ハーバード白熱教室講義録+東大特別授業(下)

  • 早川書房
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感想 : 76
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  • Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152091697

感想・レビュー・書評

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  • 政治哲学講義録、下巻。それぞれの哲学者の立場を講義した上で卑近な例え話で実感させて聴き手の理解を助けている。例え話の中で「どの哲学者ならこういう立場」とリンクさせた上で、それがおかしいかどうかまで判断するのは難しい、というか予習が必要と感じた。まあ試験があるわけでも議論のための勉強でもないので、興味のある範囲で記憶に残ればいいかなくらいのつもりで読了。「机で覚えた全ての事を忘れて残るもの、それが教育だ」って誰か言ってたなぁ。カントやアリストテレスの自由の捉え方はとても興味深かった。自分を含めた多くの日本人はコミュニタリアンに近いのかな、と感じた。

  • 今月の11冊目。今年の111冊目。

    上巻が大体の図書館で借りられていたので、仕方がなく下巻から。いやー面白かったね。ただ、ハーバードの議論に比べて、東大の特別講義は時間が短いせいもあってか、なんだかしょぼかった。なかなか難しいテーマで、このようなテーマで建設的な議論は想像しにくかったのですが、読んでみたら、なるほどなーと思いました。上巻も早く読みたいね。

  • 『人間は自分で選ばない限り、いかなる道徳的つながりにも縛られることはない。これが意味するのは、人間は自由で独立した至高権を持った自己だということだ。人間は、自らが創り出した義務によってのみ、自らを律するのである。カント派やロールズ派の自由主義を批判するコミュニタリアンですら、「自由とは、自由で独立した自己が自らの行動を選び取ることだ」という主張には説得力があると認めている。しかし、コミュニタリアンは、そこからは、道徳的・政治的な生という側面がそっくり欠けてしまっていると論じる。コミュニタリアニズムの政治哲学者、アラスデア・マッキンタイアは、「自己」を説明するのに、「物語的な観念」を用いている。これは、自己について、カントなどとは異なる考え方だ。「人間は、本質的に物語を紡ぐ動物である。『私は何をするべきか』という問いに答えるには、まず『どんな物語の中で私は自分の役を見つけられるのか』という問いに答えてからでないと、答えることはできない」』面白かった。でも、やっぱりカントなりロールズなり、原典を読むのが一番面白いな。

  • 冒頭に説明があるように、「これからの正義の話をしよう」の台本的な存在の本。

    受験参考書にある「実況中継シリーズ」のように臨場感を感じることができるので、「これからの正義の話をしよう」を挫折した人にはこちらから読んだ方がよいかもしれない。

    下巻は、上巻に続いて後半6回までの講義(12レクチャー)それぞれのレクチャーの後に、子千葉大学の小林教授が哲学的な意味を2ページ程度でまとめている。これによって学問の位置づけがわかりやすい。下巻の方がアリストテレスなどの近代以前の思想かも出てきて、個人的には楽しかった。

    巻末には、東大の講義の様子が載っている。イチローの給料の話などが載っていて、これまた興味深いと思う。

  • 2012/11/9読了。

    上巻は哲学の源流を対話と議論の中から学んでいく方式であった。続くこの下巻では、サンデル教授の主張がどのようであるかを理解するというゴールに向かって議論を収束させていく意味合いを強く感じた。

  • 途中まで読んで、読むのをやめてしまった。
    また、そのうち続きを読む!

  • ソクラテス的な対話の手法を用いた講義録。人種区別をした入学資格、PGAゴルフトーナメントへの車いすの導入、同性婚などの問題の是非を問いながら、学生たちは議論を重ね、”善ありし正義”という教授の政治哲学の考え方に導かれていく。

    東大講義の部分は、確かに読みやすい。しかし、政治哲学の授業だが、”政治”的な問題を含んでおり、東大生の”お人良し”さが、釈然としなかった、というのが正直な感想だ。日本人の戦争責任の問題や、オバマ大統領の原爆投下への謝罪問題など、ハーバードで扱われたテーマとは異なり、より我々日本人にとってリアルな話題だからか。もっとも、政治哲学で扱う目標は、やはり本来そのようなリアルな問題なのだから、例題ではなるほどと思うことも、実践問題になると簡単には納得できない、というのは道理なのかもしれない。ハーバードでも、イラク問題やイスラエル問題など、当事者的問題を扱ってみたらどうなるのだろう?学生たちは、道徳観と政治的建前の二本足に立って、どのような議論を進めるのだろうか?当然、東大生とハーバード大生では、育ってきた文化的立場も異なる。きっと、この辺りが政治哲学の醍醐味でもあるのだ。

    それにしても、最後の終わり方は感動的だった(以下、引用)。

    他者を深く考え、関与していくことは、多元的な社会にはより適切でふさわしい理念のように思える。私たちの道徳的、宗教的な意見の相違が存在し、人間の善についての究極的な多元性が存在する限り、私たちは道徳的に関与することでこそ、社会の様々な善を、より深く理解できるようになる。
    解決できない問題を提起しながらも、議論は続いていく。なぜなら、私たちは、日々これらの質問に対する答えを生きているからだ。

  • 教授が次々と繰り出す究極の選択に酔い痴れながらも、何処かでコミュ二タリアンの本性を現し議論をそちらの方に誘導するのではないかと、やや懐疑的に読み進める。ところが議論は最終講に於いて意外な展開を見せる。「ほう、そう来ますか!」って感じ。これって上質な一編のミステリだね。探偵小説の種明かしを先に読んでも、そんなの当たり前だとか、納得できないってことになる。やっぱり12回の講義内容を時系列に読むしかない。読了済の小説でも映画化されて観れば又良し。次は講義の映像版を見よう!因みに私は今もコミュ二タリアンではない。

  • 正義、善などをアプローチも含めて議論する。
    政治哲学がだいぶ身近に感じられて良い。

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著者プロフィール

1953年、アメリカ合衆国ミネソタ州ミネアポリス生まれ。アメリカ合衆国の哲学者、政治学者、倫理学者。ハーバード大学教授。

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