ハーバード白熱教室講義録+東大特別授業(下)

  • 早川書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152091697

感想・レビュー・書評

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  • 結婚について、同性婚に対するマサチューセッツ州の判事の判決文に、不覚にも涙が出るほど感動してしまった。

    婚姻届とは、独占的で永続的なふたりの関係を国家が承認したたえる行為だそうだ。

    この判決をもらった男性はきっとものすごく嬉しかっただろうと思った。

    2012-12-08追記
    「男性」じゃなくて、「女性」のカップルでした。

    しかも、このレズビアンカップル、すでに離婚しているとか・・・。

    なんじゃそりゃ・・・・orz

  • やっぱり面白い。ただ、読み応えがありすぎるので、3度は読まないと消化はできない。

  • 内容紹介

    指名手配中の弟の居場所を捜査当局に教えなかった兄の行為は誉められるべきか?日本の東アジア諸国への戦争責任やアメリカの原爆投下責任など、過去の世代が犯した過ちを現世代は謝罪すべきか?論議を呼ぶテーマの向こうに見えかくれする「正義」の姿とは? 現代社会のアクチュアルな問いに切り込む斬新な哲学対話が、世界の見方を大きく変える。知的興奮に満ちた議論は、感動のフィナーレへ。 下巻は、NHK教育テレビで放送された「ハーバード白熱教室」の第7回~12回まで、および2010年8月に行なわれた東京大学特別授業の後篇「戦争責任を議論する」を収録。

    内容(「BOOK」データベースより)

    指名手配中の弟の居場所を捜査当局に教えなかった兄は、その行為を責められるべきなのか?論議を呼ぶテーマの向こうに見え隠れする「正義」の姿とは?日常のアクチュアルな問いに切りこむ斬新な哲学対話が、世界の見方を大きく変える。知的興奮に満ちた議論は感動のフィナーレへ。NHK教育テレビで放送された「ハーバード白熱教室」の第7回~12回、および東京大学特別授業の後篇「戦争責任を議論する」を収録。 --このテキストは、文庫版に関連付けられています。

    著者について
    1953年生まれ。ハーバード大学教授。ブランダイス大学を卒業後、オックスフォード大学にて博士号取得。専門は政治哲学。2002年から2005年にかけて大統領生命倫理評議会委員を務める。1980年代のリベラル=コミュニタリアン論争で脚光を浴びて以来、コミュニタリアニズムの代表的論者として知られる。講義の名手であり、中でもハーバード大学の学部科目「Justice(正義)」は、延べ14,000人を超す履修者数を記録。あまりの人気ぶりに、同大は建学以来初めて講義を一般公開することを決定。その模様はPBSで放送され、日本では2010年、NHK教育テレビで「ハーバード白熱教室」(全12回)として放送された。この講義をもとにした『これからの「正義」の話をしよう』(早川書房)は、各国でベストセラーとなっている。このほかの主要著作に『リベラリズムと正義の限界』、『民主政の不満』、Public Philosophyなど。2010年8月に来日した際には、東京大学(安田講堂)およびハヤカワ国際フォーラム(六本木・アカデミーヒルズ)において特別講義を行ない、いずれも大きな反響を呼んだ。

    著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

    サンデル,マイケル
    1953年生まれ。ハーバード大学教授。専門は政治哲学。ブランダイス大学を卒業後、オックスフォード大学にて博士号取得。2002年から2005年にかけて大統領生命倫理評議会委員。1980年代のリベラル=コミュニタリアン論争で脚光を浴びて以来、コミュニタリアニズムの代表的論者として知られる。類まれなる講義の名手としても著名で、中でもハーバード大学の学部科目“Justice(正義)”は、延べ14,000人を超う履修者数を記録(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです) --このテキストは、文庫版に関連付けられています。

    目次
    本書を読むにあたって
    第7回 嘘をつかない教訓
    レクチャー1 「嘘」と言い逃れ 〔小林正弥教授による解説〕
    レクチャー2 契約は契約か? 〔小林正弥教授による解説〕
    第8回 能力主義に正義はない?
    レクチャー1 勝者に課せられるもの 〔小林正弥教授による解説〕
    レクチャー2 わたしの報酬を決めるのは…… 〔小林正弥教授による解説〕
    第9回 入学資格を議論する
    レクチャー1 私がなぜ不合格? 〔小林正弥教授による解説〕
    レクチャー2 最高のフルートは誰の手に 〔小林正弥教授による解説〕
    第10回 アリストテレスは死んでいない
    レクチャー1 ゴルフの目的は歩くこと? 〔小林正弥教授による解説〕
    レクチャー2 奴隷制に正義あり? 〔小林正弥教授による解説〕
    第11回 愛国心と正義 どちらが大切?
    レクチャー1 善と善が衝突する時 〔小林正弥教授による解説〕
    レクチャー2 愛国心のジレンマ 〔小林正弥教授による解説〕
    第12回 善き生を追求する
    レクチャー1 同性結婚を議論する 〔小林正弥教授による解説〕
    レクチャー2 正義へのアプローチ 〔小林正弥教授による解説〕
    東京大学特別授業[後篇]――戦争責任を議論する

    本の感想(オフィス樋口Booksより転載、http://books-officehiguchi.com/archives/4776290.html

    『ハーバード白熱教室講義録+東大特別授業 上』 の続きである。この講義録では「第9回の入学資格を議論する」と「第10回のアリストテレスは死んでいない」に興味がある。

