リトル・シスター

  • 早川書房
3.43
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本棚登録 : 473
感想 : 59
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  • Amazon.co.jp ・本 (361ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152091789

作品紹介・あらすじ

「あなたはとことん見下げ果てた人間です」私は二十ドルぶんの通貨を、デスクの向こう側に少し押し出した。「君は二十ドルぶん、彼のことを案じていた。しかし何を案じているのか、もうひとつよくわからない」行方不明の兄オリンを探してほしい-私立探偵フィリップ・マーロウの事務所を訪れたオーファメイと名乗る若い娘は、20ドルを握りしめてこう言った。いわくありげな態度に惹かれて依頼を引き受けることとなったマーロウ。しかし、調査を開始した彼の行く先々で、アイスピックでひと刺しされた死体が!謎が謎を呼ぶ殺人事件は、やがてマーロウを欲望渦巻くハリウッドの裏通りへと誘う…。村上春樹が「愛おしい」作品と呼び、翻訳を熱望した『かわいい女』、ついに半世紀ぶりの新訳なる。

感想・レビュー・書評

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  • ハリウッド、もしくはある張りぼて家族の話。

    『リトル・シスター』の説明は次の文章にまとめられていると思う。チャンドラーの名文。村上さんの名訳。

    「芝居は終わった。私は無人の劇場に腰を下ろしていた。カーテンは降りたが、そこにはまだ演技の残像がある。それをぼんやり目にすることができる。しかし俳優たちのあるものは既に輪郭を欠いた、非現実のものになりつつある。」(p.328)

    細部は鮮明、全体はぼんやり…という読後感です。

    タイトルの『リトル・シスター』であるオーファメイ…彼女の情緒不安定な態度とか身勝手さがどうにも好きになれなくて、だからラストのマーロウの仕打ちにちょっとスッキリしました。

    あとがきで村上さんがオーファメイこそがこの作品の魅力みたいなことを書かれているけれど、その褒められているリアルさを…わたしはチャンドラーの小説に求めていないから、彼女の人間味に嫌悪感を抱いてしまうんだろうなぁ。

    あ、ストーリーに関係ないけど、これは備忘録として書いておかなければ!わたしの一番のお気に入りは冒頭、アオバエを仕留める場面です!マーロウがチャーミングすぎる!

    • やまさん
      e_c_o_nさん
      こんばんは。
      いいね!有難う御座います。
      e_c_o_nさん
      こんばんは。
      いいね!有難う御座います。
      2019/11/09
  • フィリップ・マーロウの長編シリーズでは5作目にあたる本作、訳者の村上春樹氏にとっては特に愛着のある1冊だそうです。

    行方知れずになった兄の消息を探してほしいという依頼を受けたマーロウ。
    この依頼人の女性・オーファメイが出てくるたびに、私は不安になってばかりなのでした。
    会話やふるまいがまったく予想できず、ハラハラしすぎて最終的に彼女に対して不愉快にも近い気持ちを抱いていた、というのが本音です。
    村上春樹氏は彼女の存在ゆえに、本書を「愛おしい」作品と言いますが、初めて読んだ私はまだその魅力がわかりませんでした…マーロウシリーズを全部読み終えてからもう一度読んでみたら何か違った印象を受けるのかも。

    マーロウとカードを手にした警官との会話が最高にクール!
    この部分だけ何度も読み返しましたが、何度目でもしびれてしまいます。

  • 何度も眠くなり、中断しては戻って読み直してを繰り返し、読むのに丸2年も掛かってしまったが、話の筋はやっぱりよくわからなかった。

  • 最初はあの独特の会話のリズムに慣れなくて、サクサク読めなかった。
    慣れてくるのにつれて話の糸もほつれて行ったので、気にならなくはなったけれども。
    話はまあまあ、どちらかと言えば「ロング・グッドバイ」の方が好き。

  • 個人的には、チャンドラーの長編小説の中で一番プロットのわかりずらい本だと思います。それでも、マーロウ物の魅力が薄れるわけでなく。
    登場人物はみな個性的で生き生きとしていて、読んでいて飽きません。特に女性陣。オファメイクエストの曲者感はひしひし伝わってくるし、映画女優2人の強烈さも印象に残っています。
    そして、マーロウのやさぐれ感は格別ですね。
    何度か読み直して、ちゃんとミステリーとしてあらすじを時系列に沿って理解したい作品です。

    「誰かの夢が失われたようだね」そして身を屈め彼女の目を閉じてやった…
    なんて締めの一文、本当に胸にきます。

  • 極貧の発展途上国でもないのにお金のために家族を売る…映画ミリオンダラーベイビーを見る前にこれを読んでいたら免疫ができていたかも。でもあれでも、本作の妹のように兄を殺し屋に売るために探偵を雇ってまで探すろくでなしではなかった。レイモンド・チャンドラー作品では二人姉妹の姉がまし、妹が最低、というのが定番らしい。アミーゴしか言わないオハイオ出身の自称ラテン女、は笑えた。
    いかにもチャンドラーらしいとっ散らかった作品で特に面白いと言うことはない。他にいくらでも良い作品があると思う。村上春樹の本のどこがいいのか理解できない自分がいて、彼がこのチャンドラーをべた褒めするあたり、いかに売れていても価値観や感覚が合わない作家はやはりあるんだなぁと妙に納得。

  • チャンドラー2冊目。

    プロットが入り組んでいて、本当に分かりにくい。
    村上春樹が解説で言っているとおり。

    ファニー・メイが魅力的って、そうかなぁ。

    まぁ、楽しく読めましたけど。

  • 出てくる女の人がひどい
    お話としてもイマイチで

  • 前半はもの凄く良かったのに、中盤以降急速にトーンダウン…。
    誰が誰を殺し、誰と誰がグルなのかも私の乏しい頭の中だけでは整理しきれていない。
    ただそれらも含め、訳者のあとがきを読んで非常に納得。

    ※本筋はそのままで、説明不足や???なところを村上さんが大胆に構成し直したリメイク版みたいなモノがあれば是非読んでみたい。

  • 挫折、私には合わなかった。

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著者プロフィール

Raymond Chandler
1888年シカゴ生まれの小説家・脚本家。
12歳で英国に渡り帰化。24歳で米国に戻る。作品は多彩なスラングが特徴の一つであるが、彼自身はアメリカン・イングリッシュを外国語のように学んだ、スラングなどを作品に使う場合慎重に吟味なければならなかった、と語っている。なお、米国籍に戻ったのは本作『ザ・ロング・グッドバイ』を発表した後のこと。
1933年にパルプ・マガジン『ブラック・マスク』に「脅迫者は撃たない」を寄稿して作家デビュー。1939年には長編『大いなる眠り』を発表し、私立探偵フィリップ・マーロウを生み出す。翌年には『さらば愛しき女よ』、1942年に『高い窓』、1943年に『湖中の女』、1949年に『かわいい女』、そして、1953年に『ザ・ロング・グッドバイ』を発表する。1958 年刊行の『プレイバック』を含め、長編は全て日本で翻訳されている。1959年、死去。

「2024年 『プレイバック』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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