- Amazon.co.jp ・本 (408ページ)
- / ISBN・EAN: 9784152095886
作品紹介・あらすじ
一九二五年に創刊された、アメリカの歴史ある文芸誌《ニューヨーカー》。その掲載作品から名アンソロジストが選んだ傑作を収録。当代一流の翻訳家陣が参加するアンソロジーの新定番がついに登場
感想・レビュー・書評
-
アメリカの雑誌「ニューヨーカ」に掲載された短編、創刊(1925.2.17)から1959年までを掲載順に収める。
「世界が闇に包まれたとき」シャーリー・ジャクスン
1944.12.30号掲載
バスに乗った、夫が出征中の主婦ガーデン。ある老婦人から、何かあったら連絡してと住所を聞かれる。ある日手紙が来て「あなたは現在、友人の助けを必要とされていますね。お会いした時は、芯の強い勇敢な方だとお見受けしましたが、世界は闇、と思われる時は、無事を祈る友人のいることを思い出して下さい」とあった。
ミセス・ガーデンはその手紙の主の所に出かけてゆく。
ガーデンは妊娠していたがまだ夫には知らせていない。もっと二人でやりたいことがあるというのだ。
相談しに行った、それだけの話なのだが、会ってみるとそのアパートの部屋や老婦人のたたずまいが、ちょっと不気味な感じも。
1970年刊の早川書房「ニューヨーカー短編集」とは重複しないように基本として未訳作品を集めた。
「ぴょんぴょんウサギ球」 Br'er rabbit ball / リング・ラードナー 1930.9.13号
「深夜考 」 The little hours / ドロシー・パーカー 1933.8.19日号
「ウルグアイの世界制覇 」 The supremacy of Uruguay / E・B・ホワイト 1933.11.25日号
「破風荘の怪事件(手に汗握る懐かしの連載小説、一話完結) 」 The Gables mystery / ジョン・コリア 1934.7.28日号
「人はなぜ笑うのか--そもそもほんとに笑うのか?(結論出しましょう、ミスタ・イーストマン) 」 Why we laugh or do we? (let's get this thing settled, Mr. Eastman) / ロバート・ベンチリー 1937.1.2日号
「いかにもいかめしく =」Graven image / ジョン・オハラ 1943.3.13日号
「雑草 」 The weeds / メアリー・マッカーシー 1944.9.16日号
「世界が闇に包まれたとき 」When things get dark / シャーリイ・ジャクスン 1944.12.30日号
「ホームズさん、あれは巨大な犬の足跡でした! =」"Mr. Holmes, they were the footprints of a gigantic hound!" / エドマンド・ウィルソン 1945.2.17日号
「飲んだくれ =」The drunkard / フランク・オコナー 1948.7.3日号
「先生のお気に入り =」Teacher's pet / ジェイムズ・サーバー 1949.8.20日号
「梯子 」 The ladder / V・S・プリチェット 1949.11.5日号
「ヘミングウェイの横顔 : 「さあ、皆さんのご意見はいかがですか?」 」 Profiles : how do you like it now, gentlemen? / リリアン・ロス 1950.5.13日号
「この国の六フィート =」Six feet of the country / ナディン・ゴーディマー 1953.5.23日号
「救命具 」Instrument of salvation / アーウィン・ショー 1954.4.24日号
「シェイディ・ヒルのこそこそ泥棒 」 The housebreaker of Shady Hill / ジョン・チーヴァー 1956.4.14日号
「楢の木と斧 = The oak and the axe / エリザベス・ハードウィック 1956.5.12日号
「パルテノペ 」 Parthenope / レベッカ・ウェスト 1959.11.7日号
2015.12.25初版 図書館詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
若島正編<ニューヨーカー>傑作集第Ⅰ巻(1925-1959年)。初訳作品を中心にセレクトした18篇。ユーモア系作品では、幼い少年が酒癖の悪い父のお目付け役を見事に果たす、フランク・オコナー「飲んだくれ」、みじめな子供時代の記憶にひっぱられる中年男性の悲哀を描いた、ジェームズ・サーバー「先生のお気に入り」がとても良かった。ジョン・チーヴァーのこじれたユーモアにはニヤニヤさせられっぱなし。そのほか、戦時下の不安とうっすらした狂気を描く「世界が闇に包まれたとき」(シャーリー・ジャクスン)、南アの白人のジレンマを見つめた「この国の六フィート」(ナディン・ゴーディマー)、ゴシック風趣きのある「パルテノペ」(レベッカ・ウエスト)が読めたのは大収穫でした
-
【目次】
目次 [003-005]
「ぴょんぴょんウサギ球」(リング・ラードナー、森慎一郎訳) 007
「深夜考」(ドロシー・パーカー、岸本佐知子訳) 017
「ウルグアイの世界制覇」(E・B・ホワイト、柴田元幸訳) 029
「破風荘の怪事件(手に汗握る懐かしの連載小説、一話完結)」(ジョン・コリア、若島正訳) 037
「人はなぜ笑うのか――そもそもほんとに笑うのか?(結論出しましょう、ミスタ・イーストマン)」(ロバート・ベンチリー、柴田元幸訳) 047
「いかにもいかめしく」(ジョン・オハラ、片岡義男訳) 055
「雑草」(メアリー・マッカーシー、谷崎由依訳) 067
「世界が闇に包まれたとき」(シャーリイ・ジャクスン、谷崎由依訳) 105
「ホームズさん、あれは巨大な犬の足跡でした!」(エドマンド・ウィルソン、佐々木徹訳) 117
「飲んだくれ」(フランク・オコナー、桃尾美佳訳) 129
「先生のお気に入り」(ジェイムズ・サーバー、柴田元幸訳) 147
「梯子」(V・S・プリチェット、桃尾美佳訳) 163
「ヘミングウェイの横顔――「さあ、皆さんのご意見はいかがですか?」」(リリアン・ロス、木原善彦訳) 191
「この国の六フィート」(ナディン・ゴーディマー、中村和恵訳) 241
「救命具」(アーウィン・ショー、佐々木徹訳) 265
「シェイディ・ヒルのこそこそ泥棒」(ジョン・チーヴァー、森慎一郎訳) 282
「楢の木と斧」(エリザベス・ハードウィック、古屋美登里訳) 321
「パルテノペ」(レベッカ・ウェスト、藤井光訳) 355
編者あとがき(二〇一五年十一月) [403-409]
訳者略歴 [411] -
珠玉の作家たちの未訳の短編を手練れの訳者たちが翻訳するという魅惑のアンソロジー。宝石箱のような、という使い古された表現は使いたくないけどそうとしかいいようがない。
「深夜考」で笑い「いかにもいかめしく」で唸り「救命具」で溜息。 -
失敗かなぁ~
文化の違いだろう。超ショート短篇集なんだが、土地も人名も馴染みがないからおもしろくない。失敗。