- Amazon.co.jp ・本 (414ページ)
- / ISBN・EAN: 9784152086303
作品紹介・あらすじ
教師を辞め、無言症の専門家として病院のセラピストの仕事についたトリイは、謎めいた三人のケースに関わることになった。9歳のカサンドラには現実の存在とは思えぬ妖精のような雰囲気があった。虚ろな目つきをしたかと思うと、感情を爆発させて暴れ、その後何日間も無言を通す。最大の問題は、悪質な嘘をつくことで、傷つきやすい他の子どもだけでなく、大人までパニックに陥れた。これも実父に2年間誘拐されていた影響なのだろうか。そんななか、トリイは遠く離れた町の有力者から4歳の孫ドレイクを話せるようにしてほしいと強引な要求をつきつけられる。いつも大きなトラのぬいぐるみを抱えた活発で愛くるしいその少年は、人とコミュニケーションをとりたがっているようなのに、なぜ母親以外には決して話さないのか?さらに、老人科のソーシャル・ワーカーから懇願されて、トリイは脳卒中で話せなくなった老女ゲルダの様子も見ることになる。やがてドレイクの母親からは驚くべきことを打ち明けられ、一方、カサンドラにも意外な側面が見えてくる…。いずれのケースも進展を見せず、思い悩むトリイの前に明らかになっていく真実とは?情緒障害児との心の交流を描き、世界中に感動を呼ぶ著者が、家族とは何か、その真の意味を問う感動のノンフィクション。
感想・レビュー・書評
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表紙の絵も好き、内容も大好き、でかなり読んでいたが、これだけまだ読んでいなかった…と思い、久々に借りる。一時没頭して読んでいたのに、数年たつと本の好みが変わったのか、今ひとつ進まない…。重すぎる状況の中で見えてくる真実。
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著者のノンフィクションはほとんど読んでいる。
今回はトラウマによって無言を貫き通す子供たちの話。
彼女の専門が児童虐待によって心を閉じた子供ばかりなので、核心に触れた時どうしても重い気持ちになるが、こういう症例となって表れるのだという勉強にはなる。
とにかく子供たちとのかかわり方がすごい。
瞬時に相手の気持ちを察し、あらゆる方法で固く閉ざされた心の扉を開き、隠されたものを引きずり出していく。
応用力や発想力もさることながら、腫れ物に触るようなことは決してしない。ダメなものはダメだという勇気。
操作しようとする子供に巻き込まれないようにする強さ。
あまりにも難しい症例に果敢に挑んでいくのは、子供を救いたいという気持ちと確固たる信念があるからだろう。
経験値は大切だと感じた。 -
内容(「BOOK」データベースより)
教師を辞め、無言症の専門家として病院のセラピストの仕事についたトリイは、謎めいた三人のケースに関わることになった。9歳のカサンドラには現実の存在とは思えぬ妖精のような雰囲気があった。虚ろな目つきをしたかと思うと、感情を爆発させて暴れ、その後何日間も無言を通す。最大の問題は、悪質な嘘をつくことで、傷つきやすい他の子どもだけでなく、大人までパニックに陥れた。これも実父に2年間誘拐されていた影響なのだろうか。そんななか、トリイは遠く離れた町の有力者から4歳の孫ドレイクを話せるようにしてほしいと強引な要求をつきつけられる。いつも大きなトラのぬいぐるみを抱えた活発で愛くるしいその少年は、人とコミュニケーションをとりたがっているようなのに、なぜ母親以外には決して話さないのか?さらに、老人科のソーシャル・ワーカーから懇願されて、トリイは脳卒中で話せなくなった老女ゲルダの様子も見ることになる。やがてドレイクの母親からは驚くべきことを打ち明けられ、一方、カサンドラにも意外な側面が見えてくる…。いずれのケースも進展を見せず、思い悩むトリイの前に明らかになっていく真実とは?情緒障害児との心の交流を描き、世界中に感動を呼ぶ著者が、家族とは何か、その真の意味を問う感動のノンフィクション。 -
トリイヘイデンで読んでいないのはこれだけかも、と思いすごい久々に読んでみた。
