火売りに、仲間と強盗に入ることにする。が、それもあえなく失敗。ボロボロになりながら行き着いたのは、フリークス・サーカスの一団だった。

    ヌママムシやらオポッサム、ワニなんてのが登場する→『HOOT』
    例えが下品すぎて面白い。月の描写なんかは、「油で汚れたディナー皿を下界に落としてしまったかのよう」だって。話は、これは他の物語に比べても秀でてしみったれた話で、サーカスに入った主人公は、一団とだんだん打ち解けていく。ドッグマンを親友だと感じるようになった。だけど、うまくいきかけていたところで、ドッグマンの言うところの「裂け目/クレバス」団長の妻にはまりこんでしまう。人間を堕落させたイヴになぞらえるシーンもある。肉体的なつながりをもつことになり、女の殺人計画を拒むことができず、実行犯になる。団長を殺すつもりが、間違ってドッグマンを殺すことになってしまう。そして最後の計画で、団長とともに自分も死ぬことになる。
    女は遺産と主人公の小切手をもらい、作中何回も出てきた不気味なアイスマンを解体する。たぶんアイスマンというのは、不気味だとか馬鹿馬鹿しく思いながらも、それをちょっとは信じてしまう人間性というか、夢みたいなものを現していたと思う。団長が「このアイスマンは実はキリストの遺骸なんだ」という話をしたから、なおさらそれは強くなった。だけど結局ただの木くずになってしまった。哀しすぎる話だ。ボトムズの方が、まとまりがよかった。

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