    第9回の入学資格について、日本では入試の得点で決まると言われているが、アメリカの場合、大学によっては人種や民族枠が設けられている。入試の得点が良いにもかかわらず、民族枠で不合格になったのは差別かどうかが議論されているが、日本ならどのような事例が当てはまるのか思いつかない。

    第10回のアリストテレスは死んでいないでは、ゴルフカート問題が議論されていた。ケイシー・マーティンの血行障害について、PGAは認めるべきか認めるべきではないかという議論が話題になっていたことを思い出した。ゴルフ=歩くことという競技?という意見には考えさせられる。

  • サンデルブームを引き起こしたNHK教育テレビの「ハーバード白熱教室」の第7回~第12回、サンデル教授来日時の東京大学特別授業の後編の講義録が収録されている。
    前編に続き、後編でも、活発で興味深い教授と学生との対話型講義が展開されており、自分もサンデル教授の講義を受けているような気分にさせてくれる。
    下巻では、主にカントの思想の続き、ロールズの正義論、アリストテレスの思想、そしてサンデル教授自身の立場であるコミュニタリアニズムが取り上げられている。
    コミュニタリアニズムの立場からのロールズ批判(負荷なき自己が前提となっている)は納得できるし、正義を議論するうえで善や目的について論じることは避けられないということも理解できるのだが、やはりコミュニタリアニズム的な考え方には違和感を覚えるのも確かである。共同体の善や目的とは何か、誰が決められるのかという点で納得ができないからだ。一つの共同体においても誰もが納得できる善や目的を決定することは不可能だろう。だからこそ、諸価値の共存というリベラリズムの考え方がでてきたのだと思う。ただ、リベラリズムに安住し、善や目的について論ずるのをやめるのではなく、サンデル教授のように、どこまでの議論し、善き生を追求するということは大切なことだと感じた。

  • 契約の道徳的効力

    白熱教室で話題となった講義の講義録の下巻である。下巻では,カントとジョン・ロールズによるリベラリズムについて議論が始まり,間にアリストテレスによる目的論的道徳論が展開され,最後に共同体主義という流れで講義が締めくくられた。

    特に興味深かったのが,契約における道徳的効力とコミュニタリアン的な大元の考え方だ。以下に引用する。
    p-.36 現実の契約における道徳的な効力
    1. 同意に基づくもの→自律
    2. 便益に基づくもの→互恵性

    p.168 「私は誰かの息子か,娘であり,どこかの都市の市民であり,この一族,あの民族,この国民に属している」
    「したがって,私にとって善いことは,このような役割を生きるものにとって善いことであるはずだ。私は自分の家族,都市,民族,国民の過去から,様々な夫妻や遺産,期待や義務を受け継いでいる」

    講義の最後は同性婚に対する議論であった。この議論から社会は何かしらの立場に立って物事を決めなくてはならず,リベラルリズムの中立的な立場を維持することはできないことがあることがわかった。この話から,講義冒頭で説明した哲学に対する懐疑主義的批判「結局何も解決できないのでは?」ということに触れ,議論の中で正義についてそれぞれの意見を深めることができたと締めくくられ,感動的な終わり方だった。

    講義の中では,はっきりとこれが正しいというような断定はされていない。しかし,様々な哲学的考え方に触れ,最初の考えよりはより深く物事について思考できるようになり,よりよい判断ができるようになったと思う。

  • 上巻に続いて下巻も読みました。講義も後半部分になるので内容的にはちょっと難しかった。それにしてもやっぱり哲学って面白そうだなって思うけど同時にこれは手を出すとやっかいな学問だなという気はする。おそらく人生観とかがらっと変わっちゃうんだろうな。でもオススメの本です。

  • カート訴訟について
    ゴルフの本質と美徳は切り離して考える必要がある
    本質はクラブでボールを打つことだが
    PGAのルールブックにカート禁止の条項があるならば、
    そのツアーにおいてはルールは守るべきものである。と思う

    健常な競技者の中にも、試合当日に足を痛めている選手がいるかもしれないが、その選手も歩く、みんな歩く
    で良い。と思う

    歩けないゴルファーはカート使用を認められている大会に出るほかない。気がする

    そもそも、大会の参加資格の設定は主催者の裁量に託される問題で、外部が変更を強要する権利はない。と思う

    商品としてファンがカート禁止を欲しているのなら、
    そのルールを変更しないのがPGAの戦略であり、批判されるようなことではない。
    商品としてカート許可のゴルフツアーが方売れるようになるならば自然な流れでカート制が導入されるだろう。うん

  • 主にリベラリズムとコミュニタリズムの主張とそれへの反論を通して、普遍的な善が存在しないことを述べている。
    だが、政治哲学として考え続けて議論し続けることが重要だと説く。なぜなら哲学は避けられず、我々は毎日、その問いに対する答えを生きているからだ。問いと答えは進化して行き世界を変えていく。決してゴールはないけれど。
    人生を一休みしたい人にオススメです。

  • 難しいけど、昔倫理で習ったたくさんのことがでてきた。

  • マッキンタイアによるコミュニタリアリズムという概念を知った。サンデルの言う正義の三要素「自由」「平等」そして最後の「美徳」。美徳とは抽象的であいまいだったがので、単行本ではよくわからなかった。これにはアリストテレスのテロスと名づけられた目的論、そしてその継承されたコミュニタリアリズムに拠っていることをようやく理解する。

    しかしやはり結論はなく、「お互いよく話し合うこと」と訓示された終わり方は解説で称えられたような感動とは程遠い。

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著者プロフィール

1953年、アメリカ合衆国ミネソタ州ミネアポリス生まれ。アメリカ合衆国の哲学者、政治学者、倫理学者。ハーバード大学教授。

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