ペルディード・ストリート・ステーション (プラチナ・ファンタジイ)

  • 早川書房
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感想 : 21
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  • Amazon.co.jp ・本 (664ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152090430

感想・レビュー・書評

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  •  鳥人、昆虫人、サボテン人、水棲人、それと奇妙な怪物たちと人類が共存する都市ニュー・クロブゾンを舞台にした、猥雑でグロテスクな雰囲気満載のダークファンタジー。
     主人公の科学者アイザックが、最初はだらしない印象だったのが、悪夢をまきちらす怪物の出現に街中がおののく中、数少ない仲間と闘っていくうちに、段々とヒーローっぽくなっていく。
     ラストは思いも寄らない、もの悲しい終わり方だったが、久しぶりに読みごたえのあるSFだった。

     緻密で想像力あふれる筆致に、読んでいて脳が興奮してくるのが感じられる。この濃密な雰囲気を壊さないためにも、安易な映像化には反対。

     著者は『SFが読みたい!2010年版』で、日本の"オニ"や"カッパ"、"テング"といったモンスターも愛している、と言っているので、続編には是非これらのクリーチャーも登場させてほしい。

  • バス=ラグ界の説明の段階では面白かったけれど、お話としてまとまりがない。だから後半は完全に消化試合。おもしろいと思うことを全部書こうとしないでほしい。こちらは設定集ではなくて物語が読みたいんだから。

    人間以外のキャラは魅力的。とくに蜘蛛が。

  • とにかく分厚い本である。
    SF なのか、ファンタジーなのか。
    ダークでゴシックなスチームパンク(サイバーパンク?)。
    人以外に鳥人、昆虫型知的生命体、植物型知的生命体、
    両生類人・・・何でもありで、作者の好き放題。
    これを書いている時、作者はすごく楽しかったと思う。
    とにかく、こんなぶったまげた小説は初めてである。
    まだまだ知らなかった著者・作品があるのだなぁ、と実感。
    文句なしに五つ星。

    最後に「訳者あとがき」があるのだが、
    小学生の読書感想文じゃないんだから、
    細かくあらすじをタラタラ書くんじゃねえ!
    本作品に続く「バス=ラグ」シリーズの作品についても、
    あらすじが書いてある…orz 。

    2001 年アーサー・C・クラーク賞受賞作品。
    2001 年英国幻想文学賞受賞作品。

  • 読んだきっかけ:新聞の書評+『キングラット』から

  • かなり物語を堪能したつもりになって本を閉じれば、まだ十分の一程度しか読み進めていなかったことに気づいて驚く。それほどまでに密度が濃いというか、なんでもかんでもとでもいうか、あれもこれもというか・・・

    舞台となるニュー・クロブゾンという都市国家では、人類は様々な形態の知的生命体と共存している。
    主人公である、科学者アイザックの恋人にしてからが、ケプリと呼ばれる昆虫型の種族。知性があるのはメスのみで、体は人間の女性と同じながら、頭部は甲虫という形態。オスのほうは、カサカサ這い回る甲虫そのもので、同種間の生殖は、オスがメスの体をよじ登り、頭部に達して行われるという。うぇぇぇ・・・

    人々(人類に限らない)の精神を喰らう夢蛾が跋扈し、詩をもって語る大蜘蛛が次元を自由に出入りし、産業廃棄物捨て場には機械の神が鎮座し・・・そんなニュー・クロブゾンの光景とともに、人類を含めたこうした種族の暮らしぶり、芸術、宗教までもが詳細に描き出され、その発想にはわくわくさせられる。

    重大な罪を犯したとして、種族の掟により翼を切り落とされた鳥人族(ガルーダ)ヤガレクの、苦悩と孤独感に満ちた独白が、物語を引き締める。彼の罪を知ってしまうと、いささか鼻白む思いをさせられるが。

    ミエヴィルが創造した、ニュー・クロブゾンも含めたバス=ラグと呼ばれる世界に関しては、ヨーロッパを中心としてコアなファンが多いというが、なるほど納得!

        Perdido Street Station by China Mieville

  • 《バス=ラグ》と呼ばれる蒸気機関と魔術学が統べる世界で、最大の勢力を誇る都市国家ニュー・クロブゾン。
    その中心は巨大駅ペルディード・ストリート・ステーションがそびえ、この暗黒都市では人間、鳥人「ガルーダ」、両生類人「ヴォジャノーイ」、昆虫人「ケプリ」植物人「カクタシー」など、様々な知的生命体が共存していた。

    大学をやめた異端の科学者アイザックの元に、罪を犯して翼をもがれたガルーダのヤガレクがやってきて、飛翔の力を取り戻して欲しいと依頼する。
    飛翔の研究中に手に入れた芋虫が、大変に危険な化け物で……。

    クリーチャー好きには、かなりおすすめ。
    全体的に暗くて、殺伐。

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