神の棘 1 (ハヤカワ・ミステリワールド)

著者 :
  • 早川書房
3.83
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本棚登録 : 397
感想 : 58
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  • Amazon.co.jp ・本 (360ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152090546

感想・レビュー・書評

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  • 淡々と流れていく

    須賀しのぶさん3作目今のところ第一次世界大戦前後のお話ばかり
    第一次世界大戦前後というよりはアドルフ・ヒトラーの3周から4周外側の話と言った方が自分としてはピンと来るのだが伝わるだろうか

    対極に位置する場所でもがく二人の幼なじみでもある男たちに
    今からでは考えられないような状況や凄まじい大事件が次々と起こっているにもかかわらず淡々と流れていく
    その平坦な語り口がその特異すぎる状況が単なる日常であったことを印象づける

    そして最後に淡々に慣れさせられた読者に鋭利な刃物のような展開が突き付けられる

    2巻を用意せずに読み始めることは到底お勧めできない

  • 初読の作家さん。1935年ナチス台頭下のドイツ。ss保安情報員アルベルトとカトリック修道士マティアスを主軸に進むストーリー。この時代の話にしては凄く読みやすくてしかも面白い!しかもこんなところで終わるのか1巻は!続きが気になって眠れないわ。タイトルも秀逸。なんとなく結末が予測できるような…。

  • 感想は2巻で。

  • ナチス政権下のドイツを舞台にした歴史ロマン。カトリック弾圧を題材にエリート将校と修道士、幼なじみふたりの友情と裏切りが、重厚かつ繊細な文体でサスペンスフルに描かれる。かいまみえる神、信仰といった深刻なテーマも興味深い。
    さらなる激動を予感させつつ1巻終了。いざ2巻へ。

  • 障害者が、施設に送られる。
    この時代に生きていたら、私も送られていたなと感慨に耽る。
    すぐに、その方がいいなと考える自分は相当病んでいるなと再認識。

    ラーセンの盛衰ぶりがおもしろい。
    下巻でのマティスとの絡みに期待している。

    ■以下ライブ感想文
    読んでる最中に手のこぶしサイズのクモが壁を登ってた!くそっ!!出口が一か所しかない部屋で、勘弁してくれ!!寝れないじゃないか!!!28
    旧友殺しの物語か!36
    徽章 きしょうの意味がわからん43
    ■以下覚書
    KPD ドイツ共産党
    SPD 社会民主党
    NSDAP 国民社会主義ドイツ労働者党 ナチ党とも
    SD ナチス・ドイツの親衛隊(SS)SicherheitsdienstⅠ局(人事・管理)、Ⅱ局(1課的調査、2課法律や経済関係)、Ⅲ局(国外諜報)
    SD連絡員 入党せずに市中で活動する市民。SDの徽章をつけていない
    徽章 きしょう 身分・職業などを表すため、帽子や衣服につけるしるし。

    ゲシュタボ 国家秘密警察。プロイセン州の内相ゲーリングによって設立された政治警察。1934以降はヒトラーが実験を握った

    ナチ党の成り立ち&躍進  ドイツ労働党が1920に改名して成立。ヒトラーを指導者に力に訴える政治活動をしていたが、ミュンヘン一揆の失敗(1923)にあるように、初めはあまり支持されなかった。世界恐慌(1929~)が起こり、対策を行ったヒンデンブルグ大統領(1925~34)が失敗。ナチ党と共産党が勢力を拡大した。ナチ党は巧みな大衆宣伝で、人心を掌握。(恐慌の生活苦をヴェルサイユ体制にあるとした)労働者や中間層、軍部・資本家(共産党の隆盛に危機感を抱いてた)の支持をうけ、1932にナチ党が第一党に。翌33年にヒトラーが首相に任命された。
    独裁体制の成立 国会議事堂放火事件(1933)を共産党の陰謀と断定。共産党を弾圧。全権委任法(1933)で立法権を政府に移動。ナチ党以外の党を非合法とし、一等独立体制を樹立した。

    1932 ドイツ総選挙でナチス第一党に
    1933 ドイツでナチス政権樹立
    1933 国政連盟脱退
    1933 ライヒスコンコルダート(バチカンとコンコルダード締結)
    1935 再軍備宣言
    1935 英独海軍協定
    1936 ラインハルト進駐
    1936 ベルリン=ローマ枢軸結成
    1937 日独伊防協定
    1983 ドイツイタリア併合
    1983 ミュンヘン会議
    1939 第二次世界大戦(~45)
    1940 フランスドイツに降伏
    1941 独ソ戦争開始

  • とても面白かったし、続きが気になるところで一巻が終わるので、手元に二巻を用意して読むといい。

    嵐の日のテオの言葉、亡命した少女の言葉が印象的。
    本が始まりすぐに裏切られる。

  • ほかの方のレビューの通り誤植が多いですが、表紙はこちらの方が本の雰囲気とよりマッチしていると思います。アルベルトに肩入れして読んでいたので、マティアスがどんな行動をとってくるのかハラハラしながら読みました。

  • 第二次世界大戦ごろのドイツ。
    ナチスのSSという部署の将校であるアルベルトは、同性愛者であり、後に修道士となった兄テオの事故死を調査するよう命じられます。
    上層部はスキャンダルをネタに、テオの所属する修道院を閉鎖しようという目論見でした。
    上層部の意思に添うため、アルベルトは兄と同じ修道院に属していた幼馴染のマティアスを騙し、期待通りの結果を導き出すことに成功します。
    その後もナチスの将校としてカトリック弾圧を続けていくアルベルトと、アルベルトを憎みながら修道士を続け、やがて反乱組織に加わっていくマティアス。
    二人の視点から物語は進んで行きます。
    ナチスのユダヤ人迫害は有名ですが、カトリック教会をこれほど迫害しようとしていたとは知りませんでした。
    ナチス狂信者ではない将校とその妻など、弱者の側ではなく、理性を失ってもいない人々からの視点で描かれるベルリンの様子は新鮮でした。
    話は非常に面白いのですが、誤植の多さには辟易します。
    作者の方に失礼なのではないかと思うほどです。

  • ナチの将校である、アルベルトはある面すごく非人道的に思えるけれど、彼の考え?言葉を見ていると、決してそうではなく。ただ、あの時代本当に、それだけの影響力をヒトラーは持っていたんだなと。第一次大戦前、のドイツ史に詳しくないのでアレだけど…その敗戦の屈辱からの第三帝国。だったわけで。
    ユダヤ人の排除の裏には、ある意味、キリスト教というか、宗教の排除もあったのだと、正直初めて知りました…だから故の、自己の神格化。それをしたヒトラーの愚かさ、と、熱狂した人々の愚かさ。

    兄の死の原因究明から、めきめきと頭角を現し、SDの中で着実に地位を固めてきたアルベルトだったが、妻イルザの行動で窮地に追い込まれ…

  • 最初のアルベルトの登場の仕方が格好良かったです。
    下巻まで一気に読んでしまいました。
    最後の退場の仕方まで格好良かったです。

著者プロフィール

『惑星童話』にて94年コバルト読者大賞を受賞しデビュー。『流血女神伝』など数々のヒットシリーズを持ち、魅力的な人物造詣とリアルで血の通った歴史観で、近年一般小説ジャンルでも熱い支持を集めている。2016年『革命前夜』で大藪春彦賞、17年『また、桜の国で』で直木賞候補。その他の著書に『芙蓉千里』『神の棘』『夏空白花』など。

「2022年 『荒城に白百合ありて』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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