開かせていただき光栄です―DILATED TO MEET YOU― (ハヤカワ・ミステリワールド)

著者 :
  • 早川書房
3.95
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本棚登録 : 1735
感想 : 330
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  • Amazon.co.jp ・本 (440ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152092274

感想・レビュー・書評

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  • 行間に、書き記されない想いのたくさん含まれた小説でした。行ったことも見たこともないロンドンがそこにはあって、だからこそ最初は没入しづらくてとまどいました。
    先生の私的解剖室が見えるようになってからは皆川さんの筆致にあっちへこっちへ翻弄されながら読みました。すごい伏線だ……すごい。
    ナイジェルの繊細な描写が目立ちますが、ほんとうのところ線が細いのはエドかもしれません。その執念というか、そういうものが炎をたぎらす情動こそ繊細です。
    先生の印象ががらっとかわりました。

  • 初めてこの作者さんの作品を読みました。続きの作品が評判良いので最初のから、と思って。

    世界観が好みだったのと、なかなかどうして先が読めそうで読めない感じが面白かったです。
    ネイサン生きててよかったね。

    それでも、少年二人が確かに殺人を犯し、それを罪に問われないことも確信してのことで、って動機はなんであれ怖いやね。そんなことをしれっと受け入れちゃう雰囲気ってゆーか、昔のイギリス、っていう響きが無敵。

    最後は少し悲しいエンドでしたね。

  • 納得のいかない部分も少しあるが、面白かった。
    続編も読みたい。

    2014.02.18

  • 18世紀イギリスの解剖学室の人たちをメインにすえたミステリー。
    登場人物全員を疑いながら読んで、読み終えたらまた最初にもどって伏線を拾いながら読みなおしたい。
    そんな正当派エンターテイメント。

    緻密な背景がまた面白くて、参考にあげられた文献をみんな読みたくなる。
    暖炉の歴史とかそういうものまで。

    この人の本はあんまり読んだことがないんだけど、いつも美しい人が出てくるし虐待も耽美だしこういうの嫌なんだ本当はなのにいつも面白いんだ畜生。
    好きになりたくないんだけど好きだと認めざるを得ない。

    明らかにされない部分は次のお楽しみかな。
    ああ楽しみになってしまった畜生。
    過呼吸で失神しちゃうところだけ気になった。過呼吸は倒れないものだから。


    関連
    本の中身と装丁は違う仕事
    いせひでこ「ユリユールおじさん」http://booklog.jp/users/melancholidea/archives/1/4652040504

  • 登場人物が多い上に、横文字ばっかで慣れるまでに時間がかかりましたが、慣れてしまえば物語を進めていくのが楽しくて仕方ない!もう、おっもしろい!真実が明るみになったかと思えば裏に隠されている何かがあったりと…とにかく読んでいて飽きませんでした。ぜひとも映像で見たい!と思うお話でした。

  • 皆川博子さまの新作を読めることの喜びよ。今までになくライトタッチなのは御歳80才を超えての新境地ですね。18世紀のロンドンと妖しき少年たちの純粋たるインモラルは極上の美学です。なのに娯楽小説を通してます。もうラストのどんでん返しときたら!脱帽です。最後特別付録の解剖ソングで閉めるのがまたgood!

  • 思ったより解剖シーンがグロかった。

    本だから匂いを感じることはありえないんだけど、
    たまに血の匂いとか土の匂いとかを感じる本があるんだよね、、、
    これはそれで、
    なので、挫折。
    読めなかった。

    面白そうだったので、残念。


    (図書館)

  • 皆川作品、初読み。

    最初、文調というか本の雰囲気にちょっと入り辛かったのだけれど、慣れだしてから一気に読んだ。舞台のロンドン自体は馴染みのある土地だったので、18世紀の陰鬱としたロンドンを地名とともに想像しながら読むのは興味深かった。当時の解剖学も詳しく知れて面白い。
    ミステリとしても秀逸。終盤のどんでん返しの際は、アアーッと思わず声が漏れた。ダニエルじゃないけど、すっかり騙されていた。伏線は確かにあったのに。でも、いい騙され方。最後は決してハッピーエンドではないと思うけど良かった。ジンときた。
    陰鬱とした舞台ながらも、キャラが結構ユーモア感たっぷりなのも良し。盲目の判事も素敵だし、ちょっと天然が入ったオタク系解剖医の先生も愛すべきキャラ。続編が新しく刊行されるようなので、楽しみです。

  • ロンドンが舞台の本格ミステリ。
    増える死体、二転三転する展開、まさかの真相。名称がカタカナばかりなのに加え、解剖研究室という特殊な舞台に入り込むのに時間はかかりましたが、入り込んでしまえば読む手が止まらない。最後まで一気でした。
    いやー、久しぶりに没頭した。あっちへ転びこっちへ転び、ラストは全く予想外のトリック。良い意味で裏切られました。とにかく読んでもらいたい。そして是非ともその後が見たい物語。エドとナイジェルの関係は一体なんだったのか。過去も気になる。

  • 耽美色は抑え目。しかし魔性美少年とか猥雑で怪しげな店とか、ちゃんとツボは押さえられております。
    だがしかし。自分的に完璧超人ぽい美少年美少女とやらが好物でないためか、あの二人にはどうしても感情移入できなかった…
    社会風潮とか法制度とか医学とかの知識と共に描かれるあの時代感はやっぱり素敵。
    終盤の真相二転三転にはやられました。物語の締め方が美しいぃぃ!

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著者プロフィール

皆川博子(みながわ・ひろこ)
1930年旧朝鮮京城市生まれ。東京女子大学英文科中退。73年に「アルカディアの夏」で小説現代新人賞を受賞し、その後は、ミステリ、幻想小説、歴史小説、時代小説を主に創作を続ける。『壁 旅芝居殺人事件』で第38回日本推理作家協会賞を、『恋紅』で第95回直木賞を、『薔薇忌』で第3回柴田錬三郎賞を、『死の泉』で第32回吉川英治文学賞を、『開かせていただき光栄です―DILATED TO MEET YOU―』で第12回本格ミステリ大賞を受賞。2013年にはその功績を認められ、第16回日本ミステリー文学大賞に輝き、2015年には文化功労者に選出されるなど、第一線で活躍し続けている。

「2023年 『天涯図書館』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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