ARAKURE あらくれ (ハヤカワ・ミステリワールド)

  • 早川書房
3.10
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本棚登録 : 66
感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (282ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152092175

感想・レビュー・書評

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  • 矢作&司城コンビの江戸時代ロードムービーみたいなお話。
    グイグイ読まされるけど、こういう話は能天気な展開の前半の方が楽しかったりもする

  • 久々の矢作俊彦作品 
    「気分はもう戦争」でハマって「暗闇にノーサイド」読んだなぁ・・・ 
    時は幕末・・・渡世人「まだらの亮介」はひょんなきっかけから、ご禁制のライフルと拳銃を手に入れる。 
    『俺たちは股旅ギャングだ』日本初のギャングが街道筋の賭場から賭場を荒らしまくる。 
    和製「明日に向かって撃て!」「俺たちに明日はない」です。 
    やはり矢作俊彦はカッコイイ!! 
    「荒野の素浪人」って時代劇あったなぁ~
    ☆3つ 

  •  矢作と司城の名コンビといえども、時代小説はどうなのかな、と思う。というのはせっかくのレトリックに満ちた矢作エンターテインメントなのに、その肝心のレトリックが抜け落ちて、凡百の時代小説文体になってしまうのは、相当に興趣を削ぐ。

     ただ彼らが書いてきた物語の世界が、もちろんそこにないわけではない。坂本竜馬や土方歳三と出会いつつ、義賊として駆け巡る男二人+女二人のコンビネーション、凶状持ちとして追跡され、追い詰められてゆく様などが、股旅版『明日に向かって撃て』となっているあたりは、転んでもたたでは起きない手練れたちの技であるのかもしれない。

     あるいはレトリックに甘えずに王道から攻めてゆく自信のようなものなのか。彼らのかつての伝説の三部作という重みは最近の作品群にはないにせよ、体力勝負から技術主体へと転換を図った熟年ならではの味が滲み出てきているのっは確かである。

     しかし、三人の幕末アウトローを描きながら、幕末という名の美化された政治闘争とその醜さのようなものを、新選組の拷問シーンなどに絡めて匂わせたりするあたりは、世界への矛盾に怒りを見せる矢作的側面か。

     自分は在日日本人だ、と豪語する矢作は、維新以来の現代日本は、薩摩と長州に乗っ取られた被占領国であるとの意味を込めて、正義ではなく利害によって大政奉還が画策された歴史の裏に潜む真の醜さを暴いてゆく。そんな彼の、怒りの側面を感じさせる終盤が、何とはなしに文明への反骨を感じさせつつ、日本にしか属さない庶民である主人公たちの、個人的なもの悲しさを浮き彫りにして、ハードボイルドにつながる孤高の精神を語り継いでいる気がするのだった。

  • 矢作+司城コンビによる幕末クライムノベル! 装丁の
    イラスト...カッコいいよねぇ。様々過去の名作映画への
    オマージュが盛り込まれたという今作。もう随所に
    バリバリに映像化を想定したようなシーンや
    台詞が盛りだくさん。エンタメ度高いです。

    しがない渡世人「亮介」「欣蔵」がひょんな事で
    手にする連射ライフルとピストル。人生の目標の
    ない2人がこの武器片手に始めたのが「股旅ギャング」
    を名乗り、賭場ギャングから次第に義賊へと
    変貌を遂げるクライムロードノベル。恐らく
    読者は頭の中でシーンの構図や役者のキャスティングを
    しながら読んでいるんじゃないでしょうか?

    作中の登場人物も坂本龍馬、清水の次郎長、
    土方歳三、松平容保などが登場し、様々な
    形で股旅ギャングに絡んできます。

    前半はコメディタッチの渡世人情ものから
    次第に「明日に向かって撃て」を経て、
    ヒロインを巻き込んで「俺たちに明日はない」
    へと流れていく、怒濤のエンタメ。

    面白いんですが惜しむらくは、ページ数の
    少なさと圧倒的な悪の対象の不在、そして
    もっと涙腺を崩壊されるような高揚感を
    あくまでも活字...で煽って欲しかった...かも。

  • 矢作俊彦、司城志朗のゴールデンコンビ復活第三作は、ちょっと虚を突いた時代物。
    坂本龍馬やら、土方歳三が登場し、興を添える。
    とは言え、物語の本質はいつもと同じよう。

    うーん、この二人の合作ってどうなってるのだろう、どう分担しているのだろうってことばかりが気になって、いまいちストーリーに乗りきれない。

    読み終わってみても、まあ確かに「明日に向って撃て!」の二番煎じだわなぁ、というのが一番の感想。

    いやいや、凡百の作家に比べれば十分面白いんですけどね。

  • 幕末、明日に向って撃て!の名に違わない     

    坂本龍馬所縁の銃を手に、江戸から京都まで、盗賊をしながらやりくりしていく道中記。当然、京都では新撰組が待っています。

    歴史上の人物の登場のさせ方は、お約束的に楽しめます。特に主筋を邪魔せず、良い感じです。盗賊団も噺家が入ったり、女性が入ったりと、なかなか豊富な面子です。

    物足りないのは、主人公の魅力と折角の東海道の風景です。横浜辺りまではそれなりに描けているのに、由比や清水、尾張はあっという間に通り過ぎたような。いっそ、明日に向って撃て!を換骨奪胎して翻案した方が良かったような。

    う~ん。三十年来好ましかった矢作印とも、少し距離を置いた方が良いのかなぁ、「犬なら普通のこと」も、「百発百中」も、「エンジン」も何か合わない。読み返したくならない。

    購入、今野書店(2011/06/23)

著者プロフィール

1950年、神奈川県横浜市生まれ。漫画家などを経て、1972年『抱きしめたい』で小説家デビュー。「アゲイン」「ザ・ギャンブラー」では映画監督を務めた、『あ・じゃ・ぱん!』でBunkamuraドゥマゴ文学賞、『ららら科學の子』で三島由紀夫賞、『ロング・グッドバイ』でマルタの鷹協会・ファルコン賞を受賞。

「2022年 『サムライ・ノングラータ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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