相変わらず重い…。
他の作品と比べても特にヘビーだったような。
3つのケースに同時に関わり、どれもが全く改善を見せない。
でも、トリイが格段にレベルアップしてる。
シーラとかケビンの頃のトリイのイメージが強かったけど、いつの間にか鉄の女になってる。
昔のトリイなら泣き出してそうな恐ろしい事態でも無表情を貫いて冷静に観察するトリイはもう遥か遠い所に行ってしまったよう…。
いや、昔からトリイは強かったけどね。
感情移入できないレベルにいってる(笑)。
何年もこんなケースにばっかり関わってたらそうなるかもね。。
治療法もめっちゃ荒治療でハラハラした。
子供って実は自分を守るために子供を演じてるのであって、本当はかなり強かな所があるのかなと思ったり。
3つのケースがふいに少しだけ重なる部分を見せたり、トリイってセラピーの能力だけでなくて、ほんとに小説がうまいなぁと思う。
人間の人格形成って不思議だ。
ひどい目に合ってるのにドレイクのように天使みたいな性格の子もいれば、ゲルダのように子供達からさえ疎まれる性格になってしまう人もいる…。
子供の扱い方ってなんて繊細なんだろうか。 -
これで今のところ日本で翻訳されているトリイ・ヘイデンのノンフィクションものをすべて読み終える。
なんというか、すごいなぁ。
この話では、高齢の患者が現れる。これから成長して未来を持つ子供と、これからの終末に向けて考えていかなければならない老人。もちろん、老人に未来がないというニュアンスで書かれてはいないけれど、子供と比較すればその違いは明らかである。
この先トリイは老人にもかかわっていくのだろうか?
なんとなく気になる。 -
トリイの大ファン♪
久々に気合をいれて読もうと思って手にとりました。
いつもトリイの素晴らしく華麗な姿に感動。
でも今回はすごく苦戦。そこがまた人間と人間の難しさでもあり、魅力でもあると感じました。
とにかくトリイの本は大きな刺激になります。 -
再読。
ちょっと前回のトリイの再読に触発された。
やはり、読み込みやすく、引き込まれる。
テーマはいつも重たいのにね。
でも、いつも希望を残して〆ているから、
読了後の気分が落ちずに済むのかもしれない。
また、トリイ物再読してみよう・・・
2011-54 -
教育現場から医療に移ったトリイ。明るい選択性無言症のドレイクは実は構音障害、虚言と激しい問題行動のカサンドラは性虐待による多重人格、脳卒中でしゃべれなくなった老女は一方的にしゃべるようにはなったが施設送り。結局みんな家族に闇を抱えてる。この夏の消えたご長寿も家族ごとに事情があって、今の日本の半管理半自由では立ち入れない。完全な管理も完全な自由も望まないけど、子供は守らなくては。2010/8/ 読了。
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教師を辞め、無言症の専門家として病院のセラピストの仕事についたトリイは、謎めいた三人のケースに関わることになった。9歳のカサンドラには現実の存在とは思えぬ妖精のような雰囲気があった。虚ろな目つきをしたかと思うと、感情を爆発させて暴れ、その後何日間も無言を通す。最大の問題は、悪質な嘘をつくことで、傷つきやすい他の子どもだけでなく、大人までパニックに陥れた。これも実父に2年間誘拐されていた影響なのだろうか。そんななか、トリイは遠く離れた町の有力者から4歳の孫ドレイクを話せるようにしてほしいと強引な要求をつきつけられる。いつも大きなトラのぬいぐるみを抱えた活発で愛くるしいその少年は、人とコミュニケーションをとりたがっているようなのに、なぜ母親以外には決して話さないのか?さらに、老人科のソーシャル・ワーカーから懇願されて、トリイは脳卒中で話せなくなった老女ゲルダの様子も見ることになる。やがてドレイクの母親からは驚くべきことを打ち明けられ、一方、カサンドラにも意外な側面が見えてくる…。いずれのケースも進展を見せず、思い悩むトリイの前に明らかになっていく真実とは?情緒障害児との心の交流を描き、世界中に感動を呼ぶ著者が、家族とは何か、その真の意味を問う感動のノンフィクション。