離れがたき二人

  • 早川書房
3.44
  • (1)
  • (3)
  • (4)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 172
感想 : 10
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (221ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152100344

作品紹介・あらすじ

20世紀初頭のパリ。少女シルヴィーは、厳格なブルジョワ家庭で育ちながらも自由を求めて反抗して生きる、ある少女と出会った。たがいに強く惹かれ合う二人の友愛は、永遠に続くはずだった――。1954年に執筆されるも、発表される事のなかった幻の小説を刊行。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • [1954年に執筆されるも、発表される事のなかった幻の小説]

    ボーヴォワール未発表小説、刊行。二人の少女の絆が今よみがえる――『離れがたき二人(仮)』(関口涼子訳)|Hayakawa Books & Magazines(β)
    https://www.hayakawabooks.com/n/n726a969ffdc1

    社会の抑圧に抗し、世界の美しさを求める女性たちの強い絆——『離れがたき二人』訳者の関口涼子氏によるあとがき|Hayakawa Books & Magazines(β)
    https://www.hayakawabooks.com/n/n004e61892f30

    離れがたき二人 | 種類,単行本 | ハヤカワ・オンライン
    https://www.hayakawa-online.co.jp/shopdetail/000000014871/

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      ボーヴォワールの「原点」自伝的小説 なぜ仏で66年間も未発表? | 毎日新聞(有料記事)
      https://mainichi.jp/artic...
      ボーヴォワールの「原点」自伝的小説 なぜ仏で66年間も未発表? | 毎日新聞(有料記事)
      https://mainichi.jp/articles/20210917/k00/00m/030/107000c
      2021/09/18
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      【書評】早熟な知性と感受性を持つ少女たちの輝かしい日々 ~『離れがたき二人』 【書評】『離れがたき二人』著◎シモーヌ・ド・ボーヴォワール 訳...
      【書評】早熟な知性と感受性を持つ少女たちの輝かしい日々 ~『離れがたき二人』 【書評】『離れがたき二人』著◎シモーヌ・ド・ボーヴォワール 訳◎関口涼子|教養|婦人公論.jp
      https://fujinkoron.jp/articles/-/4717?display=full

      シモーヌ・ド・ボーヴォワール『離れがたき二人』 旧弊に押し潰された親友の面影 |好書好日
      https://book.asahi.com/article/14434379
      2023/03/06
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      村田京子のホームページ – ボーヴォワールの講演会
      http://sand200balzac.sakura.ne.jp/archives/...
      村田京子のホームページ – ボーヴォワールの講演会
      http://sand200balzac.sakura.ne.jp/archives/4870
      2023/03/06
  • 特別な人と出会い、別れた実体験をもとに書かれた小説。
    読み終えて、ぽっかりとした寂しさが残る。
    輝いていたアンドレの光がどんどんと消えていく様が苦しい。
    家族や宗教、因習に縛られて押し潰された少女。
    モデルとなったザザが、ボーヴォワールがフェミニズムに目覚めるきっかけの一つだったというのもよくわかる。
    文章も美しく、時を経て発表されたことを嬉しく思う。

  • サヴァブッククラブで選書いただいた作品。

    自分では出会えなかったであろう一冊であり、出会えなかったら後悔したであろう一冊。

    半世紀以上の時を経て刊行されたふたりの物語に圧倒される。

    解説にもある通り、古臭いのは書かれている時代であって、描かれた友愛は決して古くなくむしろ普遍だ。

    アンドレはどうしたって死に向かってしまい、シルヴィーのほうが自由なのに彼女は彼女でアンドレに向かって見返りを求めない愛を注いでしまう。

    生まれる時代が違ったなら、ふたりはきっと思うままに生きられたのに。
    彼女たちがのような人がいつの時代もいたからこそ、こうして現代に繋がっているのかもしれない。

    2021年に生きるわたしたちは、2100年に生きる彼女たちのために、住みやすい世界を残してあげなければ。

  • 「二度同じ形では見ることのないものを愛しなさい」

  • シモーヌ自身にとってもパートナーであったサルトルにとってもこの小説はあまり良い評価を得なかった。だが、親友であるザザを若死により失ったシモーヌは今作とは別でも文学的恩恵によって何度も彼女を蘇らせようと試みている。そして養女によるあとがきを読んで今作は価値があったと確信した。

  • テレビで「老い」を紹介された後に入手。大切に、少しずつ読み進めたボーヴォワール。装幀美しい。シスターフッドもの最近多いけど、前半の幸せな時間から後半になるにつれ当時の制限された女子の生き方が辛い。

  • 表紙の写真、著者のシモーヌと離れがたき友であったザザ。二人の関係をモチーフに、ザザをアンドレとして蘇らせて描いたフィクション。

    ですます調の控えめな文体でありながら激情的なのが良い。素敵な翻訳文だと思いました。

    罪の意識とそれに対する恐れは自分を手放させ、そうできなかった人を破壊してしまうのだろう。抑圧は因習となってその「良識」の内に押し込もうとする。

  • ザザの死因はなんだったのでしょうか。
    科学的かつ客観的に見ればウイルス性脳炎でしょう。しかし、それ以前に遡る運命的な連鎖があり、その網が彼女の存在そのものを捕え、最終的には衰弱させ、疲れさせ、絶望させ、狂気と死に至らしめたのではないでしょうか。シモーヌドボーヴォワールはこう答えています。ザザは特別な存在であったために死んだのだと。人々が彼女を殺したのであり、彼女の死は精神主義的な犯罪だと。
    シモーヌドボーヴォワールの養女

  • 著者自身の実体験を元に書かれた、ともに大人になっていく二人の少女の友愛の物語。
    序盤はアンドレはただ光の存在として描かれており、それにシルヴィーも敬愛の気持ちを抱く。けれど後半にかけて、徐々にアンドレの背景にある彼女にのし掛かる重荷(カトリック、家族から求められる個としてではない役割)が明らかにされてゆく。読者にとってはシルヴィーのほうが、自由な存在に見えてくるにもかかわらず、シルヴィーには絶えずアンドレが唯一無二の、離れがたい友人であり、見返りを求めない愛情を向ける相手であり続けていたところに胸を打たれた。

  • ボーヴォワールの未発表小説。実体験をもとに綴られた作品。作者の死後に出版される作品は、読者にとっては喜ばしいかもしれないが作者はどう感じるのだろうか、といつも考えてしまう。

全10件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1908年、パリ生まれ。(1986年没)サルトルのパートナーとして公私に影響を与え、同時にフェミニズム運動の旗手ともなる。主著に『第二の性』など。

「2013年 『老い 下 (新装版)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

シモーヌ・ド・ボーヴォワールの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×