オクトローグ 酉島伝法作品集成

著者 :
  • 早川書房
3.85
  • (10)
  • (12)
  • (9)
  • (3)
  • (0)
本棚登録 : 162
感想 : 14
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (311ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152099525

作品紹介・あらすじ

デビュー以来発表した『皆勤の徒』『宿借りの星』の2冊でともに日本SF大賞を受賞した圧倒的才能による作品集。ある異常な刑罰に課せられた男を描く「環刑錮」、人類の異星探査を惑星生物側の視点で綴る「ブロッコリー神殿」ほか、書き下ろしを含む全8篇。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • グロ成分が多めで、漢字の言葉遊びも面白いとは思うけど、思わせぶりで読むのが辛い。私の好みの世界ではなかった。

  • 視覚系ハードSF。漢字の字面や読み方まで駆使して、強烈なビジュアルを伴う世界を展開する。非常にグロテスクかつ美しい作品群。中でも後半の4作品:ブロッコリー神殿・堕天の塔・彗星狩り・クリプトプラズムがお気に入り。特に、堕天の塔におけるスリリングな舞台設定は出色の素晴らしさだ。

  • 人間の存在しない偉業たちの世界で意識が変遷してゆく。やがて読者さえもその造語という小道具で囲まれた世界に取り込まれてゆく。

  • 解釈難解で読むのに時間がかかった
    想像力働かせると五感にくさいキモいが来て苦しい

  • 国内SFの期待の星として非常に高い評価を受けつつ寡作でも知られる著者による8つの短編を収めた作品。編集者の大森望が絶賛しているということもあって、あまり前知識なく読み始めたのだが、これは確かに凄い。が、相当に読む人を選ぶタイプの作家ではある。

    まず冒頭に収められた「環刑錮」からぶっ飛んでいて、主人公は人間の意識を持った巨大な軟体生物なのである。周囲の軟体生物とコミュニケーションを取りながら、土中をもぞもぞと進む主人公の姿は、カフカの「変身」をより一層グロテスクにした世界観である。他の多くの作品にも共通しているのは、こうしたグロテスクな生物学的な描写の生々しさであり、生理的な恐怖感に襲われる。しかしながら、文体は極めて理性的でもあり、そのギャップが面白い。

  • なにが起きているのかさえわからなかった。

  • 「環刑錮」★★★★★
    「金星の蟲」★★★★
    「痕の祀り」★★★
    「橡」★★★
    「ブロッコリー神殿」★★★★★
    「堕天の塔」
    「彗星狩り」★★★
    「クリプトプラズム」★★★

  • [p. 85 以降]

     読了。ものすごく自分の想像力を試される読書体験だったように思う。造語については、読みと漢字のずれが助けになることも少なくなくて、法則がわかるとかえってわかりやすく感じられる部分さえあるように思う。しかしそこに、造語ではない難読語句なども平気な顔をして出てくるので、試される。元が当て字のものも少なくないものね…… なんとなくもうその辺は全部感覚で読み切ってしまってもいいのではないかと考えてしまう。そして、それでも十二分に楽しいのではと。

     作者の手になる挿絵(これが目当てでハードカバーで購入した)が手がかりになることもあるが、そもそも自分は絵を読み解く力が非常に小さいので、その情報量だけですでにもう圧倒されてしまったりもした。いろいろなものを解きほぐして、ありえないはずの生物の生態をつかむ。それはある意味苦行かもしれないのだけど、すいっとはまり込んだときの楽しさがすごい。

     ルビについて。たぶん出版社のルールなのだろうけれども、ページ冒頭の語句にだけルビが振ってあることが多く、なかなか慣れない。ルビ付きの語句はすべてルビ付きにされているほうが読みやすいのではないかとも思ったのだけど、手間としてたいへんだったりするんだろうか。

    --

    [p. 84 まで]

    「環刑錮」。すごく面白い。とてもとても面白いのだけど、幼い頃に、毒虫になってしまう日野日出志さんの漫画や、食べるものが虫になってしまうつのだじろうさんの漫画にショックを受けすぎて、食事が怖くなってしまった過去をもつ身としては、読んでいるあいだずっと、ものすごく面白いのに軽い吐き気がつづくという、訳のわからない苦しみに苛まれてしまい、もうどうしていいのかわからない。

    「金星の蟲」。丁寧に描かれる印刷所の様子を興味深く読んでいるあいだに、ずるずる、ずるずると、現実が異界へとずれていく快感。湿気のある気持ち悪さも当然あってこその面白さだった。

  • 難解っちゅうか、読みづらい

     異型生物の世界をこんなにも生々しく書けるのは素晴らしい。でも、こっちの想像力が追いつかないんだな。困ったことに。

  • 環刑錮
    囚人が芋虫みたいな形にさせられる刑罰?

    金星の蟲
    珍しく普通に始まる印刷所に勤める男の話かと思ったら、少しずつ様子がおかしくなっていき、最終的に地球と全く別の生態系?になってた話。

    痕の祀り
    斉一顕現体という侵略者?の死体を片付ける仕事の人の話。描写は相変わらず生々しい。いつの間にか侵略者は内に入り込んでるのでは?と疑問を持ったところで、息子が侵略者?という匂わせ発言をして終わる。


    橡つるばみ
    幽霊の短編。わずかな触覚と視覚と聴覚しかない幽霊が短歌?のような言葉を思い出す?事によって昔の記憶のご飯の味とかコーヒーの味を思い出す話。

    堕天の塔
    ネットスフィアとか、解らない事もありながらも落ち続ける塔の中で暮らす代理体?の人達の足掻きの話。モリの少年と邂逅するラストはちょっと感動。

    ブロッコリー神殿
    彗星狩り
    クリプトプラズム

    の、八篇。

全14件中 1 - 10件を表示

酉島伝法の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
小川 哲
エルヴェ ル・テ...
劉 慈欣
小川 哲
スタニスワフ・レ...
酉島 伝法
テッド・チャン
夕木 春央
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×