ペストの夜 下

  • 早川書房
3.18
  • (3)
  • (1)
  • (4)
  • (1)
  • (2)
本棚登録 : 86
感想 : 8
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (432ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152101860

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • ノーベル賞作家オルハン・パムクが語る「トルコで反体制派の作家として生きるということ」 | 新作『ペストの夜』で再びトラブルに | クーリエ・ジャポン
    https://courrier.jp/news/archives/302377/

    ペストの夜 下 | 種類,単行本 | ハヤカワ・オンライン
    https://www.hayakawa-online.co.jp/shopdetail/000000015271/pc_detail/

  • 〝ペストは個々の人間に感染し、その肉体と精神を冒し、生命を奪うのに飽き足らず、どうやら人間社会そのものにも感染して変異させ、結果として革命という名の大いなる病変/抗体反応を導いた〟・・・実在した歴史上の人物、小説に登場する架空の人物たち・・・ペスト禍と革命によって命を落とす人間の数の大きさに唖然となる、過酷で冷酷非情な歴史叙情物語。

  • 著者オルハン・パムクの熱量に圧されて読了した
    オスマン帝国末期の世界史にもっと詳しければなお面白かったかもしれない
    センチメンタルな部分も多い
    パーキーゼとヌーリーがミンゲル島を離れてからの「何年ものちのこと」は物語としての面白さがなく蛇足でしかない

  • とんでもない面白さだった…!!
    下巻はまさに圧巻で、ページをめくる1秒ももどかしいほど。
    舞台はオスマン帝国領なのだけど架空の島、ミンゲル島。
    ペストの感染拡大に、宗教や民族主義、個人の野望やら恋愛やらも絡んで、思いがけない方へと突き進んでいく。
    架空の歴史だけれど、今現実で目にしているものと重ねずにはいられず、何重にも面白かった。
    解説もとてもわかりやすく、一層理解を深められる。
    オルハン・パムクは今回初めて読んだのだけど、他の作品もぜひ読みたい。

  • オスマン帝国の終焉に、架空のミンゲル島での激動の歴史やペストとの闘いを寄り添わせる。このミンゲル島の緻密な設定、架空と思えないほど解像度が高く書き込まれている。地中海の島で住民はギリシャ正教徒とイスラム教徒が半々の宗教や文化の違いがあり、市井の人々の生活や島の地理まで、今も世界で最も小さい独立国の一つとして旅行できそうなリアルさだ。ペストという疫病が島を襲う。「本書に記されたさまざまなことが(略)どことなく見覚えがあるように感じられたのだとしたら、それは偶然ではない、意図されたことである。」もちろん2023年の読者は世界を襲ったコロナウィルス、世界の混乱やロックダウンを想起する。2019年以前ならできなかったレベルで共感できる。パンデミック鎮圧に奮闘するヌーリー医師とパーキーゼ姫の、リアルなようでファンタジックな波乱万丈の一生にも引き込まれる。パムクの新たな名作。

  • 率直に言ってまったく合わなかった。架空の島と架空の民族、架空の歴史を題材にした物語であることに全く抵抗はないが、繰り返される後世の架空の史家や民衆からの視点の描写、しっくり来ればディティールのリアリティを際立たせてくれるはずの言葉の一つ一つが、私には逆に「つくりもの」感を際立たせ、読んでいて虚しくなってしまった。登場人物たちの行動もピュアでナイーブにすぎると感じてしまい、貴賤を問わずその生まれや立場、職業に見合った生々しさがほとんど感じられなかった。といってもノーベル賞作家、私個人の感じ方の問題ではあろうが…楽しめず残念。

  • 下巻を読み終えた。上巻と違い、下巻では作者であるオルハン・パムクが作り上げた壮大なフィクションが一気に進む。思わぬ展開に戸惑いを感じながら、何とか読み進めるが、なかなか捗らなかった。何が原因だったのか。

    上巻では、作者の描く、パンデミックがもたらした混乱や人間の心の葛藤に共感できたので、そういった描写をじっくり読み続けることが出来た。ところが下巻では話が急展開し、民族主義の内容にぐっとシフトする。もちろん、パンデミックが国内の政治体制を変えることだってあり得ないではない。が、話が広がりすぎて焦点がぼやけ、ストーリー展開や、やがて登場人物にさえも共感が持てなくなり、そういった自分の感じ方を最後まで修正できずに読み終えてしまった。

    ただ、訳者あとがきに「ミンゲル島の随所に凝らされた現実を戯画化したと思しきさまざまな仕掛けは、…あくまで読者を愉しませるのが主な目的であるようだけれど、ミンゲル革命に関してはその限りではない。それが否応なくトルコ革命を想起させずにはおかないよう作りこまれているからだ。」とあるので、私が感じた違和感は、もしかしてパムク一流の皮肉(批判)として描かれたものか?と、考えてしまった。ならば、やっぱりパムクはすごい!と同時に、作者は母国で安寧に過ごしていけるのだろうか、と懸念される。
    それを判断できないし、『わたしの名は赤』『僕の違和感』のような感激はなかったので、今回はあえて『評価なし』を選んだ。

  • 面白そうで全く入れず

全8件中 1 - 8件を表示

著者プロフィール

オルハン・パムク(Orhan Pamuk, 1952-)1952年イスタンブール生。3年間のニューヨーク滞在を除いてイスタンブールに住む。処女作『ジェヴデット氏と息子たち』(1982)でトルコで最も権威のあるオルハン・ケマル小説賞を受賞。以後,『静かな家』(1983)『白い城』(1985,邦訳藤原書店)『黒い本』(1990,本書)『新しい人生』(1994,邦訳藤原書店)等の話題作を発表し,国内外で高い評価を獲得する。1998年刊の『わたしの名は紅(あか)』(邦訳藤原書店)は,国際IMPACダブリン文学賞,フランスの最優秀海外文学賞,イタリアのグリンザーネ・カヴール市外国語文学賞等を受賞,世界32か国で版権が取得され,すでに23か国で出版された。2002年刊の『雪』(邦訳藤原書店)は「9.11」事件後のイスラームをめぐる状況を予見した作品として世界的ベストセラーとなっている。また,自身の記憶と歴史とを織り合わせて描いた2003年刊『イスタンブール』(邦訳藤原書店)は都市論としても文学作品としても高い評価を得ている。2006年度ノーベル文学賞受賞。ノーベル文学賞としては何十年ぶりかという

「2016年 『黒い本』 で使われていた紹介文から引用しています。」

オルハン・パムクの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×